産総研ら、世界初の高熱効率・低NOxの大型発電用水素エンジンを開発

2018年5月21日 11:52

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高圧直噴火花点火水素エンジンシステムの構成と研究・開発の分担(写真:産総研の発表資料より)

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 産業技術総合研究所、岡山大学、東京都市大学、早稲田大学は18日、試験用小型エンジンを用いた基礎実験で、水素燃料の優れた燃焼特性を活用した新しい燃焼方式を確立し、世界初となる高熱効率・低窒素酸化物(NOx)を実現できる火花点火水素エンジンの開発に成功したと発表した。

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 化石燃料への依存を低減し二酸化炭素(CO2)排出を削減する。地球温暖化など大気環境保全につながる水素燃料の用途を拡大する研究の一環だ。すでに製品化されている自動車用や定置発電用の水素燃料電池に加えて、大型発電にも水素を適用する考えだ。内閣府は、戦略的イノベーション創造プログラムで、この水素燃料の研究を推進している。

 大型発電用の水素エンジンは、天然ガスエンジンに比べて出力および熱効率が低いのが課題であり、高負荷運転時にはNOxが生成される技術的な問題があった。今回、試験用小型エンジンで、水素燃料の新しい燃焼方式を確立し、これら課題を解決。水素を大型発電用や船舶用エンジンの燃料に使用することで、地球温暖化防止や大気環境保全への貢献が期待できる。

●産官学連携の研究成果

 高圧直噴火花点火水素エンジンシステムの目標は、熱効率50%、NOx濃度200ppm(百万分の1)以下だ。

 NOx濃度200ppmの達成には、東京都市大が提唱する、燃焼室に噴射した水素燃料噴流が分散する前の塊の状態で燃焼させる過濃混合気点火燃焼方式を採用。加えて、水素濃度制御や噴流の形状と点火までの時間を最適化した。

 排気再循環でNOxの生成を抑制する方法を組み合わせた試験用小型単気筒エンジンで、熱効率は54%を達成。天然ガスを燃料とする世界最高効率の発電用大型エンジンを凌駕する性能だ。

 研究・開発の役割分担を図に示す。全体システムの検討は川崎重工が、高圧インジェクターは海上技術安全研究所が、水素燃焼制御と濃度計測は、東京都市大、岡山大、早大が、低NOx化と出力向上技術は産総研が、液化水素ポンプは前川製作所と早大がそれぞれ担った。

●火花点火水素エンジン(産総研ら、大型発電用)のテクノロジー

 天然ガスを燃料とする発電用大型エンジンを凌駕する熱効率54%達成時のNOxの排出量は、大都市圏の自治体条例の規制値の10分の1以下を満たした。CO2と微粒子物質の排出がゼロに近い水素エンジンのクリーン化を実現。

 今回の技術開発は、発電用エンジンに用いられている天然ガスなどを水素に置き換えることに貢献する。国内で年間500万トンのCO2の削減が可能との試算だ。(小池豊)

関連キーワード内閣府燃料電池水素早稲田大学産業技術総合研究所(産総研)地球温暖化岡山大学

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