VW、電動「ID. Golf」の開発を一時休止、必要な投資の確保を優先

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フォルクスワーゲン(VW)は2026年10月30日、電気自動車(EV)「ID. Golf」の開発作業を一時休止すると発表した。必要な投資を確保できることを再開の条件としており、具体的な再開日は示していない。
ドイツ・ヴォルフスブルクで生産する計画の電動ゴルフは、次世代EV基盤を採用する重要モデルの一つだ。投資の優先順位を見直す動きが、長年VWを象徴してきた車種の開発にも及んでいる。
■投資確保まで開発を一時休止
VWブランドと量販ブランド群「ブランドグループ・コア」の最高財務責任者(CFO)、デービッド・パウエルズ氏は公式発表で、市場環境と特別損益による業績への圧力を説明した。コストと運転資本の改善、厳格な投資管理を進める具体策として、ID. Golfの開発休止を挙げた。
ロイターが確認した社内文書では、VWブランドなどを率いるトーマス・シェーファー氏も、ゴルフがVWとヴォルフスブルクに持つ意味を踏まえ、難しい判断だったと説明した。同氏は「今は、この作業にかかる費用を負担する余裕がない」と述べた。
同じ文書によると、ヴォルフスブルク本社工場はコスト削減目標に対して約3億ユーロの未達となっている。ロイターによると、同工場は閉鎖が懸念されるドイツ国内の工場には含まれていないものの、コスト削減への圧力を受けている。
VWの従業員評議会は10月30日、開発に先立つ作業への支出停止について、グループの厳しい財務状況を示すものと説明した。ロイターによると、評議会は開発の遅れを取り戻し、発売計画を維持する考えを示している。
■VWブランドの営業利益は8億1300万ユーロ(約1430億円)
VWの公式発表によると、乗用車ブランドの2026年1〜9月の営業利益は8億1300万ユーロ(約1430億円)で、前年同期の14億7600万ユーロ(約2600億円)から減少した。売上高は前年同期比2.9%減の619億5000万ユーロ(約10兆9000億円)、営業利益率は1.3%だった。
同社は、販売奨励金の増加や販売構成の変化に加え、事業再編、オスナブリュック工場運営会社の売却計画、米チャタヌーガ工場でのID.4生産終了に伴う特別要因が利益を押し下げたと説明している。これらの特別要因を除いた営業利益率は2.6%としている。
グループ全体では、10月29日に発表した2026年7〜9月の営業損益が58億6000万ユーロ(約1兆300億円)の赤字だった。ロイターは、四半期として過去10年以上で最大の損失と報じた。VWブランド単体の1〜9月の営業利益とは、集計範囲も期間も異なる。
パウエルズ氏は、EV需要の拡大を受け止めつつ、現時点ではEVの利益率が内燃機関モデルを下回っていると説明した。同社は電動モデルの収益性を高めるため、製品原価の低減や規模の効果、競争力のあるコスト構造の実現に取り組むとしている。
■次世代基盤SSPと電動ゴルフの投入計画
ID. Golfは、VWグループの次世代EV基盤「スケーラブル・システム・プラットフォーム(SSP)」を採用する初期モデルの一つに位置付けられている。共通化によって開発・生産の複雑さを減らし、コスト競争力を高める狙いがある。中国メーカーとの競争が激しくなる中、次世代EVの採算を支える基盤となる。
専門メディアのelectriveによると、SSPは当初2026年の導入が想定されていたが、その後、計画が後ずれした。電動ゴルフについては、英自動車誌Autocarが2025年3月に2028年ごろの投入計画を報じていた。
2026年3月には、次世代ゴルフのシルエットがヴォルフスブルクの従業員に披露された。Autocarによると、この際、VWは同拠点への取り組みを改めて示した。その後、シェーファー氏は5月の業界イベントで、2028年には電動ゴルフを必要としないほど製品群が充実していると説明した。
EV専門メディアのElectrekは10月30日時点で、電動ゴルフの投入時期を2030年と伝えている。今回の休止に対し、従業員評議会は失われた時間を取り戻す方針を示しており、開発再開に必要な投資の確保が当面の課題となる。
技術面では、米リビアンとの合弁会社が開発する電子・ソフトウエア基盤の活用も計画されている。VWの公式説明によると、合弁会社は車内の電子制御系とソフトウエアを開発しており、Autocarは電動ゴルフがその成果を採用すると報じている。
■工場再編と既存ゴルフの今後
ロイターによると、VWグループの再編は、世界で最大10万人の人員削減と、ドイツ国内の最大4工場の閉鎖につながる可能性がある。VWが9月に公表した将来計画では、車種や仕様の絞り込み、生産能力の調整を通じて、投資と開発資源を重点分野へ振り向ける方針を掲げている。
労使交渉も続いている。労組IG Metallによると、VWは9月30日、賃金や労働時間などを定める独自の労働協約の大部分について終了を通告した。労組は撤回を要求し、労働争議を控える義務が2026年末に終了することから、2027年1月1日以降のストライキを視野に入れている。
米国では、アウディの新工場計画も公表された。10月24日のトランプ大統領による共和党の選挙集会で計画が紹介され、アウディは25日、ジョージア州に約40億ドルを投じる方針を発表した。VWグループは、実施には関係機関の承認が必要としており、ロイターによると監査役会の承認も残っている。AFPは、アウディ経営トップの集会出席にIG Metallが反発したと報じた。
ゴルフの生産体制では、既存のゴルフとゴルフヴァリアントを2027年からメキシコのプエブラへ移管する計画がある。Autocarによると、内燃機関モデルは電動ゴルフと並行して提供される予定だ。VWはマイルドハイブリッドやプラグインハイブリッドに加え、2026年4月にはゴルフ向けの新たなフルハイブリッドシステムも発表している。
日本の公式ラインアップでは、2026年10月時点のゴルフに1.5リットルのeTSIと2.0リットルのTDIが設定されている。1974年にヴォルフスブルクで生産が始まったゴルフは、50年以上にわたってVWの中核を担ってきた。既存モデルの供給と次世代EVへの投資をどう両立するかが、車種と生産拠点の今後を考える焦点となる。
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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