トヨタの電動車戦略、大幅前倒し 中国中心に世界から電池かき集めBEVも増産

2019年6月9日 07:56

印刷

トヨタの超小型EV市販予定車(画像: トヨタ自動車の発表資料より)

トヨタの超小型EV市販予定車(画像: トヨタ自動車の発表資料より)[写真拡大]

 世界にEV旋風が吹き始めた。トヨタもうかうかとしていられず、電池をかき集めている。車載用電池で世界最大手の中国・寧徳時代新能源科技(CATL)、比亜迪(BYD)、日本国内ではパナソニックに加え、東芝、GSユアサなどから、電池を買い付ける交渉に入った。

【こちらも】オールジャパン全固体電池開発 量産体制トヨタとパナソニックの提携 いよいよ社会問題

 これまでパナソニックから調達していたが、中国市場の動きが急であることや、欧州でもメーカー各社がEVに本格的に取り組む中、トヨタは電動車の増産を5年前倒ししたため電池調達が急務となったようだ。全固体電池の開発についてもパナソニックと量産間近と見られ、BEVの生産も本格化してくるものと見られる。しかしパナソニック以外には、資本関係を結ぶ気はないようだ。

 ベンツ、ポルシェ、BMW、VW、アウディー、ジャガーなど欧州各メーカーは、将来はディーゼルエンジンよりもPHEV、EVにかけることとなっている。また中国は、精密なエンジン技術を急速に習得することは難しく、EVで自動車産業を成立させることを選んでいる。

 そこにHVで世界に先行したトヨタがBEVで乗り遅れないようにするには、「電池」が勝負であると見てよいのだろう。全固体電池の実用化が出来れば、BEVはかなりの商品力を持つこととなり、一気に普及する可能性もある。トヨタは電池のリサイクルまで含めて、新時代の自動車産業の在り方を探ってきている。

 トヨタ自動車の寺師茂樹副社長は6月7日、2人乗りの超小型電気自動車(EV)を2020年に日本で発売する方針を示した。東京オリンピックの年に、なにがしかのパフォーマンスを見せたいのはメーカー共通の望みであろう。トヨタは、2017年の東京モーターショーでEVのコンセプトモデル「i RIDE」を発表している。この車は軽自動車よりもサイズが小さい。「この超小型EVは来年の発売を検討している」と寺師副社長は述べた。

 またトヨタは、現在開発中の全固体電池において、オリンピックに合わせ何らかのパフォーマンスを見せたいと考えているようだ。トヨタとパナソニックが共同出資しているプライムアースEVエナジー(PEVE、静岡県湖西市)以外に、2020年末までにパナソニックと合弁会社を設立する意向のようだ。BEVが普通の車になる日が近づいている。

 もう一つ、最近気が気ではないのが、ガソリンスタンドの減少だ。電動車が普及してくるとガソリンスタンドがなくなり、HV、PHEV、ガソリン車などが走れなくなる危険さえ感じる。ガソリンか、電気か、どちらも必要とするが、並列できるのであろうか?(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事