AMD Zen 6「Medusa Point」とみられる試作品、Lenovo機でGeekbench 7に登場

2026年11月7日 16:20

印刷

記事提供元:Tech Times

(Amd.com)

(Amd.com)[写真拡大]

AMDの次世代モバイルCPU「Medusa Point」とみられる試作品が、Lenovo機のGeekbench 7実行結果に登場した。10コア20スレッドの構成で、シングルコア3100点、マルチコア1万8313点を記録している。

VideoCardzによると、この記録を見つけたのはハードウェア情報を発信するHXLだ。シングルコアのスコアは、同じGeekbench 7で集計されたデスクトップ向けRyzen 9 9950X3Dの平均値を約1.6%上回った。

■Lenovo機に搭載された10コア試作品

Geekbench Browserには、2026年11月5日付で「LENOVO 22ETPF6DTA」の実行結果が登録されている。CPU名は「AMD Eng Sample: 100-000001713-32_Y」で、Windows 11 Pro上のGeekbench 7.1.0による測定だ。

CPU情報には、4コアと6コアの二つのクラスター、合計10コア20スレッドが記載されている。L2キャッシュは各コア1MBで合計10MB、L3キャッシュは16MBと表示される。VideoCardzなどは、この試作品をZen 6世代のMedusa Pointとして報じている。

今回の記録で注目されるのは、システム名とマザーボード名の両方がLenovoになっている点だ。これまで報じられた「100-000001713-31_N」「100-000001713-33_N」の試作品は、「AMD Plum-MDS1」というプラットフォームで測定されていた。異なるシステム上での記録は、搭載機の開発動向を追う手掛かりになる。

周波数欄にはベース2.00GHz、最大1996MHzと記載されている。一方、HotHardwareによる詳細データの分析では、測定中の周波数として2812〜3817MHzが記録されていたという。周波数の表示には不整合があり、試作品の動作条件を読み解くには詳細ログも含めた確認が必要だ。

■デスクトップCPUに並ぶシングルコアスコア

Primate LabsのGeekbench 7プロセッサー比較表では、2026年11月7日確認時点のシングルコア平均はRyzen 9 9950X3Dが3051点、Ryzen 9 9950Xが3069点、Ryzen 9 9900Xが3024点だった。今回の試作品の3100点は、これらを上回る。

同じ比較表では、Ryzen 7 9850X3Dが3131点、Ryzen 9 9950X3D2が3165点を記録している。試作品は、この二つの製品に近い位置にある。比較対象は、いずれもGeekbench 7のシングルコアスコアだ。

マルチコアの1万8313点は、12コアのRyzen AI Max PRO 390の平均1万8541点を約1.2%下回り、Ryzen AI Max 390の1万7393点を約5.3%上回る。Core i9-14900の1万7729点、Core i7-13700KFの1万8046点も超えている。これらの平均値も2026年11月7日確認時点のものだ。

Primate Labsの比較表は、ユーザーが投稿した結果から作成され、少なくとも五つの異なる結果があるCPUを掲載している。今回の値は一つの試作品の実行結果であり、比較表の平均値とは測定回数やシステム構成が異なる。製品の評価には、同じ用途や電力条件での比較も重要になる。

■過去の試作品では32MBのL3キャッシュを記録

2026年7月に登録された「100-000001713-33_N」の記録も、10コア20スレッド、4+6のクラスター構成だった。Geekbench Browserでは、L2キャッシュが合計10MB、L3キャッシュが32MB、ベース周波数が2.00GHzと表示されている。

この試作品はGeekbench 6.6.0でシングルコア3329点、マルチコア1万6555点を記録した。Notebookcheckは、詳細な周波数データに基づくピークが約5.3GHzだったと報じ、Tom's Hardwareは5.37GHzとしている。

今回の試作品とは、表示上のL3キャッシュ容量が16MBと32MBで異なる。VideoCardzは、AMDが異なる構成を試している可能性を挙げている。試作品ごとの記録を追う際には、コア数に加えてキャッシュや動作条件にも目を向ける必要がある。

過去のスコアとの比較は、ベンチマークの世代をそろえて行う。Primate Labsが2026年7月23日に公開したGeekbench 7は、処理内容やスコアの基準が更新され、Ryzen 7 7700の2500点を基準としている。Geekbench 6の結果ページでも、比較対象をGeekbench 6の結果に限定するよう案内している。

OC3Dが2026年7月に掲載した比較では、Ryzen AI 9 HX 370のGeekbench 6.6スコアはシングルコア2605点、マルチコア1万3397点だった。先の試作品は、それぞれ約27.8%、約23.6%高い。また、ITC.uaは当時、Apple M5のマルチコアを約1万7200点と紹介し、試作品の1万6555点と比較していた。

■Zen 6で進む命令セット対応

AMDは2026年7月23日、Zen 6世代のサーバー向けEPYC 9006シリーズを発表した。モバイル向け試作品の記録と併せて、開発者向け資料やコンパイラーの対応からも、新世代CPUの機能が見えてきている。

Tom's Hardwareによると、AMDの性能監視カウンター資料には、Zen 6の8スロットのディスパッチ機構が示されている。ディスパッチは、処理する命令を実行側へ送り出す段階だ。AMDのZen 5技術資料にも8命令幅のディスパッチが示されており、設計を理解する際にはデコードとディスパッチを区別して読むことが重要になる。

GCCの公式文書では、Zen 6向けの「znver6」にAVX-512 FP16、AVX-VNNI-INT8、AVX-IFMA、AVX-NE-CONVERT、AVX512-BMMへの対応が記載されている。先行するMedusa Point試作品のGeekbench記録にも、AVX-512 FP16やAVX-VNNIが列挙されていた。

FP16は16ビットの半精度浮動小数点形式で、AVX-512 FP16は、この形式のデータをまとめて演算するための命令セットだ。対応するソフトウェアでCPUの演算機能を活用する手段が増える点に意味がある。今回のベンチマークは「Windows AVX2」と表示されており、命令セットの対応状況とスコアは、それぞれの情報として捉える必要がある。

■新しい実装基盤と2027年への見通し

PC Games Hardwareによると、Medusa Point向けとされるFP10の寸法は25×42.5mmで、Ryzen AI 300シリーズが使うFP8の25×40mmより面積が約6.3%大きい。ノートPCではCPUを基板へ直接実装するため、こうした実装基盤の変更は、基板配置や電源、冷却設計を検討する際の要素になる。

製造プロセスについては、VideoCardzがKepler_L2のリーク情報として、上位構成でN2PのCPUチップレットとN3Pの入出力ダイを組み合わせ、下位構成でN3Pの単一ダイを使う計画を報じている。TSMCの公式資料では、N3PはFinFET、N2Pはナノシート型トランジスタを用いる技術として区別される。製造技術とCPU内部の設計は、性能や消費電力を考える際の別々の要素だ。

TweakTownなどは、Medusa PointがRyzen AI 500シリーズとして2027年初めに登場し、CES 2027で発表される可能性を報じている。TechSpotも、流出したロードマップを扱う報道で、AMDのRyzen AI 500とIntelのNova Lakeを2027年の製品として紹介している。製品名や投入時期は、報道段階の見通しだ。

現行製品では、AMDは2024年にZen 5世代のRyzen AI 300シリーズを投入し、2026年1月にはRyzen AI 400シリーズを発表した。日本語の公式発表でも、400シリーズはZen 5アーキテクチャとXDNA 2 NPUを採用すると説明されている。

今回の試作品は、次世代モバイルCPUの性能を考える材料になる。ノートPCの購入や企業の更新計画では、今後公表される搭載製品の仕様、実売価格、バッテリー駆動時間、実際の業務ソフトでの性能が判断材料となる。

元記事: AMD Zen 6 Medusa Point Beats Ryzen 9 9950X3D at 2.0 GHz in First Lenovo OEM Test

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

関連キーワード