キオクシア、米アプライド マテリアルズの研究施設に参画―次世代メモリの構造・積層技術を共同開発

Photo by Maxence Pira on Unsplash[写真拡大]
アプライド マテリアルズは米国時間の2026年9月29日、キオクシアが米シリコンバレーに設立するEPICセンターにイノベーションパートナーとして参画すると発表した。両社はAI向けメモリの密度と性能の向上を目指し、メモリの構造や積層、材料技術を共同で研究開発する。
■メモリセルからパッケージングまで協業
両社が公表した研究開発の対象は、先進メモリセルと新たなメモリ構造、マルチチップ積層、積層型メモリ向け先端パッケージング、量産性を考慮した材料技術だ。複数のチップを組み合わせる際の接続性能も課題に挙げている。
キオクシアの太田裕雄社長は、メモリの進化には材料と製造プロセスの革新が重要だと述べた。同社の先端メモリ開発センター長、梶本実利氏は、両社の技術者が共同で開発に取り組み、メモリとパッケージング技術の実用化を加速させる考えを示した。
EPICセンターは、半導体メーカーがアプライド マテリアルズの研究開発装置や技術者と早い段階から連携する拠点として計画されている。同社によると、2026年中に稼働可能な状態となる予定で、顧客のプロジェクト開始に伴い投資額を段階的に約50億ドルまで拡大する見込みだ。
■キオクシアが持ち込む3次元フラッシュメモリ技術
キオクシアは2026年7月、332層の第10世代「BiCS FLASH」を採用した製品のサンプル出荷を始めたと発表した。3次元フラッシュメモリはメモリセルを垂直方向に重ねて記録容量を増やす技術で、積層数の増加には微細な構造を安定して形成する材料や製造プロセスが関わる。
第10世代BiCS FLASHには、周辺回路とメモリセルアレイを別々のウエハー上に形成して貼り合わせる「CBA」技術も使われる。キオクシアによると、この構造は両者をそれぞれに適した工程で製造でき、チップの小型化と性能向上に役立つ。同社は第10世代で、332層への高積層化と平面方向の高密度化により、第8世代比でビット密度を59%高めたとしている。
積層構造を細かくする際には、隣接するセル間の干渉などが研究課題になる。今回の協業では、メモリセルの構造に加え、複数のチップの積層や接続までを対象とし、キオクシアのメモリ開発とアプライド マテリアルズの材料・装置開発を組み合わせる。
■先行するメモリメーカーとの協業
アプライド マテリアルズは2026年2月にサムスン電子のEPICセンター参画を発表した。3月にはSK hynixと次世代DRAM・高帯域幅メモリ(HBM)の共同研究で合意し、Micron TechnologyとはDRAM、HBM、NANDフラッシュを対象とする協業を発表している。
5月には半導体受託製造大手のTSMCが参画し、アリゾナ州立大学、レンセラー工科大学、スタンフォード大学も研究パートナーに加わった。半導体試験装置を手掛けるアドバンテストは、EPICセンターと連携する自社のイノベーションセンターをアプライド マテリアルズの研究開発拠点に設けている。
HBMはAIアクセラレーターに高速でデータを供給するメモリで、NANDフラッシュはSSDなどで大量のデータを保持する。例えばMicronは、自社のHBM3E製品について帯域幅が毎秒1.2テラバイトを超えるとしている。キオクシアの参画によって、EPICセンターの協業にはフラッシュメモリを主力とするメーカーの技術開発も加わる。
■AI向けストレージ需要とキオクシアの業績
調査会社TrendForceによると、キオクシアは2026年第2四半期のNANDフラッシュ売上高で世界4位だった。同社の調査では、AIサーバー向けの企業用SSD需要が堅調で、NANDフラッシュの供給は逼迫していた。
キオクシアホールディングスの2026年3月期売上収益は、前期比37.0%増の2兆3376億円、営業利益は92.7%増の8704億円だった。2027年3月期第1四半期(2026年4~6月)の売上収益は1兆7671億円で、このうち「SSD&ストレージ」は1兆1747億円を占めた。この区分にはデータセンター向けに加え、PC向けなどの製品も含まれる。
キオクシアは同四半期の決算資料で、生成AI用途を中心としたデータセンター向け需要を背景に、平均販売単価が大きく上昇したと説明している。今回の協業は、こうした市場環境のもとで進める次世代メモリ技術の研究開発となる。
元記事: All Four Major Memory Makers Join Applied Materials’ EPIC Center: Kioxia Completes Coalition
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
スポンサードリンク
