一卵性双生児が宇宙と地上で実験に参加 遺伝子の発現に変化 NASA

2019年4月16日 19:11

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遺伝子に関する宇宙実験人参加した一卵性双生児のスコット・ケリー氏とマーク氏 (c) NASA/Alamy

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 双子の兄弟が参加した宇宙での遺伝子実験が米航空宇宙局(NASA)によって実施された。NASAは12日、2015年から2016年にかけて実施した実験結果を米科学誌Scienceにs同日付で掲載したことを発表した。

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■元宇宙飛行士にいた双子の兄弟

 NASAの宇宙飛行士スコット・ケリー氏には、同じく宇宙飛行士であった一卵性双生児の兄弟マーク氏がいる。2人が参加したのが、NASAが実施する「ヒューマン・リサーチ・プログラム」だ。2015年から16年にかけて、マーク氏は地球上で、ケリー氏は国際宇宙ステーションで340日間滞在し、それぞれに同様の生物学的変化を確認する実験が実施された。

■免疫システムや遺伝子発現の変化を観察

 一卵性双生児の場合、そのDNAの配列はほとんど変わらないことが知られている。そこで実験では、両者の遺伝子発現の変化や免疫システムの反応、染色体の末端にあるテロモアが観察された。発見された多くの事実は、従来の学説や進行中のほかの実験で収集されたデータとも整合的だという。

 白血球細胞に含まれるテロモアは、老化に関係のあるバイオマーカー(指標)だ。スコット氏のテロモアをISS滞在中と宇宙から帰還後に計測した結果、宇宙空間上ではテロモアが予想外に長くなり、地球に帰還すると短くなったことが判明した。テロモアは細胞遺伝子の安定性にとって重要であり、繰り返し実験した場合に同じ結果が再現されるか確認するため、追実験が予定されているという。

 宇宙空間上での免疫システムの反応に関しても発見があった。長時間宇宙空間上に滞在する場合、新環境下での微生物から宇宙飛行士を守るために、免疫システムに機能するかは重要である。今回の実験で、宇宙空間上でインフルエンザワクチンを使用しても、地球上とまったく同じ作用があることが判明した。

 このほか、遺伝子発現に関しても重要な発見があった。生物の遺伝情報はDNAに保存されているが、DNAから必要な情報をRNAに写し取ることでタンパク質が作られるのが、遺伝子発現だ。今回の実験で、スコット氏が宇宙から帰還後に遺伝子発現の変化があったことが観察された。免疫システムやDNAの修復に関連する遺伝子の数パーセントは、帰還後も元に戻らなかった。

■さらなる遺伝子研究を期待

 今回の実験結果は意義あるものだが、単一事例から宇宙飛行士やすべての人類など結論を普遍化することは難しい。今回の実験が宇宙空間での遺伝子研究へとさらに踏み込む機会を与えたと、NASAは締めくくっている。(記事:角野未智・記事一覧を見る

関連キーワードNASA国際宇宙ステーション(ISS)染色体遺伝子免疫DNA

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