STマイクロ、車載用MEMS6軸センサ発表 自動車の位置を正確に把握

2018年8月3日 11:15

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車載用6軸モーション・センサのASM330LHH(写真:STマイクロエレクトロニクスの発表資料より)

車載用6軸モーション・センサのASM330LHH(写真:STマイクロエレクトロニクスの発表資料より)[写真拡大]

 STマイクロエレクトロニクスは1日、超高精度のモーション・トラッキングを実現する車載用6軸モーション・センサ「ASM330LHH」を発表した。

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 自動運転を実現する一つの要は、自動車の正確な位置情報を随時取得することだ。衛星測位システムなどの衛星信号は位置情報取得に必須である一方、トンネル内などでは衛星信号が受信できない課題がある。この課題を解決するのが、ASM330LHHだ。

 推測航法アルゴリズムは、衛星信号の受信が途切れた場合でも、ASM330LHHのセンサ・データを利用することで、正確な位置を計算。衛星信号の受信が困難な高層ビル群、トンネル内や地下、駐車場、山林などを走行中でも測位が可能となる。ASM330LHHに搭載された6軸モーション・センサが検知する高精度の慣性データは、先進的な自動運転システムの要求を満たすという。

 高精度な位置情報取得に加えて、ASM330LHHは、自動車などの移動体に通信システムを組み合わせたテレマティクスに有用という。テレマティクスには、電子料金徴収システム、遠隔診断、緊急通報システムアシスタンスなどがあり、高い信頼性が要求される。伊の大手自動車部品メーカーであるマニェーティマレッリ社は、ASM330LHHを先進的なテレマティクス・システムに採用。世界的な自動車メーカー各社が今後発売する自動車に、純正品として搭載される予定だ。

●ASM330LHHの特長

 MEMSプロセス技術により、同一シリコン・ウェハへ3軸加速度センサと3軸ジャイロ・センサを集積し、優れた歩留まり、品質および信頼性を実現。そのセンシング・データを基に、推測航法アルゴリズムで測位。

 105度までの動作温度範囲を実現したことは、自動車のルーフに設置されたスマート・アンテナ内部やエンジン・ルーム近辺など、高温になる場所への電子制御ユニットの設置を可能にした。この高温条件に於いても、正確な測位が可能だ。超低ノイズを活かし、測位の積分誤差を最小化した測定分解能を実現。加えて、温度補正も内蔵しており、動作温度範囲全域にわたり外部補正アルゴリズムが不要だ。

 チップの大きさは、3×2.5×0.83ミリメートルの小型・薄型パッケージで、車載モジュールの小型化への要求にも応える。

●6軸モーション・センサ(STマイクロ、ASM330LHH)のテクノロジー

 MEMS技術で6軸モーション・センサを1チップ化し、車載規格であるAEC-Q100に準拠。デンソー、ボッシュと並ぶ大手自動車部品メーカーのマニェーティマレッリ社が、テレマティクス・システムの純正品として採用した。

 測位取得でのリファレンス設計に加え、衛星測位モジュールや関連ソフトウェアを提供する。ASM330LHH対応の推測航法アルゴリズムが自動ナビゲーションに最適な高精度の位置情報を算出する。

 ASM330LHHのサンプル出荷は2018年第3四半期を予定し、量産は2018年第4四半期に開始する。サンプル価格は、千個購入時で約5ドル。(記事:小池豊・記事一覧を見る

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