ニホンジネズミのミトコンドリアから紐解く人類の移動史 北大の研究

2018年11月11日 18:24

小

中

大

印刷

ニホンジネズミ。(The Wild Mammals of Japan. Second edition (Ohdachi et al., 2015) (松香堂, 日本哺乳類学会)より)

ニホンジネズミ。(The Wild Mammals of Japan. Second edition (Ohdachi et al., 2015) (松香堂, 日本哺乳類学会)より)[写真拡大]

写真の拡大

  • ニホンジネズミの分布図。緑色は自然分布、赤は人為分布と考えられている。(The Wild Mammals of Japan. Second edition (Ohdachi et al., 2015) (松香堂, 日本哺乳類学会)より)
  • ミトコンドリア DNA の遺伝型(ハプログループ)の分布図。東タイプ(赤)と西タイプ(青)は本州の中部で重複なく二分されている。(画像:北海道大学発表資料より)

 ニホンジネズミという日本固有種の小型哺乳類がいる。このニホンジネズミのミトコンドリアDNAの分析から、先史時代の人類の移動の痕跡が解き明かされた。北海道大学・低温科学研究所の大舘智志助教らの研究によるものである。

【こちらも】ハツカネズミのDNAから考える「日本人はどこからやってきたか」

 ニホンジネズミはトガリネズミ目トガリネズミ科に属する。日本固有種であり、その分布については画像をご覧いただきたい。名前はネズミだが実際にはモグラの近縁種で、しかしモグラと違って地中生活をすることはない。人類の文明にとって何の益にも何の害にもならず、また特に絶滅が危惧されるようなこともないので普段は注目を浴びるようなこともない種である。

 だが、今回の研究では、ニホンジネズミが人類とともに日本列島を移動したことがかつてあったということが分かり、そこから人類の移動史に関する新たな知見がもたらされたのである。

 研究グループが各地で集められたニホンジネズミのミトコンドリア塩基配列を解析したところ、ニホンジネズミは明確に二つの系統に分けられる事が分かった。北は福井県から発し、岐阜県を通って愛知県と三重県の境界あたりで太平洋に接する大きな分断がある。

 また、国内外来種であることが知られている北海道南部のニホンジネズミと済州島のニホンジネズミは、それぞれ東北地方、九州の個体群と近い遺伝子を持っていた。

 この地域の間は津軽海峡ならびに朝鮮海峡があり、10万年から15万年ほど昔、日本列島と完全に分断されていたことがほぼ判明している。ところが、分子時計と呼ばれる分析法でニホンジネズミの個体群の分離時期を割り出したところ、9万年を遡ることはないという。

 この移動は自然には起こり得ないものであるため、何らかの形で人間の移動に伴ってニホンジネズミの移動が起こったと考えられるわけである。

 なお、研究の詳細は英文の専門誌「Mammal Study」に掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

関連キーワード遺伝子DNA北海道大学

広告

広告

写真で見るニュース

  • AI搭載の小型汎用ロボット「ZUKKU」を活用した健康増進プログラムのイメージ。(画像: ハタプロ発表資料より)
  • 中性子星と発せられたパルサーの想像図 (c) B. Saxton (NRAO/AUI/NSF)
  • 第2ターミナルの内部。(画像: 中部国際空港の発表資料より)
  • ケニアでの実証実験に使われる産業用無人ヘリコプター「フェーザーR 
G2」(画像:ヤマハ発動機の発表資料より)
  • 季節に合わせたタイヤ選びが重要
  • HD140283 (c) Digitized Sky Survey (DSS), STScI/AURA, Palomar/Caltech, and UKSTU/AAO
  • (c) 123rf
  • 使用イメージ。(画像: サンワサプライの発表資料より)
 

広告

ピックアップ 注目ニュース