NVIDIA、自律動作マシン向けAIプラットフォームを提供 ポストAIは自律型か

2018年12月14日 11:36

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Jetson AGX Xavierのモジュール(写真:NVIDIAの発表資料より)

Jetson AGX Xavierのモジュール(写真:NVIDIAの発表資料より)[写真拡大]

 NVIDIAは13日、自律動作マシン向けの組み込みAIプラットフォーム「Jetson AGX Xavier」モジュールを提供開始すると発表した。

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 指示待ちではなく自分の考えに基づいて行動することを自律型、または自立型と呼ぶ。NVIDIAが目指すポストAIは自律型AIのようだ。ところで、自律型と自立型の違いは、何であろうか。同じ目的を持って行動するAIが自律型AI、個々の目的に沿って行動するAIが自立型AIである。

 AI分野で最も実用化が進んでいる技術が、深層学習(ディープラーニング)だ。深層学習は、機械学習アルゴリズムの1つだ。人間の脳を模したニューラルネットワークを多層に重ねた構造を持ち、この多層に重ねることで、データの特質を学習する。この深層学習に最適なアーキテクチャーが、NVIDIAが開発したGPU(Graphics Processing Unit)だ。

 ところが、当初NVIDIAがGPUを開発した背景は、画像処理向けの高速プロセッサーだったといわれる。画像処理では幾つもの行列演算を行うが、それを最適化したのがGPUだ。CPU(Central Processing Unit)と同じように、言語で画像処理アルゴリズムを記述し、GPUというハードウェアで実行する。

 NVIDIAは、このGPUが深層学習にも活用できることが判明するや否やAI向けGPUと銘打って販売を開始。その後は深層学習用のプラットフォーム構築に至る。

 今回の発表は、自律動作マシン向けの組み込みAIプラットフォームの提供だ。

●Jetson AGX Xavierの特長

 リアルタイム性を確保した上で、複雑なデータ処理をエッジコンピュータ上で可能にする。手のひらに収まる大きさで、何と、32TOPS(Tera Operations Per Second)とワークステーションサーバ並みのパフォーマンスを持つ。これは、1秒間に32兆回もの演算処理が可能な性能だ。

 消費電力も10ワットと、この驚異的な性能に比べると、高いエネルギー効率だ。

●深層学習プラットフォーム(NVIDIA、Jetson AGX Xavier)のテクノロジー

 GPUで圧倒的なシェアを誇るNVIDIAが、顧客から得る情報によってポストAIに据えたのが自律型AIなのであろう。

 宅配ロボット、人間と協調作業する製造ロボット、携帯式のDNAシーケンサーを念頭に置く。自律動作マシンは今やSFの世界を飛び出し、現実のものになりつつあるという。

 NVIDIAのAI向けGPUであるJetson TX2と比較して、性能で20倍以上、エネルギー効率で11倍以上を実現。AIでのエッジコンピューティングの可能性の幅を広げる。(記事:小池豊・記事一覧を見る

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