「検索」の時代から「予測」の時代へ【スマホでサンマが焼ける日】

2018年8月10日 22:59

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記事提供元:biblion

 【第16回】電気・エネルギー業界は今、50年に1度の大転換期を迎えています。電力自由化をきっかけに各家庭へのスマートメーター導入が開始され、電力産業、電力関連ビジネスは一気にデジタル化の道を歩み始めました。本連載では、RAUL株式会社代表取締役の江田健二氏が、IoTとも密接な関係を持つ電力とエネルギーの未来を、ワイヤレス給電、EV(電気自動車)、ドローン、ビッグデータ、蓄電池、エネルギーハーベスティング、VPPといった最新テクノロジーの話題とからめながら解説します。

「検索」の時代から「予測」の時代へ【スマホでサンマが焼ける日】

 本連載は、書籍『スマホでサンマが焼ける日』(2017年1月発行)を、許可を得て編集部にて再編集し掲載しています。あわせて前回記事もご覧ください。

エネルギー産業は「流通業から情報産業」へ【スマホでサンマが焼ける日】 - biblion ビブリオン|知的好奇心をくすぐる読み物サイト

エネルギー産業は「流通業から情報産業」へ【スマホでサンマが焼ける日】 - biblion ビブリオン|知的好奇心をくすぐる読み物サイト【第15回】電気・エネルギー業界は今、50年に1度の大転換期を迎えています。電力自由化をきっかけに各家庭へのスマートメーター導入が開始され、電力産業、電力関連ビジネスは一気にデジタル化の道を歩み始めました。本連載では、RAUL株式会社代表取締役の江田健二氏が、IoTとも密接な関係を持つ電力とエネルギーの未来を、ワイヤレス給電、EV(電気自動車)、ドローン、ビッグデータ、蓄電池、エネルギーハーベスティング、VPPといった最新テクノロジーの話題とからめながら解説します。

顕在ニーズの時代から、潜在ニーズの時代へ

 こうしてIoTと電気利用データのデジタル化によって膨大なデータが集まると、一体どういうことが起きるのか? 私は、その結果大きなパラダイムシフトが起きると予測しています。それは「検索の時代から“予測”の時代になる」ということです。

 これまでは、インターネット、特にグーグルなどの検索エンジンを使って、今自分が知りたい情報や知識を調べる、手に入れたいモノを探して買う、という「検索」の時代でした。自分が欲するものを事前に認識した上で、それをダイレクトに最短距離、最短時間で探しにいくのです。
 しかしIoT、フォグコンピューティングの時代に入るこれからは、欲しいものが事前に分かっていて探しに行くだけでなく、コンピュータまたはAI(人工知能)が「その人が、おそらく本当に欲しいであろうモノを“予測”して教えてくれる」時代になっていきます。

 たとえば、あなたが普段好きで聴いている音楽、映画、読んでいる本の視聴・購買データ、買っている商品の購買履歴、電気利用から見えてくる家族とのコミュニケーション時間、健康状態、などなど様々なデータをもとに「あなたは自分では気づいていないかもしれませんが、実は今こんな気分で、したがってこんなことがしたいのでは?」と、レコメンドやアドバイスをしてくれるといったものです。

 今でもネットのアクセス履歴をもとにおすすめ情報・広告を出す機能がありますが、それは単にアクセスログを反映させた単純な自動システムに過ぎません。そういう既存のレコメンドではなく、もっと膨大で細かいデータから綿密な分析を行い、今まで自分が気づかなかったような自分、気づかなかったことを気づかせてくれる時代になるのでは、ということです。これは「顕在ニーズの時代から、潜在ニーズの時代へ」と言ってもいいでしょう。
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新しい自分に出会える!第2のグーグル

 検索の時代から“予測”の時代に進んでいく中で、私は、今のグーグルに変わる新しいサービスを提供する会社、「第2のグーグル」が出現すると予想しています。グーグルは、何か新しい情報を生み出しているわけでもクリエイトしているわけでもなく、世の中にある、インターネット上に存在する情報を集めて整理することで成り立ってきた、いわゆるプラットフォームビジネスです。

 同じようにこれからのエネルギー情報資産というものも、そこから何か新しいものが生まれるわけではなく、今までは見えなかった個々の人だったり建物だったり、地域だったりが使ったエネルギー情報のデータが見えるようになるだけです。ここから、その情報をうまく整理して他の人たちが使えるようにすることができた会社が第2のグーグルになるのではないかと思っています。

 アメリカではすでにそういった会社が出てきていますが、こうした第2のグーグルは、将来たとえば、今まで使っていた炊飯器が古くなって買い換えたいと思ったら、それまでに蓄積されたデジタルデータがネットショップのアマゾンに自動的に送られて、アマゾンが次に買ったらいい炊飯器をレコメンドしてくれる、といったサービスを提供してくれるかもしれません。

 また、「前回はこんな大型の高い冷蔵庫を買いましたが、正直おたくの家だとこんなに大きな冷蔵庫は要りません」とか、空気清浄機であれば「あなたの家の空気はきれいだから、こんなに高性能な機械は要りませんよ」などとサジェストしてくれるでしょう。そうなれば家電だけでなく、いろいろなものの無駄な買い物がなくなります。こうしていろいろ検索して自分に合った家電を探して比較検討しなくても、自動的に自分に合ったものが分かる時代になるのです。

 電力のデジタル化とIoTによるデータ集積と分析・活用が進めば、これから10年、20年先には「検索から予測の時代」、顕在ニーズだけでなく潜在ニーズにも応えてくれる時代、“自分の知らなかった自分”に出会える時代が訪れるはずです。

書籍著者:江田 健二さん

書籍著者:江田 健二さん「環境・エネルギーに関する情報を客観的にわかりやすく広くつたえること」「デジタルテクノロジーと環境・エネルギーを融合させた新たなビジネスを創造すること」を目的に執筆/講演活動などを実施。富山県砺波市出身。慶應義塾大学経済学部卒業。アンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア株式会社)に入社。エネルギー/化学産業本部に所属し、電力会社のCRMプロジェクト、大手化学メーカーのSCMプロジェクト等に参画。その後起業、環境・エネルギービジネスの推進や企業のCSR活動を支援している。RAUL株式会社 代表取締役、一般社団法人エネルギー情報センター理事、一般社団法人エコマート運営委員。 元のページを表示 ≫

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