【オイルゲージの役割と使い方(下)】オイルで自動車メーカーの技術水準を判断する

2017年12月31日 08:48

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■「詐欺商法」に注意

 現在の整備士で、自分の指を汚して確認する気構えのある人は少ない。「オイルは酸化しますので交換しましょう」と整備工場、ガソリンスタンドなどでは言われたことがあるだろう。「酸化する」のは2~3年では通常はありえない。それが本当なら「欠陥オイル」である。整備で余計に稼げるのを狙って、脅しているのだ。ディーラーの整備の問題点の一つで、「稼ぐため」に大げさに言うのだ。バッテリーも2年でダメになることは通常はありえない。バッテリーチェッカーなるものを普及させて、交換時期を短縮して、売り上げを上げたいバッテリーメーカーの思惑なのだ。単なる充電不十分などで、データは「交換」を指示している。

【前回は】【オイルゲージの役割と使い方(上)】オイルで自動車メーカーの技術水準を判断する

 バッテリーはセルが回りにくくなってから交換しても遅くはない。走っている間はエンストしない限り、必要がないからだ。災害用に予備のバッテリーを用意しておいて、エンジンがかからなくなるまで待っても支障はない。昔は、セルが回らなくなると、誰かに押してもらったり、坂道で「押し掛け」したものだ。今はATが大多数であるし、電動ポンプなどバッテリー駆動の補器類が動かないことがあるので、車を痛めないために、セルのまわり方が弱くなったら交換するようにするといいだろう。ディーラーの極端な売込みには注意である。昔よりも、車についての知識が要求されるようになってきている。それにもかかわらず、ドライバーの知識が減り、整備士任せになってきているので「詐欺商法」が入り込むのだ。

■オイルで自動車メーカーの技術水準を判断する

 オイルゲージの使い方で、もう一つ大事なのは、オイルの中に細かい鉄粉があるのか否かを見ることだ。新車状態、あるいは、エンジンオーバーホールなどをした直後など、金属の粉がオイルに混ざって見えることがある。5000km走行後、それまでにオイル交換を2回していて、鉄粉が見えたら異常があると考え、整備士に相談することだ。

 現在では詳しい整備士がいないことがほとんどだが、鉄粉が出続けていたら、エンジンのちょっとした異常に神経質になっても良いはずである。

 エンジンも、新車の時はピストンやシリンダー内に、加工後の凸凹が残っているものだ。それが5000km走るぐらいまでに削れてオイルに混ざってくるのだ。新車の時から詳細に観察していると、そのエンジンの加工精度が分るぐらいになる。それは、自動車メーカーの技術評価に直結するぐらいの情報を与えてくれるものだ。自動車ジャーナリストは、これを試乗の時に確かめるべきだろう。デザインや走行性能などだけでなく、製造技術の評価が出来るし、車の耐久性を知る貴重な情報となる。

 しかし振り返って、最近は自分でもオイルゲージを抜くことはさっぱりなくなった。ディーラーは、しきりにオイル交換を勧めるが、勧めている本人が判断出来ていないことは明らかだ。なにせオイルゲージを抜いてもいないのだから。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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