東工大など、高出力な全固体電池で超高速充放電を実現

2018年8月8日 17:02

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全固体電池の概略図(左)と写真(右)(写真:東京工業大学の発表資料より)

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 東京工業大学の一杉太郎教授らは、東北大学の河底秀幸助教、日本工業大学の白木將教授と共同で、高出力型全固体電池で極めて低い界面抵抗を実現し、超高速充放電の実証に成功したと発表した。

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 リチウムイオン電池は、正極、負極、セパレータ、電解液からなり、実用化されている電池の中では最もエネルギー密度が高く、高容量、小型軽量化が可能だ。スマートフォンや電気自動車(EV)など適用範囲が拡大している一方、発火等の危険を伴うため、充放電に対する制御回路で対策する。全固体電池は電解液でなく無機系の固体電解質を用いるため、発火の危険性がなくなる。

 では、今回の発表で優れていることは安全性に加えて、通常のリチウムイオン電池より高い5ボルト電圧を発生する高出力な全固体電池という内容だ。高電圧を発生する電極と固体電解質が形成する界面でのリチウムイオンの抵抗を低減することに成功。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、トヨタ自動車、科学技術振興機構(JST)の支援を得て開発した。

 研究の詳細は米国時間の1日、「ACS Applied Materials and Interfaces」オンライン版に掲載されている。

●高出力な全固体電池の特長

 固体の電解質を用いる全固体電池は、高いエネルギー密度と安全性を兼ね備えた究極の電池であり、各国が実用化にしのぎを削る。現在の主流である4ボルト程度でなく、5ボルト出力を目指し、それに耐えうる電極材料を採用。そして、固体電解質と電極が形成する界面における抵抗(界面抵抗)を低く抑えることに成功。

 高速放電が実用化となれば、スマフォやパソコンが数分で充電完了することも夢ではないという。

 薄膜作製技術と超高真空プロセスを活用し、エピタキシャル薄膜を用いた理想的な全固体電池を作製。固体電解質と電極の界面におけるイオン伝導性は、従来の全固体電池の研究報告よりも2桁程度低い、1平方センチメートル当たりの界面抵抗が7.6オームという極めて低い値だ。また、実用化されている液体電解質と比較しても1桁程度低い。

●全固体電池(東工大ら、5ボルト出力)のテクノロジー

 従来の4V程度の発生電圧から5Vへと、全固体電池を高出力化の道筋が叶う。極めて低い界面抵抗を得て、超高速充放電を実現。

 また、14ミリアンペア/平方センチメートルという大電流でも安定して高速に充放電。100回の超高速充放電では、電池容量の変化は全く見られず、リチウムイオンの高速な移動に対して、固体電解質と電極の界面が安定であることを実証。

 界面抵抗の低減や高速充放電の実証は、全固体リチウム電池の実用化の鍵であり、実用化への大きな一歩を踏みだした。(小池豊)

関連キーワード東北大学リチウムイオン電池新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)東京工業大学全固体電池科学技術振興機構

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