いまだ真相が見えない日馬富士問題、大相撲の今後の行方は

2017年11月18日 10:43

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■日馬富士の暴行について

 日を追うごとに日馬富士が貴ノ岩に対して行った暴行事件が大きく取りざたされてきた。しかし関係者の証言には、言い分に食い違いがあるなど、状況はいまだにはっきりとしない。相撲協会も事情聴取をしているのかあまり多くは語らず、説明不十分という形が続いている。

 2007年に起きた時津風部屋の暴行事件では序ノ口力士が死亡するという大きな事件にもかかわらず一つの部屋の問題ということもあり、すべてが語られていない感がある。ところが今回の暴行事件は2つの部屋が問題にかかわっていることと、日馬富士という横綱の行動ということもあり、メディアの露出は少なくないはずだ。

■モンゴル人力士への視線

 今回の件はモンゴル人力士の集まりで起こった。そのため「これだから外国人力士は」と言われかねない事件になってしまった。しかし、だからと言ってモンゴル人はどうだとか、外国人力士を減らした方がいいというのは行き過ぎと考える。

 この件でモンゴル人力士が土俵上で罵声を浴びせられることだけは避けてほしい。原則として、1つの相撲部屋に外国人力士は1人までというルールに関してはグローバル化の波に遅れていると思われがちだが、こうした出来事があると功を奏したと言わざるを得ない。だがこれは外国人力士だから、日本人力士だからという訳ではなく、相撲道というものを追求していけば起こるはずのないことのため、「このルールを作っていてよかった」という風にならないでもらいたい。

■今後の行方は

 この騒動は九州場所が始まってから公に発覚したため、処分の決定は九州場所後になるだろう。当事者である日馬富士は休場したものの、処分はこれだけで終わるのか相撲協会全体の責任になるのかは定かではない。最悪の場合、1月場所の開催すら危ぶまれるのではないかという懸念までされている。相撲に関するテレビ番組が増え稽古や指導が行き届かなかったのかもしれない。

 日馬富士の四股名がまだ安馬だったころ、彼はひたむきに努力し、前宙をしてでも体を残そうとしたこともあった。おごりが出たのは番付が上がってからだと私は思う。それははっきり言って親方の指導不足、もしくは制御不足に他ならないのではないか。

 「勝って兜の緒を締めよ」ではないが、相撲協会は今こそ気を引き締めて、だれもが納得できるような対応を行うことを期待したい。

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