スバル、9.28追加調査の結果発表(2) 「アンドン」を知らずして品質管理を語るな!

2018年10月4日 18:58

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■なぜ?を5回繰り返せ!

 2017.12.19「完成検査の実態に関する調査報告書」 の「要約版」(以下単に要約版)を見てみた。2018年4月27日「国土交通省へ提出した報告書」をかなり精密に読んでみたが、実態の表面的事実は明らかになってくると感じるが、「スバル組織の闇」ともいえる「組織の作り方の問題点」と「組織運用の誤り」については認識できていないようだ。さらに、今回の報告書では、スバルは「自動車メーカーとしての品質保証体制が出来ていない」と感じてしまう。

【前回は】スバル、9.28追加調査の結果発表(1) スバルには「自動車メーカーの体裁」はない

 今回の追加調査においても、「原因・再発防止策」については、なんとも「学生のレポート?」程度に終わってしまっているようだ。「原因」として挙げられている各項目についても、単純に「管理されていない」ことは見えるのだが、その真の原因にたどり着くには『なぜを5回繰り返せ』を実践しなければなるまい。「メーカーの体裁になっていない」と言うのみだ。

 「不適切行為を防ぐにはダブルチェックなどの必要性」を報告書は挙げているが、そんなレベルにも至っていない。まずは「不適切行為」であると認識することから始めなければならない。「モラルの低下」と言えば一般的だが、社会全体のモラルのレベルが下がっていることも感じさせる。ダブルチェックが有効なのは、「前向きに正確に仕事をしようとしている時」に有効となるのだが、スバルはそうなっていない。

 例えば、報告書にある「コミュニケーション不足」という問題点の認識は全く具体性がなく、どの様にしてコミュニケーション不足に陥った組織なのか? あるいは、日常業務の中でどのような点が原因となってコミュニケーション不足に陥っていったのか?など、「コンプライアンス意識の不足の原因」などの問題点と合わせて、真の原因にたどり着けていない。一般論として言えるようなことの列挙にとどまっている。トヨタが半世紀ほど前から実施してきた『なぜを5回繰り返せ』を行っていない。

■「アンドン」を知らずして品質管理を語るな!

 「検査員の仕事量が多い」との調査結果に対する解釈についても、まず検査で不良とされたとき、「ラインを止める覚悟」が必要だ。つまり、「トヨタのかんばん方式」で言われている「アンドン」(異常が発生したら、即時に関係者が知ることができるように電光表示盤に表示するシステム)である。不良をその場の判断で手直しやごまかしをした場合、ラインを止めて「根本原因」の対策を取ってしまう場合と比べて、「大きな損害を出す」との認識だ。これは「品質管理の基礎」だ。これを知らずに調査しているようだ。これだと原因の掘り下げも甘くなり、対策も有効に取れないであろう。

 2017年4月27日の「国土交通省へ報告書」と今回の報告と合わせると、スバルは「管理者のいない組織」と言えるだろう。スバル社内の組織としての「問題意識」が感じられない。経営陣は管理を勘違いしており、「社員を牛耳る」意識であると感じる。品質保証体制の徹底は、現在行われている業務内容に「問題意識」を持っていなければ始まらない。組織員の意識としては、常に「問題を探している」状態が最高だろうか。自分たちで解決できる問題点は、日々「日常業務のように解決している」状態で、さらに改善すると自分の生活が良くなる実感を持った意識だ。

次は、「管理」と「命令」との差を知ろう。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

続きは: スバル、9.28追加調査の結果発表(3) 「管理する」とは、部下を牛耳ることではない

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