観測ロケット「FOXSI-3」が世界初観測した太陽コロナの軟X線データが公開

2019年1月15日 20:10

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今回公開された軟X線光子のデータを使用して描かれた太陽コロナの全面画像。これまでにない新しい手法で描かた太陽像となる。(c) FOXSI-3 team

今回公開された軟X線光子のデータを使用して描かれた太陽コロナの全面画像。これまでにない新しい手法で描かた太陽像となる。(c) FOXSI-3 team[写真拡大]

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  • FOXSI-3 で取得した世界初の軟X線集光撮像分光データの一例。(c) FOXSI-3 team

 国立天文台などの研究チームは15日、観測ロケット「FOXSI-3」により取得した太陽から放射される詳細な軟X線データを公開した。光子レベルで記録されたデータが太陽のコロナに関する新しい知見をもたらすと期待される。

【こちらも】世界初、太陽コロナの軟X線の観測に成功 日米の共同プロジェクト

■低エネルギー域を観測可能なロケットFOXSI-3

 FOXSI(Focusing Optics X-ray Solar Imager)は、太陽のコロナが放出するX線を集光撮像分光観測する日米共同のロケット実験だ。国立天文台の他に、東京大学、名古屋大学、宇宙航空研究開発機構 (JAXA) 、NASAなどが参加している。

 研究チームは、日本時間の2018年9月8日、米ニューメキシコ州ホワイトサンズの観測ロケット打ち上げ場にて、3度目となるFOXSI-3の打ち上げを実施した。FOXSI-3には、斜入射ミラーと検出器から構成される望遠鏡が7本搭載されており、ミラーの数や検出器の種類を変えることで、広範囲のエネルギーのX線を観測できた。

 FOXSI-3には、新たに「軟X線域」と呼ばれる0.5キロ電子ボルトから10キロ電子ボルトにかけての低エネルギー域を観測する装置が搭載された。国立天文台や名古屋大学が、東京大学や宇宙航空研究開発機構(JAXA)の研究者らと共同で、軟X線専用の「裏面照射型CMOS検出器を用いた高速度カメラ」を開発。軟X線域の撮像分光観測を実施することで、太陽コロナの超高温プラズマや非熱的プラズマの詳細な調査を可能としている。

■FOXSI-3が明らかにする太陽コロナの加熱メカニズム

 FOXSI-3の目的は、太陽コロナにおける高エネルギー現象の理解にある。太陽コロナの加熱の担い手として有力な候補である「ナノフレア」は、1,000万度の高温プラズマが生成すると考えられている。太陽コロナの主要な電磁波はX線であるものの、地球の大気によってこのX線は吸収されてしまうため、大気圏外を飛行したFOXSI-3が取得したX線観測データには、太陽コロナの加熱メカニズム解明につながる期待が寄せられていた。

 昨年9月の観測時、FOXSI-3は約6分間の観測を行い、太陽コロナの軟X線・集光撮像分光観測に世界で初めて成功するなど、多くのデータを収集した。今回公開されたデータは、その時の収集データを分析したものだ。

■FOXSI-3で取得された世界初のデータが公開

 公開されたのは、前述した「裏面照射型CMOS検出器を用いた高速度カメラ」により検出・測定された、世界初のデータだ。このカメラは、1秒間に250枚のデータを撮影でき、1枚あたり、約50個のX線光子を検出したという。カメラには、X線光子1個が作り出した信号が白い点として各画像に映し出されており、ここから、X線が持つエネルギーの情報が得られるという。そして、この信号の検出器上の位置や、何枚目の画像に移っていたかを調査することで、個別のX線が太陽から放たれた場所(空間)や、いつ太陽から放たれた光子(時間)であるかも分析可能という。

 個別のX線光子が持つ、「エネルギー」「空間」「時間」の情報を活用することで、様々な研究が可能になるという。現在、今回公開されたデータを用いた解析が継続して続けられており、今後のさらなる発見にも期待が寄せられる。(記事:角野未智・記事一覧を見る

関連キーワードNASA国立天文台東京大学名古屋大学宇宙航空研究開発機構(JAXA)

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