三菱ふそう、小型トラックのEV化で先行なるか ごみ収集車も開発

2018年3月12日 18:52

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eCanterごみ収集車(写真:三菱ふそうの発表資料より)

eCanterごみ収集車(写真:三菱ふそうの発表資料より)[写真拡大]

 三菱ふそうは9日、世界初の量産電気小型トラック「eCanter」の、ごみ収集車を開発すると発表した。

【昨年登場】三菱ふそう、世界初の量産電気トラック「eCanter」を発表

 「eCanter」は世界初の量産電気小型トラックとして2017年より北米、日本ならびに欧州市場に投入。欧州での納入先は、DHL社、DBシェンカー社、レーノス社、ダクサ社であり、日本での納入先は、セブンイレブンとヤマト運輸だ。

 納入の決め手は、9万キロメートル以上にわたる走行試験、CO2削減、静かな走行に加えて、コスト削減という。従来のディーゼル車と比較して、走行1万キロメートルあたり、最大1,000ユーロ(約13万円)のコスト削減が可能だ。先行納入先の用途は、都市内配送ビジネスであり、EVの先にある自動運転への期待もあるのであろう。

 納入形態は長期間の車両リース契約だ。これは、日々進化し続ける次世代のバッテリー(リチウムイオン電池)へと対応することで、常に最新の性能を持つEVトラックを提供し、シェアを確保する狙いがあるのであろう。

 いすゞ自動車もEVトラックの開発を加速する一方、日野自動車はトヨタ自動車と戦略を合わせてEV以外にも燃料電池の活用も見据える。商用のEV小型トラックにおいても、EV自動車と同様、次世代バッテリー開発とバッテリー充電ステーション普及が課題だ。

●eCanter版ごみ収集車の特長

 eCanterは世界初のEV小型トラックであるが、三菱ふそうが属するダイムラーグループが保有する技術を最大限活用。eCanter車両に搭載するバッテリーは、ダイムラーの子会社が供給。航続距離や急速充電時間を改良した最新の技術を採用していくという。

 日本国内仕様は、GVW7.5トン。急速充電は1.5時間、普通充電は11時間だ。航続距離の記載はないが、100キロメートルとの情報もある。

 今回発表したごみ収集車は、塵芥架装で多くの経験と実績がある新明和工業と共同開発。2019年の春を目処に、川崎市とのごみ収集作業における実証試験を開始するという。

●EV小型トラック(三菱ふそう、eCanter版ごみ収集車)のテクノロジー

 EV小型トラックの採用はCO2排出削減や騒音減少などの課題解決につながる。例えば、ディーゼルの冷凍車両では夜間の商品の配送時にエンジンをかけておく必要があったが、EVならばその必要がない。

 ところが、EVトラックの静音性は両刃の剣だ。近隣住民や道路側の住民には音の静かな優しい時間を提供するが、歩行者には優しいとは限らない。EVトラックには車両接近装置の搭載が義務づけられている。

 ゴミ収集車での実証実験を川崎市と実施し、これら規制の遵守に加え、安全運転面の強化も図るのであろう。環境面やコスト面での改良に加えて、安全運転支援機能がどこまで搭載されるかを注視したい。(記事:小池豊・記事一覧を見る

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