熱血アニメ列伝その21 俺ならマジンガーを空から攻めるね『劇場版マジンガーシリーズ』

2017年2月7日 09:00

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熱血アニメ列伝その21 俺ならマジンガーを空から攻めるね『 劇場版マジンガーシリーズ 』Copyright(C)ダイナミック企画・東映アニメーション

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 寒い寒い冬がまだまだ続きそうな今日この頃、皆さんいかがお過ごしでしょうか?

 早くも、一年の内の一月が終わりそうなこの時。熱血系アニメ好きにとっては、ビッグニュースの一つが我々の耳に届きましたね。そう、東映さんが制作する劇場版のマジンガーZの公開の決定が先日報じられました。

 と、言う訳で……と言いたいところなのですが、本当にたまたま、今回の熱血アニメ列伝では、後に色々な派生作品を登場させるマジンガーシリーズのレジェンド的な、そして原点とも言える作品を扱います。

 今回扱う作品はずばり、『劇場版マジンガーシリーズ』です!今回は、あらすじの前に、このシリーズの概要から先に説明していきましょう。

■夢のコラボ作品の元祖?『 劇場版マジンガーシリーズ 』とは


 皆さんも良くご存知かと思われます、漫画家「永井豪」先生の代表作の一つ『マジンガーZ』。そのアニメ化作品は、日本のアニメ史において、「人間が乗り込むタイプの巨大ロボットアニメ」の元祖とされています。

 そんなマジンガーZですが、後の様々なアニメに対して影響を与えています。

 マジンガーの必殺武器の一つ「ロケットパンチ」は、架空の兵器としては最もポピュラーな物の一つですし、マジンガーZの最終回における交代劇も後の作品で似たような展開が数多く見られています。

 そして、今回扱う『劇場版マジンガーシリーズ』も、ある要素が後のエンターテイメント作品に多大な影響を与えています。

 その要素とは……「他作品とのコラボレーション」です!

 劇場版マジンガーシリーズの第一作は『マジンガーZ対デビルマン』という作品です(ちなみに「東映まんが祭り」という、それぞれが30分ほどの尺の東映作品を一同に集めた映画作品の中の一つとして上映されました)。

 マジンガーZとその知名度において勝るとも劣らない作品である『デビルマン』。当時の子供達にも絶大な人気を博していたデビルマンとマジンガーZが一緒の画面に映っている!

 この通常であったら、あり得ないコラボレーションは、当時の子供達には、物凄い衝撃を与えたことでしょう。

 そのコラボレーション的要素は、後々の様々な作品に影響を与えていて、このシリーズがあったからこそ、生まれたと言っても過言ではない作品も少なからず存在します。

 その後に影響を受けた作品は後に語るとして、シリーズ全6作(プラス1作品?)のそれぞれの簡単な内容をまずは見ていきましょう。

■いざ行け!スーパーロボット軍団!『 劇場版マジンガーシリーズ 』作品内容


第1作目『マジンガーZ対デビルマン』

 世界征服を目論む、ドクターヘルと、その野望を阻止しようと戦っているスーパーロボットマジンガーZとその搭乗者「兜甲児(かぶとこうじ)」。両者の戦いが激化する中、地球の先住民族とも称されるデーモン一族の一部の妖獣が復活します。

 そのデーモン達を一度は倒した、デーモン族でありながら人を愛する心を知ったことで、人間の味方となった「デビルマン」。人間に姿を変えている時は「不動明(ふどうあきら)」と呼ばれている彼は、甲児と最初は激しく対立。

 しかし、デーモン一族をドクターヘルがその悪魔的な科学力で操り、味方とした事で、マジンガーZとデビルマン、二大ヒーローの共闘が実現するのでした。

 テレビの放送に先がけて、マジンガーが空を飛ぶ為の「紅の翼」こと、「ジェットスクランダー」が初登場。それまでは空を飛ぶ敵には苦戦を強いられていたマジンガーが空を飛び、更に強くなっている事を見ている者に印象付けました。

 今回のタイトルにもある「俺ならマジンガーを空から攻めるね」という台詞は、マジンガーと機械獣(ドクターヘルが使う戦闘ロボットの総称)の戦いを見た不動明のものです。

 マジンガーシリーズと言えば、この名台詞!と言う方も結構多いので、この台詞をタイトルに使用しました。

第2作目『マジンガーZ対暗黒大将軍』

 マジンガーZ本編の最終回を先行して劇場版で放映してしまおう、という意図で作られた作品。

 後の作品、『グレートマジンガー』の敵「ミケーネ帝国」の強力な戦闘獣が世界各地を襲い、マジンガーにも襲撃してきます。その圧倒的な力になすすべなくやられていくマジンガーZ。

 しかし、その時“偉大な勇者”「グレートマジンガー」が駆けつけ、マジンガーがほとんど歯が立たなかったミケーネ軍団をあっと言う間に撃破していきます。

 作画、シナリオ等、今見ても遜色ないぐらいの完成度の高い作品で、現在でも「劇場版マジンガーシリーズでも、この作品が最高傑作」と評する人もかなりいるほどの傑作です。

 マジンガーZが文字通りのボロ雑巾のようにやられて行く様を見た当時の子供達は本当に物凄い衝撃を受けたようです。

第3作目『グレートマジンガー対ゲッターロボ』

 マジンガーシリーズの二作目、『グレートマジンガー』と合体ロボットアニメの元祖『ゲッターロボ』の夢のコラボが実現した本作品。

 突然宇宙から飛来したUFOが地球に落とした宇宙怪獣「ギルギルガン」が、無差別に破壊活動を行います。

 グレートマジンガーのパイロット「剣鉄也(つるぎてつや)」とゲッターロボのパイロットであるゲッターチームのメンバー(「流竜馬(ながれりょうま)」「神隼人(じんはやと)」「巴武蔵(ともえむさし)」)は、このギルギルガンと戦いを始めます。

 が、物語の当初はお互いをライバル視して、いがみあいます。「自分がいればあんな奴いらない!」と言ったような我侭な発言をしていた両者ですが、現在の状況にお互い反省して、やがて協力してギルギルガンに立ち向かうようになります。

 合体、変形が出来るスーパーロボット「ゲッターロボ」と、単体での攻撃能力の高い「グレートマジンガー」の共闘は、当時の子供たちの胸を熱くさせました。

第4作目『グレートマジンガー対ゲッターロボG 空中大激突』

 ゲッターロボが続編の『ゲッターロボG』となったタイミングで公開された作品。

 ゲッターロボで謎のUFOの襲来を迎え撃つゲッターチームでしたが、敵の宇宙怪獣の攻撃により、チームのメンバーの一人「巴武蔵」が戦死してしまいます。

 悲しむ暇もなく、謎のUFOからは別の宇宙怪獣が送り込まれ、新装備への改造の為に前回の戦いでゲッターチームを助けに行けなかったグレートマジンガーが、これに対抗。

 その結合獣「ボング」はグレートの必殺武器の一つ「サンダーブレイク」で撃破されますが、その勝利の隙を、UFO側の決戦兵器ともいうべき「光波獣ピクドロン」に襲われ、グレートは左足と右腕を爆破されるという危機的状況に。

 しかし、そのピンチを助けたのは、新メンバー「車弁慶」を加えた、新生ゲッターチームの新しいゲッター、「ゲッターロボG」でした。

 ゲッターロボの10倍のパワーを持つゲッターロボGですが、ピクドロンの強さはグレートとゲッターG二体の強さを持ってしても簡単に勝てる相手ではありません。

 そこで、グレートの新装備「グレートブースター」が完成。2体のロボットは勝利を手にする事が出来るのか……?

 と、いうあらすじです。しかし、今見るとこの作品は若干突っ込みところが多いかもしれません。無理にゲッターからゲッターGへの乗り換えは無くして、最初からGが出てた方が話はすっきりするような……?とか。

 まあ、あくまで今見ると、なので。やはり当時の子供達はこの新ゲッターとグレートの新装備のグレートブースターのテレビよりも早い公開に、胸を躍らせたのでした。

第5作目『UFOロボ グレンダイザー対グレートマジンガー』

 今までの「夢のコラボ作品!」という形からは少し異なる形態のストーリー展開の本作。

 どちらかというと、テレビシリーズのグレンダイザーの話の中の一つのようなエピソードになっています。

 マジンガーシリーズ三作目である『UFOロボグレンダイザー』の敵、ベガ星連合軍が月に作った基地に新司令官の「バレンドス親衛隊長」が赴任した事から物語が始まります。

 バレンドスの攻撃にTFO(地球で作られたUFOの意味。円盤型の小型戦闘機と思っていただければ)で立ち向かう、マジンガーZの主人公兜甲児ですが、逆にバレンドスに捕らえられてしまいます。

 そして、バレンドスはグレンダイザーの弱点を調べる為に、甲児を自白装置に座らせ、グレンダイザーに匹敵する能力を持つ地球製のスーパーロボット「グレートマジンガー」の存在を知る事になります。

 バレンドスはグレートがロボット博物館に飾られている事を知り、これを強奪。

 こうして、グレートマジンガーとグレンダイザーの悪夢の対決が始まってしまうのでした。

 劇場版マジンガーシリーズは「対」とタイトルに付いているのにも関わらず、ロボット同士が戦う事はありませんでしたが、この作品では本当にグレートマジンガーとグレンダイザーの戦いが繰り広げられます。

第6作目『グレンダイザー ゲッターロボG グレートマジンガー 決戦! 大海獣』

 これぞ!コラボ作品!という雰囲気のある『グレートマジンガー』『ゲッターロボG』『UFOロボグレンダイザー』三作品の主役ロボットが一同に会するという、豪華な作品です。

 突如海中に出現した、超巨大不明生物(と、書くと昨年夏にヒットした某怪獣映画みたいですが)ドラゴノザウルス。

 本来のドラゴノザウルスはそこまで大きな生物ではありませんが、石油などを主食料とした為に異常な進化を遂げた模様で、ミサイルなどの攻撃を一切受け付けない、瞬時に再生するほどの生命力を宿すなど、文字通りのモンスターとなっています。

 通常の兵器では全く歯が立たないこの超自然災害とも言うべき、超巨大不明生物に対し、政府はグレートマジンガー、ゲッターロボG、グレンダイザーとサポート戦闘機のダブルスペイザーを主力とした「ロボット軍団」の設立を提案。

 各ロボットを擁する研究所はこれを快諾。ここに、史上初の最強のスーパーロボット軍団が結成されたのでした!

 この作品は、「劇場版マジンガーシリーズ」の最終作となっており、「コラボ感」をこれでもか!と演出しています。

 この作品だけ、主題歌を新作しており、それが先ほど小見出しのタイトルにも含まれている言葉「いざ行け!ロボット軍団」です。ささきいさおさんが歌唱しているこの歌は、今でも根強いファンがいるほどの熱くて燃える曲の一つとして有名ですね。

 少し上映時間が30分と短いのは残念ですが、逆にこの短い時間でコンパクトによく話がまとまっていて、ドラゴノザウルスの強敵感もあいまって、緊張感のある戦闘シーンは、当時の子供達の胸を高鳴らせました。

 まあ、どうせなら、甲児君が出ているので、ここだけは「マジンガーZ」に搭乗して欲しかったなあ、というファンは当時も今も割といるようですが。

劇場版マジンガーシリーズのおまけ?『宇宙円盤大戦争』

 これを「劇場版マジンガーシリーズ」とカウントしていいのかは、若干判断が迷うのですが、個人的には好きな作品でもあるので、紹介しておきます。

 この作品は、『UFOロボグレンダイザー』のパイロット作品とも言うべきもので、デュークフリード等のキャラクター造形などの共通部分を数多く持ち、30分の作品ながら、グレンダイザーの作品のテーマを伝えるのに十分な作品となっています。

 そして、この作品の主役メカはグレンダイザーではなく「ガッタイガー」と言います。

 このガッタイガーの無敵の戦闘力の描写が個人的にはかなり好きです。広範囲に渡って攻撃出来る「ニードルシャワー」等の武器を持つガッタイガーと、グレンダイザーが某ゲームで共闘するのを待ち望んでいるユーザーさんが結構いるとかいないとか。

 以上の7作品、どれも70年代の作られた物ながら、十分に今でも視聴に耐えうる素晴らしい完成度を誇ります。

■劇場版マジンガーシリーズが残した功績はあのゲーム作品にあり?


劇場版マジンガーシリーズ

画像引用元:Copyright(C)ダイナミック企画・東映アニメーション

 劇場版マジンガーシリーズの魅力、少しは伝わりましたでしょうか?熱血ポイントを改めて説明する必要もないぐらい、どれも一度見れば「これは熱い作品だ!」と思うこと間違いないでしょう。

 大きなレンタル屋さんであれば、DVDレンタルがありますし、各種配信サイトでも見られると思います。そして、これも重要なのですが、全部見ても3時間ほどで済んでしまうのが、一番の魅力かもしれません。

 何度もこのコラムで名前をあげて恐縮なのですが、『スーパーロボット大戦』シリーズでマジンガーシリーズに興味を持つ方は多いと思います。しかし、マジンガーシリーズはどれもかなり話数が多く、全てを見ようとすると、本当に膨大な時間がかかります。

 しかし、この「劇場版マジンガーシリーズ」は十分に我々に「マジンガーシリーズ」の雰囲気を伝えてくれるでしょう。

 これを見るだけでも、スパロボにおける各作品の思いいれがかなり変わると思いますので、スパロボファンの方は特に見ておいて損はないと思います。

 そして、今回のコラムの冒頭でも少し語りましたが、その『スーパーロボット大戦』シリーズは、もしかしたらこの「劇場版マジンガーシリーズ」がなかったら、生まれていなかったかもしれない、と言っても過言ではないのです。

 それほど、このシリーズには「コラボ(クロスオーバー)作品のお手本」のような要素が凝縮しています。

 是非、スパロボファンの方も、あるいはぼんやりとマジンガーシリーズに興味を持った方も、マジンガーシリーズの入り口として、この作品に触れてみるのは悪くない選択だと、自分は自信を持ってお勧めします。

 アニメで血を滾らせる!熱血アニメ列伝 シリーズ【好評連載中】

(あにぶ編集部/あすかつぐよし)

Copyright(C)ダイナミック企画・東映アニメーション

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