日本の原発ビジネスは四面楚歌、将来のために今どうするか?(下)

2019年2月1日 09:45

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 これで日本が抱える原発絡みのインフラ輸出は皆無となった。資源小国の日本は、いままで世界の原発技術を牽引してきた。東日本大震災の後、国内での新設計画が途絶したことや技術輸出に対する政府の後押しもあり、日本企業は海外に大きく視線向け始めていた。

【前回は】日本の原発ビジネスは四面楚歌、将来のために今どうするか?(上)

 現在、原発を手掛けるメーカーの事業環境は国内外とも新規案件が途絶したことにより、既存原発の再稼働へのメンテナンス等の維持管理業務のみとなっている。

 原発に付きものである将来の廃炉作業を見通すと、技術力を維持するための技能の継承は欠かせない。原発産業は裾野が広く、400社を超える企業が日本原子力産業協会を構成している。原発に事業としての将来性が失われると、原発固有の技術保有企業が事業から撤退する懸念もある。サプライチェーンに断絶が生ずると原発事業の継続性に疑問符が付きかねない。人的な側面も懸念は大きい。原子力関係の従業員は20年前のピーク時に1万4000人近い陣容を確保していたが、現在は1万人前後と推定される。今後の廃炉作業に欠かせない熟練の技能職をどうやって囲い込んでいくかという課題は重い。

 どんな業界でも必要に迫られて、切羽詰まった環境の中からブレイクスルーが行われ新技術へ辿り着いて来た。国内外で新規の原発建設が見込めない状況では、産業としての魅力が失われ若い活力の流入が細る。現在の技術者が逐年高齢化することは避け得ないことであり、事態は想定以上に深刻である。

 東日本大震災が発生して以後の原発を取り巻く環境は、二重三重の安全性を要求されるコスト高の傾向が顕著になって来た。もともと原発は大量の電力を二酸化炭素を排出しないで、埋蔵が偏在する石油に依存することもなく、かつ比較的に低廉な価格で提供できるエネルギーとして注目を浴びていた。

 現在は再生可能エネルギーの電力コスト低下が進んでいることや、設備構築までの期間が原発施設よりも大幅に短期間であることもあって、原発のメリットが見えにくくなっている。原発は5~7年程度の工事期間を必要とし、1年程度で稼働する太陽光発電との差は大きい。欧州で盛んな洋上風力発電のコストは原発を2割程度下回るところまできた。原発の膨らむ事業費は米ウエスチングハウスを破綻に追い込み、親会社の東芝にも深手を負わせた。

 世界における原発ビジネスではロシアと中国が存在感を高めている。ロシアは相手国のニーズを吸い上げる巧みさがあり、中国は巨大経済圏構想である「一帯一路」をすすめる上に不可欠な要件としているようだ。いずれも国内で原発の建設をすすめ、運転ノウハウも蓄積する強みがある。

 将来確実に訪れる廃炉時代にどんな備えができるのか、現在日本は正念場に在ると言える。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る

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