中国、AI医療用BCIの脳電データ基準を世界に先駆け策定 2027年施行

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中国国家薬品監督管理局(NMPA)は9月14日、人工知能(AI)で脳電データを処理する医療用ブレイン・コンピューター・インターフェース(BCI)を対象とした業界標準を承認、発行した。データの収集からアクセスまでの技術要件と試験方法を定め、2027年9月1日に施行する。中国当局は、この分野の医療機器製品標準として世界初としている。
今回の標準は、AIを利用する医療用BCIの研究開発、製造、品質管理などで使われる脳電データセットについて、統一的な品質要件と評価方法を示すものだ。米食品医薬品局(FDA)にはBCIやAI医療機器に関するガイダンスがあるものの、AI搭載BCIの脳電データセットに特化した同等の品質標準は確認されていない。
■AI搭載BCIを支えるデータの品質を統一
BCIは、脳や神経系から取得した信号を解析し、外部機器の操作や意思伝達などにつなげる技術である。医療分野では、運動機能や発話能力に障害がある患者による補助機器の操作、コミュニケーション、リハビリテーションなどへの応用が研究されている。
新標準は、脳電データの収集、処理、アノテーション、保存、アクセスという一連の工程を対象とする。電極の配置やサンプリング周波数、データの記録方法、ラベルの付け方などが研究機関や企業によって異なると、データ同士を比較したり再利用したりすることが難しくなる。品質管理の方法が統一されていなければ、AIモデルの性能評価にもばらつきが生じる。
AIを利用するBCIでは、測定された信号と患者の行動や意図を対応付けたデータを使って、信号を分類、解読するモデルを構築する。新標準は、こうしたデータセットの品質を評価するための共通基盤を設け、研究開発、製造、規制審査で一貫した判断を可能にすることを目的としている。
NMPAは、BCIが患者の意図を適切に解読できるかどうかは治療効果だけでなく安全性にも関わるとしている。データの取得条件や記録、アノテーションが不適切であれば、機器が利用者の意図とは異なる出力をする可能性があるためだ。
■脳電データが含み得る情報
脳電図(EEG)は、脳の神経活動に伴って生じる電位変化を、主に頭皮上の電極で記録したものだ。脳表や脳組織内に置かれた電極から得る信号もBCIで利用されるが、測定位置や方式によって信号の性質や解像度は異なる。
取得した信号には、目的とする神経活動だけでなく、筋肉や眼球の動き、測定環境などに由来するノイズも含まれる。個人差や同一人物の体調、電極の状態による変動もあるため、データの収集条件や前処理の記録が重要になる。
神経データから推定できる情報の範囲は、機器、測定条件、解析手法、実験課題によって大きく異なる。一部の研究では、運動意図や注意、知覚、特定の認知課題に関連する信号の分類が試みられている。このため、医療用BCIのデータ管理では、品質だけでなく、利用目的の明確化、アクセス制御、本人の同意、二次利用の範囲なども重要な課題となる。
■中国が進めるBCI産業政策
今回の標準は、中国が進めてきたBCIの産業政策と標準化の一環に位置付けられる。中国政府の7部門は2025年7月、BCI産業の革新的発展を促す実施意見を発表した。
実施意見では、2027年までに主要技術で進展を図り、技術、産業、標準の各体系を初歩的に構築する目標を掲げた。2030年までには、安全で信頼できる産業体系を形成し、世界的な影響力を持つ企業を2~3社育成するとしている。
中国では2025年、BCIの用語に関する標準と、感知機能を備えた植え込み型神経刺激装置の性能試験方法に関する標準が発行された。今回の脳電データセット標準は、中国が発行したBCI医療機器分野の3件目の業界標準となる。
■FDAと国際規格が扱う範囲
FDAは2021年5月、麻痺や切断のある患者を対象とする植え込み型BCIについて、非臨床試験と臨床試験設計上の考慮事項をまとめた最終ガイダンスを発行した。これは治験用医療機器の申請に向けた試験や評価を扱うが、AIモデルの学習に用いる脳電データセット専用の品質標準ではない。
FDAは2025年1月、AI対応医療機器のソフトウェア機能について、製品ライフサイクル全体の管理や、学習データ、性能評価などを扱うガイダンス案も公表した。こちらはAI医療機器全般を対象とする横断的な文書であり、BCIに固有のデータ収集条件やアノテーション方法を統一するものではない。
国際標準では、ISO/IEC TS 27571:2026が、非侵襲型BCIによる脳情報収集のデータ形式を規定している。EEGのほか、脳磁図、機能的近赤外分光法、機能的磁気共鳴画像法などを対象とし、基本的なデータ要素、メタデータ、アノテーション情報、ファイルの命名規則などを定める。
ISO/IEC TS 27571は、異なるシステム間でデータを整理、交換するための形式を中心に扱う。これに対し、中国の新標準は、AIを利用する医療用BCIの脳電データセットについて、品質要件と評価方法を製品開発や品質管理に結び付ける点に特徴がある。
■患者の安全性と神経データの保護
品質要件の統一は、異なる施設や開発主体が作成したデータを比較しやすくし、AIモデルの評価や医療機器の追跡可能性を高めることにつながる。患者の運動意図などを機器の動作へ変換するBCIでは、データ品質のばらつきを抑えることが、出力の信頼性と安全性を確保するための基盤となる。
一方、技術的な品質標準と、個人情報や神経データへのアクセスを規律する法律は別の役割を持つ。今回公表された内容はデータの保存やアクセスも対象に含めているが、中国政府機関が個別の医療用BCIデータへどのような条件でアクセスできるかまでを、この標準の発表だけから判断することはできない。
中国の国家情報法第7条は、組織と公民に対し、法律に従って国家情報活動を支持、援助、協力する義務を定めている。データ安全法やサイバーセキュリティ法も、データの分類管理、重要データ、重要情報インフラなどに関する義務を規定する。ただし、特定のBCI脳電データが「重要データ」などの法的区分に該当するかは、データの内容や処理主体、適用される分野別規則などに基づいて個別に判断する必要がある。
神経データを扱う企業や医療機関には、適用法令に加え、データをどこに保存するのか、誰がアクセスできるのか、研究やAI学習への二次利用を認めるのか、国外へ移転するのかといった条件を明確にすることが求められる。中国市場向けに機器やデータ基盤を開発する国外企業にとっても、技術標準への適合とデータガバナンスの確認は別々に必要となる。
■神経技術を巡る国際的なルール整備
ユネスコは2025年11月、「神経技術の倫理に関する勧告」を採択した。神経技術のライフサイクル全体を対象に、人間の尊厳、心のプライバシー、同意、自律性、公平性などの原則を示している。
この勧告は加盟国の政策形成を導く国際的な規範文書だが、各国で直接執行される製品規制ではない。中国
元記事: China Sets World’s First AI Brain-Data Standard; FDA Has No Equivalent
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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