イラン、新国防相にミサイル産業出身者 湾岸AI基盤への攻撃も警告

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イラン議会は2026年10月18日、ミサイル産業で長年の経歴を持つメフルダド・アクラギ・ケタブチの国防相就任を承認した。イランの安全保障当局者はこれに先立ち、米国との戦闘が再開した場合、湾岸地域の米国関連データセンターやAI施設、海底通信ケーブルを攻撃すると警告している。
新国防相は軍需産業の再建と民間企業との協力拡大を掲げる。一方、国会議長はAI企業への資金や電力の提供を控えるよう湾岸諸国に要求しており、デジタル基盤を巡る圧力が続いている。
■ミサイル産業出身者が軍需基盤の再建を担う
タスニム通信によると、イラン議会は10月18日のオンライン会議でアクラギ氏への信任を可決した。ロイター通信によると、同氏は航空宇宙・ミサイル分野の要職を歴任し、米国と欧州連合(EU)の制裁対象となっている。
前任のアジズ・ナシルザデ国防相は、2月28日の米国とイスラエルによる攻撃で死亡した。その後はマジド・エブン・アルレザ氏が職務を代行しており、AFP通信によると、同氏の国防相代行への任命は3月2日だった。
アクラギ氏は航空宇宙産業機構(AIO)のトップを務めた経歴を持つ。米財務省はAIOを、イラン国防省傘下でミサイル計画を管理・調整する組織と説明している。傘下にはシャヒド・バゲリ工業グループ(SBIG)やシャヒド・ヘンマト工業グループがある。
国連安保理の制裁資料は、アクラギ氏をSBIGの責任者として記載している。国連によると、安保理決議2231の手続きに基づき、日本時間2025年9月28日に従来の対イラン制裁と対象者リストが復活した。関連措置には資産凍結や対象者への資金提供の制限が含まれ、取引には適用される制裁の確認が必要となる。
イランのヌールニュースによると、アクラギ氏は10月12日に示した16項目の計画で、国防省の組織再編や、防護・被害軽減を考慮した生産基盤の再建を優先課題に挙げた。ロイター通信は、同氏が防衛技術の開発加速と民間企業との協力拡大も約束したと報じた。
ロイター通信によると、アクラギ氏は米国が再び攻撃すれば、意表を突く広範な対応を取ると警告した。米国の大型爆風爆弾MOABの使用にも言及し、対抗するために必要な措置を講じたと述べた。
■米軍の攻撃案にMOAB、地表への爆風を重視
CNNは10月15日、事情に詳しい米当局者らの話として、米軍がイランのエネルギー施設や核施設を攻撃する計画に、GBU-43/B大型爆風爆弾(MOAB)の使用を盛り込んでいると報じた。トランプ大統領が戦闘作戦の再開を命じた場合を想定した選択肢だという。
MOABは「すべての爆弾の母」の異名を持つ。米空軍兵器博物館の資料では重量は2万1600ポンドで、H6と呼ばれる高性能爆薬を搭載する。GPSなどで誘導し、地表付近の広い範囲に爆風を及ぼす設計だ。
米国防総省の説明によると、MOABはC-130輸送機の機内にある投下用の台から、パラシュートで引き出される。機外に出ると台から離れ、翼や格子状の尾翼で姿勢を安定させながら目標へ向かう。薄い外殻を使い、地表への貫通よりも大きな爆風を生むことを重視している。
地下深くの強固な施設への攻撃を目的とする兵器には、GBU-57大型貫通弾(MOP)がある。米空軍の資料によると重量は3万ポンド、約1万3600キログラムで、地中を貫通する誘導兵器として設計された。米軍は2025年6月のフォルドゥ核施設への攻撃で、B-2ステルス爆撃機から同兵器を投下したと発表している。
CNNが取材した関係者は、MOABについて広範囲の掃討や心理的な圧力に使う兵器と説明し、地下深部の施設に対する効果には疑問を示した。イラン国営Press TVも10月18日の論説で、MOABを巡る報道を宣伝・心理戦の一環と位置付けた。
CNNによると、トランプ氏は11月3日の米中間選挙前に新たな攻撃を行わないと公言した一方、顧問らはその発言が変更される可能性にも言及している。ホワイトハウスは、イランの核兵器保有を阻止するため、あらゆる選択肢を維持する姿勢を示している。
■湾岸のAI施設と海底ケーブルに条件付きの警告
最高国家安全保障会議のモフセン・レザイ書記は、10月中旬までに報じられたPress TVのインタビューで、戦闘が再開すれば地域の米国関連技術資産を攻撃すると警告した。元革命防衛隊司令官の同氏は、データセンター、AI施設、海底ケーブルを具体的に挙げた。
Press TVによると、レザイ氏はアラブ首長国連邦(UAE)やホルムズ海峡周辺にある米国関連資産に言及し、地域のデジタル基盤を米国経済の動脈になぞらえた。同氏の評価では、対象となる資産の価値は2兆ドル(約316兆円)を超えるという。
通信ケーブルを経済的な圧力に使おうとする議論は以前からあった。ユーロニュースによると、革命防衛隊に近いタスニム通信は5月、ケーブルの所有・運営主体から通過料を徴収し、保守サービスや規制への従属を求める案を提示していた。今回の警告は、武力による損傷の可能性を明示したものだ。
米技術メディアのThe Registerによると、タスニム通信は3月にも、イスラエルや湾岸諸国にある米テクノロジー企業の施設を攻撃候補として列挙した。Google、Microsoft、Oracleなどの施設が含まれ、事務所、研究開発拠点、データセンターが対象とされていた。
Iran Internationalによると、保守強硬派紙Kayhanの編集長で同紙における最高指導者の代表を務めるホセイン・シャリアトマダリ氏も、レザイ氏の警告を支持した。同氏は10月12日の論説で、海底光ファイバーケーブルを米国やその同盟国への圧力として活用するよう主張した。
こうした警告の背景には、湾岸諸国と米テクノロジー企業との結び付きがある。Microsoftは2025年11月、G42との協力を通じてUAEのデータセンター容量を200メガワット拡張する計画を発表した。サウジアラビア東部のダンマームにもGoogle Cloudのリージョンがあり、同社は2023年11月の開設後、AIなどのサービスを拡充している。
■通信障害の広がりは経路と代替容量で変わる
通信調査会社TeleGeographyによると、ホルムズ海峡を通過する稼働中の主要ケーブルには、AAE-1、FALCON、Gulf Bridge International Cable Systemがある。海峡内ではオマーンの海域に集まって敷設されており、近接する複数の回線が損傷するリスクがある。
湾岸の通信網は、海底ケーブルと隣国を経由する陸上回線を組み合わせている。TeleGeographyは、障害の影響が通信事業者の利用回線数や代替経路の容量によって変わると説明している。複数回線が同時に使えなくなれば、残る経路への切り替えに伴い、通信速度やサービスの利用に支障が出る可能性がある。
国ごとの接続条件にも違いがある。同社によると、UAEの海底ケーブルは主にオマーン湾側のフジャイラに陸揚げされ、サウジアラビアの国際通信容量の大部分は紅海側を経由する。カタール、バーレーン、クウェートにはサウジアラビア経由の陸上接続もある。
修理には専用船が必要となる。損傷箇所を調べ、海底からケーブルを引き上げて交換区間を接続する作業に加え、入域許可や船の手配が復旧時期を左右する。TeleGeographyは、作業中の船が一定の位置にとどまる必要があるため、戦闘が続く海域では安全確保が大きな課題になると指摘する。
データセンターと通信回線は、サービスを提供するうえで相互に依存する。施設の電力やサーバーが稼働していても、外部との接続が損なわれれば、銀行、商取引、クラウド、AIサービスに影響が及び得る。事業の継続性を考える際には、建物の防護に加え、通信経路や他拠点への切り替えも重要になる。
■民間デジタル基盤の保護と「データ庁」構想
赤十字国際委員会(ICRC)は、民間目的だけに使われるデータセンターを、国際人道法で攻撃から保護される民用物と説明している。軍事利用によって軍事目標となるかは、軍事行動への実効的な寄与と、攻撃によって得られる明確な軍事的利益に基づき、個別に判断される。
ICRCによると、軍事目標となる場合にも、均衡性の原則と予防措置の義務が適用される。評価には施設内で働く人々への被害だけでなく、通信や不可欠なサービスの停止を通じて生じる、予見可能な間接的被害も含まれる。
海底通信ケーブルには、1884年の海底電線保護条約などによる法的枠組みもある。同条約は故意または過失による損傷への処罰などを定める一方、第15条で交戦国の行動の自由を留保している。武力紛争時の攻撃を考える際には、国際人道法上の規則が重要となる。
こうした中、モハンマド・バーゲル・ガリバフ国会議長は10月18日、Xに「ペルシャ湾データ庁」を設ける構想を投稿した。Benzingaによると、地域の政府、政府系ファンド、民間企業に対し、侵攻や子どもの殺害を支援すると同氏が非難するAI・データ企業へ、資金、出資、土地、エネルギーを提供しないよう求めた。
ガリバフ氏は、支援する側にも執行措置を取ると警告した。Benzingaによると、対象企業の具体名や、構想の運営方法、権限、他国で活動する企業への執行方法は示されなかった。米シンクタンクのアトランティック・カウンシルの経歴資料によると、同氏は革命防衛隊空軍の司令官を務めた人物でもある。
■海運への攻撃とホルムズ交渉も続く
ホルムズ海峡周辺では、商船への攻撃も続いている。Financial Expressは10月15日、同月に地域で攻撃を受けた船舶が20隻を超え、その多くがタンカーだったと報じた。アルジャジーラも、10月5日までの1週間に少なくとも12隻が攻撃され、開戦後で最も多かったと伝えた。
シンガポール海事港湾庁によると、同国船籍のコンテナ船GFS Prideは10月13日、ホルムズ海峡の通航中に正体不明の飛来物に当たったと報告された。船は損傷・炎上した後に沈没したが、乗組員21人は全員避難し、負傷者の報告はなかった。
ロイター通信は、国際海事機関(IMO)のデータに基づき、GFS Prideが2月28日の開戦後で2隻目の沈没船になったと報じた。続いて、9月23日に飛来物による被害を受けた貨物船Cape Daoの沈没も10月14日に伝えられた。これ以前にはSafeen Prestigeが失われている。
航行状況の把握に使われる船舶自動識別装置(AIS)は、船位や識別情報などを自動送信する。IMOによると、搭載義務の対象は国際航海に従事する総トン数300トン以上の船、国際航海以外の総トン数500トン以上の貨物船、そして大きさを問わずすべての旅客船だ。
石油輸送量も変動している。アルジャジーラが紹介したCNBC報道によると、Kplerの集計では10月7日までの1週間にホルムズ海峡を通過した原油は日量平均850万バレルで、通常水準を約40%下回った。これは同期間の集計値で、日々の輸送量には大きな変動がある。
■海峡再開と核協議の順序が争点に
ロイター通信によると、米国とイランはカタールやパキスタンなどを介して間接的なやり取りを続けている。6月の暫定停戦が崩れ、攻撃が再び行われる中、イランは9月に海峡再開に向けた提案を示し、その後、米国の回答を受け取った。
アッバス・アラグチ外相は10月18日、7日間の提案は引き続き有効だと述べた。Indian Expressによると、条件にはイラン港湾に対する米国の海上封鎖の解除、イラン産原油輸出への制裁解除、地域の全戦線での敵対行為の終了が含まれる。米国が条件を受け入れれば6日目に海峡を開き、7日目に協議を再開する構想だ。
交渉では核問題を扱う順序が争点となっている。ロイター通信によると、米国は当初からイランの核計画を議題にするよう求め、イランはまず海峡の再開と航行の安全を扱うべきだとしている。Indian Expressは、JD・バンス米副大統領が10月初め、イランのウラン濃縮能力の大幅な削減を要求したと伝えた。
海運と通信は、湾岸の経済活動を支える基盤だ。レザイ氏の警告とガリバフ氏の呼びかけは、デジタル施設やその支援企業も対立の対象として名指しするもので、地域のAI・クラウド投資に安全保障上のリスクを加えている。湾岸に事業基盤を持つ企業には、施設、電力、通信経路を一体として捉える必要性が増している。
元記事: Iran Installs Missile-Program Veteran as Defense Chief, Puts $2T Gulf AI Network in Crosshairs
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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