ホンダ高熱効率エンジン CVCCエンジンを彷彿させるプレチャンバー・ジェット燃焼

2019年6月17日 10:35

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 EV時代になり、ますますエンジンの熱効率競争が激しさを増している。その理由として、EVで「地球温暖化は止まらない」ことが考えられるからだ。熱効率を争っているのはマツダ・トヨタ・日産・ホンダで、どのメーカーも日本メーカーだ。エンジン熱効率向上の開発作業には、日本人が最適なのかもしれない。

【こちらも】ガソリンエンジンが良い! (8) ホンダは 「HCCI」を中断 プレチャンバー・ジェット燃焼へ

■エンジンには製造技術の壁がある

 このエンジン開発が技術的に出来ないと考え、中国はEVの道を選んでいる。ソフトウエア、IT部門の開発競争においては、ファーウェイのような世界最先端企業を育てることに成功しているのだが、製造業においては超ハイテク製品を作り出す技術力を持つことが容易ではないのだ。テスラのイーロン・マスク氏もこれまで手こずってきたのは、同じ理由なのだ。ソフトウエアは論理だけで開発できる「安易さ」があるが、エンジンを「製造する過程」には、「コスト」と「品質保証」の壁がある。

■ホンダ方式?は、プレチャンバー(副燃焼室)

 ホンダは「HCCI」方式を中断していると聞いていた。しかしこのほどの発表では、「プレチャンバー(副燃焼室)方式で、超希薄燃焼(スーパーリーンバーン)を実現。2020年代の実用化を目指す」とした。

 空気と燃料の質量比率(空燃比、A/F)で、「1gのガソリンに対して14.7gの空気」で爆発させているのが、ストイキ(理論空燃比14.7)だ。それを、30を超える希薄な混合気で燃焼する「超希薄燃焼」を行うのが「HCCI (Homogeneous Charge Compression Ignition)予混合圧縮着火」だ。これを実現すると、燃料が少なくて済むため、エンジンの熱効率が上がり、燃費を良くする基本となるのだ。

参考: 高熱効率エンジン競争 日産がトヨタ・ホンダ・マツダを上回る熱効率達成か?

 マツダは「SPCCI (Spark Controlled Compression Ignition)火花点火制御圧縮着火」を開発し、『スカイアクティブ-Xエンジン』としてマツダ3に搭載、日本国内で10月に発売する計画だ。その熱効率は43%程度と見られている。さらに日産自動車は、熱効率45%程度の、条件が有利な発電専用エンジンで発売予定であると発表していた。ホンダも負けるわけにいかない。

 ホンダ方式は、プレチャンバー(副燃焼室)を用いたジェット燃焼で達成するようだ。これは、かつて世界を驚かせたCVCCエンジンを彷彿とさせる。つまり、小さな副燃焼室を点火プラグの回りに作り、そこだけにストイキ燃焼を起こさせ、小さな穴を通して炎をジェット噴射させ、気筒内でディーゼル燃焼に負けない速度で超希薄混合気を燃焼させようとするものだ。

 まだまだ開発段階であるようだが、日本メーカーのエンジン熱効率向上努力が、「地球温暖化防止」を実現することを願ってやまない。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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