トヨタや愛知県など、再エネ活用して水素を製造 フォークリフトなどで利用へ

2018年4月27日 22:22

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「あいち低炭素水素サプライチェーン」発足の様子。(画像: トヨタ自動車の発表資料より)

「あいち低炭素水素サプライチェーン」発足の様子。(画像: トヨタ自動車の発表資料より)[写真拡大]

 愛知県やトヨタ自動車、中部電力などは25日、水素社会実現に向け、「知多市・豊田市再エネ利用低炭素水素プロジェクト」を開始した。このプロジェクトには他に、知多市と豊田市、東邦ガス、豊田自動織機が参画しており、下水汚泥由来のバイオバスから水素を製造し、利用を目指す。

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 プロジェクトでは、東邦ガスが、知多市の南部浄化センターにて下水汚泥処理により発生したバイオガスを原料にし、都市ガスを製造。そこから既存の都市ガス導管網を通してトヨタの元町工場へと輸送。これを原料にして、元町工場では、ガス改質装置により硫黄分などの不純物を取り除き、低炭素水素を製造、圧縮、貯蔵する。貯蔵された低炭素水素は、水素ステーションを通して、元町工場で使用する豊田自動織機製のフォークリフト22台に充填。これにより、二酸化炭素を年間150トン削減する。

 また、中部電力は、豊田市の渡刈クリーンセンターにて廃棄物焼却により発生した熱から発電した再エネ電力を購入し、トヨタに供給する。バイオガス不足時には、使用した二酸化炭素排出量を埋め合わせするこうも可能。トヨタは、2020年に燃料電池車「ミライ」を製造した際に排出される二酸化炭素の量をゼロにする目標を掲げており、今回のプロジェクトはそのためにも重要と言えるだろう。

 今後はプロジェクトを通して、バイオガスの発掘・利用と、バイオマスや風力発電の開発に取り組む。さらに、FCフォークリフトの配置拡大や、元町工場内での業務用燃料電池や小型水素発電などの先行導により、水素が活躍する場面を増やしていく。

 現在、水素は製造過程で石油や天然ガスを使用するため、そこからの二酸化炭素排出が課題となっていた。今回のプロジェクトで課題を少しでも克服し、水素が活躍する社会になっていくことに期待したい。

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