マツダ・ディーゼル48VマイルドHVついに投入へ 「Well to Wheel」(油田からタイヤまで)

2018年9月13日 17:18

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 マツダが、得意のクリーンディーゼルで、48Vマイルド・ハイブリッドに仕立て上げてきた。基本的にはスバル・フォレスターと同じようなシステムだ。ベンツ・S450とは同じ48V電源ということになる。マイルドHVにするのは、低速での燃費向上効果が望めるし、低速でのモーターアシストは使いやすさが出るからだ。

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 まずはCX-5に積んでくるようで、今後もSUV中心の方針だ。これらのHV技術はトヨタからの技術提供ではなく、独自の開発によるものだ。「マイルド・ハイブリッド」と言われるモーター出力の小さいもので、スバル・新型フォレスターと基本的に同じ構造だ。48Vシステムを採用したようだが、これは最近、ドイツ車が取り入れてきているシステムだ。

 48Vを採用するのは、電動スーパーチャージャーなどを駆動するのに12V電源では電力が不足するためだ。これでエンジン低速から有効なトルクを稼ぎ出し、燃費を向上させ、低速での使い勝手を良くすることに貢献している。これにモーターアシストが付くのだから、街乗りでは使いやすくなるであろう。また、エンジン低回転から一瞬の加速力を持ち、高速道路への合流などの場面では有効であろう。マツダはエンジンの熱効率を上げることと、このシステムでの効率アップを合わせて2割の燃費向上を見込んでいる。

 マツダには、「SKYACTIV-X(スカイアクティブ・エックス)」と名付けた「理想のエンジン」と言われる、圧縮着火を使ったガソリンエンジンがある。現在、実用化テスト中ではあるが、近いうちの実際の車に積んでくるものと考えられる。これはガソリンエンジンでありながら、ディーゼルエンジンのようにスパークプラグで着火せずに発火できることを基本として、圧縮比を14程度まで上げ着火させるが、一部火花着火を伴ったやり方で、「火花点火制御圧縮着火(SPCCI)」と称している。ガソリンで圧縮着火させるのはノッキングを起こし難しいのだが、マツダは実用化寸前にまでこぎつけている。

 日産の「可変圧縮比エンジン」と共に理想のエンジンと言われており、こうした日本メーカーの高度な技術開発は、欧州勢には脅威となってきている。世界最大の市場となった中国でも、エンジン技術、HV技術で日本勢を追うことを諦め、一気にEV化して、自動車産業の主導権を握ろうとしているのが現実の姿であろう。

 EV化をCo2削減に有効な手立てとするには、発電でCo2削減できなければ逆効果になってしまうことが明白のため、自然エネルギーによる発電に切り替えようと、ドイツは努力している。しかし、電気料金の思わぬ高騰を招き、見直さねばならない情勢だ。天候に左右される自然エネルギー発電では、バックアップ電源として従来の火力発電所などを稼働し続けねばならず、コストがかさむのだ。一方、中国は、現在使用している低効率の火力発電所では、むしろEV化はCo2排出を増やしてしまうので、原発建設を急いでいる。地震の少ない中国であっても、はたして原発が正解なのかの議論が別途行われなければなるまい。

 マツダは、こうしたEV化の流れの中で、「Well to Wheel」(油田からタイヤまで)をテーマに、独自の道を切り開こうとしている。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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