NVIDIAとARMが提携 AI搭載のIoTプラットフォームの普及なるか

2018年3月30日 22:12

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(画像: 両社の発表資料より)

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 NVIDIAとARMは27日、IoTデバイス上でのディープラーニング推論の提供に向けて提携すると発表した。

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 NVIDIAとARMはディープラーニングと呼ばれるAI機能搭載を必要とするIoTデバイスの数を数十億台と見積る。そのIoTデバイスの提供に向けた提携だ。

 今回の発表は、AI分野で高い演算性能を発揮する世界第9位の半導体売上にまで急成長したNVIDIAと、低消費電力を武器に組込みCPUで最大シェアを誇るARMの提携だ。

 IoT関連のセンサーやデバイスの用途は、ロボット、電気自動車、人工知能、電力などへと普及。IoTの構成要素は、データのセンシング、データ処理、そして判断や制御からなるが、大別してクラウド型かエッジコンピュータ型の構成を採る。

 クラウド型は、膨大な演算をクラウド上で集中処理できるメリットがある一方で、リアルタイム性を必要とする場合は適用できない。ネットワーク負荷や処理遅延の問題があるからだ。他方、エッジコンピュータ型はIoTデバイス上で膨大な演算を実行してリアルタイム性を確保するが、IoTデバイス自身が高い演算性能と低消費電力を実現する必要がある。

 ソフトバンクグループのARMは、1990年に設立。ARM-CPUの累計出荷数は1250億個を達成。昨年7月には、今後4年間だけで1000億個の出荷規模となると予測しており、AI搭載を必要とする数十億個は、その数%に相当する。

●NVIDIAのAIをARMのプラットフォームに搭載

 NVIDIAのディープラーニングアクセラレーターの知的財産(IP)をARMの「Project Trillium」プラットフォームに組み込む。このIPはオープンソースとして公開されており、ARMのプラットフォームでの開発を経験した顧客は、ディープラーニングIoTチップの開発を容易に実施できるという。

●AI搭載のIoTデバイス(NVIDIAとARM、オープン化)のテクノロジー

 ARMの大きな収入源は、ARM-CPUなどの販売とローヤリティであり、それを支えるのはオープンなアーキテクチャの公開だ。アーキテクチャが公開されており、そのCPUモデルを使用して、顧客がチップを開発。チップ開発の初期投資を安く抑える代わりに、チップ売り上げの数%程度のローヤリティを支払う。

 NVIDIAの収入源は、ソフトウェア制御可能なAIチップである。ディープラーニング推論アクセラレーターを設計する際の標準的方法を推進。無料でアーキテクチャを公開して、顧客のAI実装の容易性を武器にする。なお、チップ販売の会社であるにも関わらず、AIを実装するソフトウェア技術者の数がハードウェア技術者を上回る。

 今回の提携は、AI搭載のIoTデバイスにおける新たなビジネスモデルの構築であろうか。ローヤリティ―収入を核としたモデルを構築し、センサーやネットワークインタフェースを容易に構築できるプラットフォームへと拡張していくのであろう。(記事:小池豊・記事一覧を見る

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