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冥王星には海がある。2015年にNASAの探査機が初めて明らかにしたのだが、何故極寒の冥王星で海が凍らずに存在していられるのかは謎に包まれていた。その問題について、コンピュータシミュレーションによる解析によって1つの仮説を提示するのが今回の研究である。
【こちらも】冥王星のハート模様の地下には氷の海?
研究には、神戸大学の谷篤史准教授、北海道大学大学院の鎌田俊一准教授、東京工業大学地球生命研究所の関根康人教授、カリフォルニア大学サンタクルーズ校のフランシス・ニモ教授らが参加している。
近年、巨大ガス惑星の衛星で氷を主成分とする氷衛星の中に、内部海と呼ばれる地下の海を持つものが存在することが知られるようになっている。冥王星にあるのもこの内部海である。
NASAの探査機ニュー・ホライズンズによる冥王星探査は、冥王星の赤道付近に「白いハート」のような地域があり、その左半分が巨大な盆地であることを明らかにした。このことから、冥王星に内部海があることが理論的に証明されたのであるが、かつての推論では冥王星のような冷たい星では内部海も完全に凍結してしまうと考えられていたため、何故冥王星がこのような構造をしているかが新たな謎となったのである。
今回の研究では、メタンを主成分とするガスハイドレートが層状になって内部海を包んでおり、これが凍結を防いでいるのではないかという推論が立てられ、コンピュータシミュレーションによる検討が行われた。
シミュレーションの結果としては、仮にメタンハイドレートが存在しない場合は内部海は100万年ほどで凍結してしまうが、存在する場合、内部海の凍結には10億年以上の時間がかかるということが明らかになった。これはメタンハイドレートの粘性が高く、またその上の氷地殻が硬くなるためである。
今回の理論的展開から、宇宙における海や生命の研究において、新たな基本的考え方がもたらされることが期待されるという。
なお研究の詳細は、Nature Geoscience誌に掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)
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