Galaxy Budsの聴力検査・補聴機能、韓国で医療機器認可 2027年初頭から提供へ

2026年11月5日 23:01

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記事提供元:Tech Times

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Samsung Electronicsは2026年11月4日、Galaxy Buds向けの聴力検査機能と補聴機能について、韓国の食品医薬品安全処(MFDS)から医療機器認可を取得したと発表した。韓国ではGalaxy Buds4 ProとGalaxy Buds3 Proに、2027年初頭からソフトウェア更新で順次提供する予定だ。

米国では補聴機能が7月31日に食品医薬品局(FDA)の認可を取得している。聴力を測定し、その結果から聞こえに合わせた増幅設定を作る機能が、日常使いのイヤホンに加わる。

■対応機種と提供時期

対象機種はGalaxy Buds4 ProとGalaxy Buds3 Proで、対応するSamsung Galaxy端末との組み合わせで利用する。Samsungの最新の公式案内では、すべての機能を利用するためにOne UI 9以降が必要とされている。利用できる機能は国・地域、機種、接続端末などによって異なる。

Samsungは米国と必要な認可を取得した一部の市場について、2026年第4四半期の提供開始を案内している。韓国では2027年初頭から順次更新する計画で、既存の対応イヤホンを使って聴力検査と補聴機能を利用できるようになる。

補聴機能の対象は、軽度から中等度の難聴を自覚する18歳以上の成人だ。利用者が案内に従って自分の聞こえに合わせて調整する、セルフフィッティングを採用している。

Samsungの日本語公式発表も、提供予定地域を米国と認可済みの一部の国・地域としている。2026年11月5日時点で、日本向けの提供開始日は公表されていない。

■左右の聴力を測り、聞こえに合わせて増幅

韓国で「청력 체크」と呼ばれる聴力検査機能は、英語名ではHearing Testに当たる。スマートフォンの設定画面にあるGalaxy Budsメニューから開始でき、Samsungによると検査の所要時間は約5分だ。

検査には、周波数の異なる純音を聞かせる気導の純音聴力検査を用いる。静かな場所でイヤホンを装着し、左右の耳について聞き取れる最小の音の大きさ、すなわち聴力閾値を測る。その結果から、周波数ごとの聞こえを表すオージオグラム(聴力図)を作成する。

韓国向けの発表では、結果を正常から重度の難聴まで計7段階に分類し、その後に必要な対応も案内するとしている。米国向けの発表では、正常と、軽度・中等度・高度・重度の難聴という計5段階を示している。

補聴機能のHearing Aidは、韓国では「청력 케어」と呼ばれる。検査で得た聴力図を基に、利用者が聞き取りにくい周波数の音を増幅する。Samsungによると、正面の音に焦点を合わせるビームフォーミングや背景雑音の低減にも対応する。

聴力検査の結果と騒音ばく露レベルは、Samsung Healthアプリで確認できる。測定、増幅設定、聴覚に関する情報の確認を、Galaxy端末とイヤホンで行う構成だ。

■医療機器として規制されるソフトウェア

米国のOTC補聴器制度は、2022年10月17日に施行された。軽度から中等度の難聴を自覚する18歳以上の成人が、処方箋や専門家によるフィッティングを受けずに購入・利用できるカテゴリーである。

FDAはSamsungのHearing Aid Featureを、クラスIIの気導補聴器ソフトウェアとして認可した。申請番号はK261187、製品コードはSCRで、既存機器との実質的同等性を審査するTraditional 510(k)の手続きを用いている。

FDAの公開資料では、補聴機能自体もSaMD、すなわち医療機器として機能するソフトウェアと説明されている。イヤホン側のアプリケーションが音声処理と増幅を担い、Galaxy端末側が初期設定、調整画面、安全情報などを提供する。聴力検査機能は別のクラスII機器で、510(k)の事前届出が免除される機器として記載されている。

韓国では、2025年1月24日に施行されたデジタル医療製品法の下で、デジタル医療機器の許認可や安全管理を行う。MFDSのガイドラインは製品のリスクを1〜4等級で扱う一方、ソフトウェアの安全性についても評価を求めている。Samsungは今回の発表で、聴力検査機能がデジタル医療機器ソフトウェアとして登録されたと説明している。

■増幅量を決めるNAL-NL2

Galaxy Budsの補聴機能は、オーストラリアのNational Acoustic Laboratories(NAL)が開発した補聴器の処方式「NAL-NL2」を採用する。NALはHearing Australiaの研究部門で、Gitte Keidser氏、Harvey Dillon氏らが2011年に同処方式の研究論文を発表した。

NAL-NL2は聴力図と入力音のレベルを基に、周波数ごとの増幅量を算出する。音声の聞き取りやすさを高めながら、全体の音の大きさを快適な範囲に収めることを目指す。補聴器の調整で用いられる代表的な処方式には、NAL-NL2のほかDSLなどがある。

処方式の開発では、聞き取りやすさと音の大きさを表すモデルで求めた増幅量を、ニューラルネットワークによって一つの処方式にまとめた。さらに、年齢、性別、補聴器の使用経験、片耳・両耳での装用などに応じた調整を組み込んでいる。

研究論文では、女性には男性より約2dB低い増幅量を処方する。また、中等度以上の難聴がある新規利用者には増幅量を抑え、約2年かけて経験者向けの設定へ近づける調整を想定している。声の高さが語の意味の区別に関わる声調言語向けには、低周波数帯の増幅量をやや増やす版も用意されている。

Samsungによると、今回の機能開発ではNALとSamsung Medical Centerが協力した。聴力図に基づく処方計算をイヤホンの個別設定に取り入れることで、聞こえの違いに応じた音声増幅を提供する。

■Samsungが提出した臨床データ

FDAが公開するSamsungの申請資料には、聴力検査機能と補聴機能の検証結果が含まれる。聴力を測る精度と、補聴機能を使った際の効果を、それぞれ評価している。

聴力検査の検証では、Galaxy Budsによる測定結果を、聴覚専門家が実施した臨床的な純音聴力検査と比較した。Samsungの提出資料によると、367人を対象とした主要評価項目の解析で、測定値の絶対差の中央値は3.75dBだった。

補聴機能は、軽度から中等度の難聴がある18歳以上の成人103人を登録した、約30日間の多施設前向き研究で評価した。Galaxy Budsの聴力検査から自分で設定する群と、専門家が聴力測定とフィッティングを行う群を比較している。

Samsungの提出資料では、日常生活での補聴効果を尋ねるAPHAB質問票の評価で、セルフフィッティング群が専門家による調整群に対する非劣性の基準を満たしたと報告している。非劣性とは、あらかじめ定めた許容範囲を超えて効果が劣らないことを統計的に評価する考え方だ。

臨床で補聴器を調整する際には、聴力図から目標の増幅量を計算したうえで、実耳測定(REM)によって出力を確かめる方法が用いられる。細いプローブチューブを外耳道に挿入し、鼓膜付近に届く音を測ることで、耳の形状や装着状態を反映した調整ができる。Samsungの臨床試験でも、実耳測定を使って両群の増幅特性を評価している。

■Appleの先例と、イヤホン型補聴機能の研究

Appleは2024年9月12日、AirPods Pro向けHearing Aid Featureについて、FDAから初のOTC補聴器ソフトウェアとして認可を取得した。先行機器のない新しい種類の医療機器を審査するDe Novoの手続きで、認可番号はDEN230081である。Samsungはこの機器を510(k)申請の比較対象に用いた。

イヤホン型補聴機能については、Apple製品を対象とする独立研究も公表されている。2026年にAmerican Journal of Audiologyへ掲載された25人の研究では、AirPods Pro 2の操作性や満足度が高く評価された一方、実耳測定で得た増幅量は全般にNAL-NL2の目標値を下回ったと報告された。

NALも2022年の活動報告で、AirPods Proの聴覚支援機能を評価している。通常の会話音量ではNAL-NL2の目標に近い増幅が得られ、騒音下での聞き取りにも改善が見られたとしている。各研究は、その時点の製品と設定を対象に性能を調べたものだ。

専門媒体HearingTrackerは、2026年9月更新のAirPods Pro 3レビューで、日常用イヤホンとしての機能と調整可能な聴覚支援を評価している。専用のOTC補聴器との比較では、聞き取り性能と音楽再生性能を分けて検討しており、用途に応じて機器を選ぶ際の判断材料になる。

セルフフィッティングを扱う研究は、専用のOTC補聴器でも進んでいる。2023年にJAMA Otolaryngology–Head & Neck Surgeryへ掲載された無作為化比較試験では、解析対象の成人64人について、6週間後の自己評価と騒音下の聞き取りで、自己調整と専門家による調整が同程度の効果を示した。

■聴覚ケアへの入口を広げる

Samsungは2020年、Galaxy Buds+に個人用音響増幅製品(PSAP)機能を導入した。同社によると、2021年には難聴のある利用者の日常的なコミュニケーションを支援する効果を臨床的に検証し、今回の補聴機能の基盤とした。

Samsungのデジタルヘルス部門を率い、米国遠隔医療協会の会長を務めたHon Pak医師は、FDA認可の発表で、Galaxy Budsへの聴力検査・補聴機能の統合によって聴覚支援へのアクセスを広げ、予防的なケアを手軽にすると説明した。普段使う機器で聞こえを確認できることは、聴覚ケアを始めるきっかけになり得る。

米国立聴覚・コミュニケーション障害研究所(NIDCD)が2024年更新の統計ページで示した推計では、補聴器が役立つ可能性のある米国の成人は約2880万人に上る。同ページによると、補聴器が役立つ可能性のある20〜69歳の成人のうち、使用経験がある人は約16%だ。

調査会社The Business Research Companyは、世界のOTC補聴器市場が2025年の12億4000万ドル(約1960億円)から、2026年には13億4000万ドル(約2120億円)へ拡大すると予測している。この期間の成長率は8.1%で、2030年までの予測期間では年平均7.8%の成長を見込む。

利用に当たっては、聞こえの状態に応じた医療機関への相談も重要となる。FDAは、耳の痛み、急な聴力低下、左右で大きく異なる聞こえなどがある場合に受診を勧めている。難聴の種類を調べる診療では、気導と骨導の聴力検査を組み合わせ、耳の状態も確認する。Samsungも、医療専門家による診断や治療が必要な場合は、専門的なケアを受けるよう案内している。

元記事: Samsung Galaxy Buds Are Now Medically Cleared in Both the US and South Korea: The Two Countries’ Regulators Treat the Technology Very Differently

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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