ハイブリッド車や電気自動車、冠水時の感電危険性は?

2019年10月15日 08:22

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トヨタプリウス構造(画像:トヨタ自動車株式会社発表資料より)

トヨタプリウス構造(画像:トヨタ自動車株式会社発表資料より)[写真拡大]

 ハイブリッド車やEV車は、高電圧でクルマを動かしているため、水没時の感電が気になるだろう。しかし、各自動車メーカーでは、数多くの災害を想定して開発を行っており、水没したぐらいで感電を起こすハイブリッド車はないので安心してほしい。

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 アメリカのテスラとフィスカー・オートモーティブが製造した電気自動車で火災が発生したが、現在販売されている国産のハイブリッド車や電気自動車で、浸水により感電や火災になった報告は聞かれない。

 日本の各自動車メーカーでは、電気自動車やハイブリッド車のレスキュー時の取り扱いについて、マニュアルをまとめている。その中に水没時の対応方法もマニュアルに記載されている。

 ホンダでは、水没すると水の侵入による漏電でショートし、パワー系のヒューズやリチウムイオンバッテリーのメインヒューズが溶断して高電圧が遮断される。ただし、水深が浅い場合や、水没しても漏電が発生しない部位までの水没では高電圧が遮断されないことがあるとある。

 トヨタの場合は、水没しても車体に高電圧がかかることはなく、感電の心配がないとしている。

 日産とマツダでは、マニュアルには車両に損傷があるか確認をし、高電圧バッテリーに変形や損傷があり、バッテリーが露出している場合は絶縁保護具の着用を推奨している。

 しかし、実際に今まで多くの事故や自然災害にハイブリッド車は遭遇してきたが、火災が起きた事例はないことからも、非常に堅牢なケースの中にバッテリーが格納され、絶縁対策も万全に取られている。

 また高速道路などで大きな事故となり、たとえ大破しても高電圧バッテリーから火災が起きないよう設計されている。逆にガソリン車のほうが高速道路で大破すればその気化ガスにより爆発炎上の危険性が高い。

 このように、高電圧のバッテリーを積んだハイブリッド車やEV車は、巷でうわさされているほど感電の危険性は大きくない。ただし、水が引いたからとクルマに乗り込みエンジンを始動することは、感電の危険があるので避けなければならない。

 どのメーカーのハイブリッド車と電気自動車であっても、車体と高電圧バッテリーは絶縁されている。水没しているハイブリッド車に救助者を発見したら、「ハイブリッド車だから危ない!」と周りから言われても臆することなく救助してほしい。(記事:小泉嘉史・記事一覧を見る

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