現代自動車グループ、Atria AI搭載「レベル2++」車を2029年後半に量産へ

(Hyundaimotorgroup.com)[写真拡大]
現代自動車グループは、自社開発の自動運転システム「Atria AI」を搭載したレベル2++車を2029年後半に量産する計画を明らかにした。これに先立ち、NVIDIAの技術を利用するレベル2+車を2028年上期、レベル2++車を同年下期に投入する方針だ。
同グループは、走行データの収集からAIの学習、検証、車両への展開までを循環させる「データ・フライホイール」も本格稼働させた。現代自動車と起亜が世界で年間700万台以上を販売する事業基盤を、将来の大規模なデータ収集とAI開発につなげる考えである。
■2028年にNVIDIA基盤、2029年に独自AIを量産へ
現代自動車グループは9月11日、韓国・京畿道城南市の42dot本社で「HMG Autonomous Driving Media Day」を開催し、自動運転支援技術の開発戦略とロードマップを発表した。発表内容は9月13日付で公表された。
同グループは、外部の実用化された技術を活用して量産を早める一方、独自技術を並行して開発する「ツートラック戦略」を進める。第1段階として、NVIDIAの車載AIコンピューティング基盤と自動運転ソフトウェアを採用したレベル2+車を2028年上期に量産する。2028年下期には、同じくNVIDIAのソリューションを基盤とするレベル2++車を投入する計画だ。
第2段階では、現代自動車と起亜のAVP本部、グループのソフトウェア開発会社42dotが共同開発するAtria AIを量産車に適用する。Atria AIを搭載したレベル2++車は、2029年後半の量産開始を目標としている。
現代自動車グループは今回、Atria AIを搭載したテスト車両が、ソウルの複雑な市街地を運転者の介入なしで走行する映像も公開した。公開映像は技術の開発状況を示すものだが、市販車としての性能や利用条件は、量産までの検証や各市場の法規、認証によって定まることになる。
■年間700万台超の事業基盤をAI開発に生かす
ロードマップの中核を成すのが、データの収集、AIの学習、検証、車両への展開を繰り返すデータ・フライホイールである。車両から得たデータを学習と検証に利用し、改良したAIモデルを再び車両に適用することで、新たなデータの獲得と性能改善につなげる。
現代自動車と起亜は、約190の国と地域で年間700万台以上を販売している。同グループは、この販売規模を大量の実走行データを取得できる潜在的な基盤と位置付けている。年間販売車両のすべてから直ちに自動運転用データを収集するという意味ではなく、対応する車両やセンサー、データ基盤を拡大しながら開発に生かす構想である。
現在は、約40台の専用データ収集車両を24時間体制で運用している。AIが認識や判断を難しいとした場面を選び出す「ハード・エグザンプル・マイニング」により、一般的な走行場面を無差別に蓄積するのではなく、学習上の価値が高い事例を優先して抽出する。
同グループは、実走行データを三次元の仮想環境に再構成し、危険な状況や実車では再現しにくい状況をシミュレーションする仮想検証技術も利用する。新しいAIモデルの導入によって、それまで対応できていた場面で性能が低下していないかを継続的に確認する役割も持つ。
韓国と米国の開発拠点を時差でつなぐ「フォロー・ザ・サン」方式も採用し、データ収集、問題の分析、モデル改良を連続的に進める。自動運転中の重要な事象と関連データを記録するSpecial Event Recorderは、データ・フライホイールへの段階的な統合が進められている。
■車両や組織をまたいでデータ形式を共通化
大量のデータを学習に生かすには、車両やシステムごとに異なるセンサー構成とデータ形式をそろえる必要がある。現代自動車グループは、NVIDIA DRIVE Hyperion 10を軸として、現代自動車、起亜、42dot、自動運転合弁会社Motionalが使用するセンサー構成を段階的に標準化する。
同グループは、この共有データ基盤を「Data Union」と呼ぶ。異なる車両や組織から取得したデータを一定の基準で蓄積し、AIの学習と検証に利用しやすくする仕組みである。
NVIDIA DRIVE Hyperion 10は、車載コンピューター、カメラ、レーダー、LiDARなどを組み合わせたリファレンスアーキテクチャで、DRIVE AGX Thorを採用する。NVIDIAは、同アーキテクチャについて、レベル2の運転支援からレベル4の自動運転開発まで拡張でき、ISO 26262のASIL D要件に対応できる設計としている。
■Atria AIとVLAを並行開発
Atria AIは、カメラなどから得た入力を基に車両の走行計画を生成するエンドツーエンド型の自動運転システムである。現代自動車グループは、その開発と並行して、Vision-Language-Actionモデルを使った次世代技術の研究も進めている。
VLAは、視覚情報、言語による状況理解や推論、行動の生成を組み合わせるAIモデルである。自動運転への応用では、道路状況を認識するだけでなく、周囲の車両や歩行者の動き、交通上の文脈を踏まえて走行判断につなげる構造に特徴がある。
まれにしか起きない複雑な交通状況では、過去の走行データに含まれるパターンを模倣するだけでなく、場面の意味や周囲との関係を読み解く能力が重要になる。視覚、言語、行動を一つの情報処理の流れとして扱うVLAは、こうしたエッジケースへの対応を考えるうえで有力な研究テーマとなっている。
一方、自動運転向けVLAは発展途上の分野であり、査読済みの調査論文では、堅牢性、リアルタイム処理、形式的な安全性検証などが主要な課題として挙げられている。現代自動車グループは、エンドツーエンド型システムとVLAを並行開発することで、技術的な安定性と拡張性を高める方針だ。
VLAモデルは現在、シミュレーションを使った検証段階にある。実車試験を含む開発工程は2026年後半から始まり、2027年初めまで進められる予定である。VLAの具体的な量産車への適用時期や、Atria AIの中で担う機能の範囲は明らかにされていない。
■「レベル2++」はSAEの正式区分ではない
現代自動車グループが使う「レベル2+」と「レベル2++」は、SAE Internationalが定める正式な自動運転レベルではない。SAEの分類はレベル0からレベル5までの6段階で、レベル2は運転支援、レベル3以上は一定条件下でシステムが動的運転タスクを担う自動運転に区分される。
現代自動車グループは、レベル2+を高速道路でのハンズオフ運転支援、レベル2++を市街地を含む、より広い状況に対応する運転支援技術として位置付けている。どちらもレベル2の範囲にあり、機能の作動中も運転者が周囲を継続的に監視し、必要に応じて操舵、制動、加速を行う必要がある。
したがって、「レベル2++」という名称だけでレベル3に近い法的な扱いになるわけではない。日本を含む各市場で提供される機能、利用条件、運転者の義務については、発売時の正式発表と適用法規を確認する必要がある。
■2026年末に光州でレベル4の実証へ
現代自動車グループは、韓国国土交通部と協力し、2026年末までに韓国・光州でレベル4自動運転の実証事業を始める計画も示した。実環境で取得した大規模な検証データを、Atria AIとデータ・フライホイールの開発に利用する。
AVP本部長兼42dot代表のPark Minwooは、自動運転分野の競争力は個別機能を最初に開発したかどうかではなく、どれだけ多くのデータを確保し、速く学習し、その結果を製品とサービスに反映できるかによって決まるとの認識を示した。
今回のロードマップで明確になった到達点は、NVIDIAを利用した量産車を2028年に投入し、その後、独自のAtria AIを搭載するレベル2++車を2029年後半に量産するという計画である。データ・フライホイールとセンサーの共通化、実車と仮想環境を組み合わせた検証体制を構築し、段階的な量産につなげられるかが焦点となる。
元記事: Hyundai Sets 2029 Self-Driving Deadline: Language-Reasoning AI Backs 7 Million Cars
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
スポンサードリンク
