中国NAND大手YMTC、親会社が大型IPOへ―調達資金で生産高度化と次世代NAND開発へ

2026年9月7日 00:18

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記事提供元:Tech Times

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中国のNAND型フラッシュメモリーメーカー、長江存儲科技(YMTC)を傘下に持つCCSH Corporationの新規株式公開(IPO)手続きが、上海証券取引所の科創板で進んでいる。CCSHは約330億元を調達し、生産ラインの高度化と次世代NAND、高速ストレージ製品の研究開発に充てる計画だ。

YMTCはNANDの出荷量を急速に伸ばす一方、売上高では世界大手に及ばない。IPOでは、独自のウエハー接合技術「Xtacking」を軸に、製造技術と製品構成をどこまで高度化できるかが焦点となる。

■330億元規模のIPO、科創板で審査進む

上海証券取引所は2026年8月、CCSHによる科創板への上場申請を受理した。CCSHは19億8000万~24億3000万株の新株を発行し、約330億元(約51億4800万ドル、約8030億円、1ドル=156円換算)を調達する計画である。

調達額が計画通りとなれば、科創板では中国のDRAMメーカー、長鑫存儲技術(CXMT)と半導体受託製造大手の中芯国際集成電路製造(SMIC)に次ぐ大型IPOとなる見込みだ。上場後の企業価値は2750億~3300億元が想定されている。

CCSHは上場主体で、完全子会社のYMTCがグループの中核事業を担う。YMTCはスマートフォンやPC、SSD、データセンターなどでデータ保存に使われるNAND型フラッシュメモリーを製造しており、グループ売上高の90%超を占める。

上海証券取引所による審査では、事業内容や財務情報、リスク要因などについて照会と回答が行われる。最終的な上場の承認や実施時期は確定していない。

■2枚のウエハーを接合するXtacking

YMTCのNAND技術を特徴付けるのが、メモリーセルと周辺回路を別々のウエハーに形成して接合するXtackingである。

3D NANDには、データを記録するメモリーセルアレイに加え、データの読み書きや入出力を制御する周辺回路が必要となる。Xtackingでは、メモリーセルアレイと周辺CMOS回路をそれぞれ異なるウエハー上で製造した後、多数の金属接続部を使ったハイブリッドボンディングによって一体化する。

両者を独立して設計、製造できるため、メモリーセルの高密度化と周辺回路の性能を個別に最適化しやすい。周辺回路がメモリーセルと同じ平面上で占める面積を抑えられることも、ビット密度を高めるうえでの利点となる。

半導体分析会社TechInsightsによると、Xtacking 4.0は従来世代からウエハー接合構造を引き継ぎながら、回路配置や垂直チャネル構造などを改良している。同社が解析した512ギガビット品では、ダイ面積40.44平方ミリメートル、1平方ミリメートル当たり12.66ギガビットの密度が確認された。

TechInsightsは、別のXtacking 4.x世代の1テラビットTLC NANDについて、約270本の有効ワードラインを持つと推定し、ビット密度が1平方ミリメートル当たり20ギガビットを上回ると分析している。製品や解析対象によって層数、容量、密度が異なるため、これらは単一製品の仕様ではなく、Xtackingの複数世代にわたる進展を示すものだ。

■輸出規制下で製造技術を高度化

YMTCは2022年12月、米商務省産業安全保障局のエンティティ・リストに追加された。これにより、米国の輸出管理規則の対象となる製品、ソフトウェア、技術をYMTCへ輸出または移転する場合、厳しい許可要件が課されている。

Xtackingは、メモリーセルと周辺回路を別工程で製造できるモジュール型の構造である。この設計上の柔軟性は、利用可能な製造装置やプロセスを組み合わせながら製品を高度化するうえで重要となる。

もっとも、Xtackingだけで輸出規制の影響を回避できるわけではない。規制対象は製造装置の種類や性能、輸出元、最終用途などによって決まり、YMTCには中国製装置の利用拡大や既存設備の高度化も必要となる。CCSHがIPO資金の大半を生産ラインと研究開発に振り向ける計画は、こうした設備面と技術面の課題に対応するものだ。

■価格上昇と高稼働で業績が急拡大

CCSHの上場関連資料によると、2026年第1四半期の売上高は約470億元(約72億7800万ドル、約1兆1350億円)となり、前年同期の5倍弱に拡大した。親会社株主に帰属する純利益は333億8000万元(約51億6600万ドル、約8060億円)に達し、2025年通年の142億1000万元を大きく上回った。

業績拡大には、NANDの販売価格上昇と工場の高稼働が寄与した。2026年第1四半期のNAND平均販売価格は2025年平均の2.73倍となり、売上総利益率は2025年の35.3%から76.8%へ上昇した。

メモリー半導体の価格は需給によって大きく変動する。今回の高い利益率と利益水準には供給逼迫と価格上昇の影響が含まれており、同じ収益性が継続するとは限らない。生産能力の拡大によって供給が増えた場合や、需要の伸びが鈍化した場合には、製品価格や利益率が低下する可能性がある。

■出荷量を伸ばす一方、製品構成が課題

市場調査会社の集計によると、YMTCは2026年第2四半期の世界NAND市場で、出荷ビット量ベースのシェアを約14%に伸ばした。Samsung Electronicsの25%、Solidigmを含むSK hynixの22%に次ぐ3位となり、Kioxiaを上回った。

一方、売上高ベースでは世界5位にとどまった。出荷ビット量の順位と売上高の順位が異なる背景には、販売する製品の種類とビット当たりの単価がある。

YMTCの出荷は、スマートフォン、ノートPC、コンシューマー向けSSDなどの比重が大きい。データセンターや企業向けサーバーで使われるエンタープライズSSDは、性能、耐久性、信頼性、管理機能などに厳しい要件があり、一般に付加価値が高い。

このため、数量の拡大だけでなく、高付加価値製品の売上比率を高められるかが今後の収益力を左右する。CCSHは調達予定額のうち208億元を生産ラインの高度化に、122億元を次世代NANDや高速ストレージ製品などの研究開発に充てるとしている。

■1260HリストにもYMTCを掲載

YMTCは米商務省のエンティティ・リストに加え、米国防総省が国防権限法第1260H条に基づいて指定する「中国軍事企業」のリストにも掲載されている。

米国防総省が2026年6月に公表した更新リストには、YMTCやCXMT、SMICなど複数の中国半導体企業が含まれた。1260Hリストはエンティティ・リストとは目的や法的効果が異なり、掲載されたこと自体がすべての民間取引を一律に禁じるものではない。米国政府や国防関連の調達に関与する企業には、適用される調達規制や取引条件を個別に確認する必要がある。

CCSHの上場資料では、地政学的緊張、輸出規制、サプライチェーンの混乱などが事業上のリスクとして挙げられている。上場主体はCCSHだが、中核事業を担うYMTCへの規制は、製造装置の調達や海外事業、顧客との取引に影響し得る。

■CXMTの大型上場に続く半導体IPO

中国のDRAMメーカーであるCXMTは2026年7月、科創板へ上場した。公募価格は1株8.66元で、オーバーアロットメント実施前の調達額は約579億2000万元となり、2026年にアジアで実施されたIPOとして当時最大の規模になった。

CXMT株は上場初日に大幅に上昇し、終値ベースの時価総額は約3兆3000億元に達した。新規上場時に市場で取引可能な株式が限られていたことも、株価上昇の一因と指摘されている。

CCSHの調達予定額はCXMTの実際の調達額を下回るものの、当初の投資計画額としてCXMTが示していた295億元を上回る。CXMTに続く大型半導体IPOとして、中国国内の投資家がYMTCの技術力、成長性、規制リスクをどのように評価するかが注目される。

■IPO資金で次世代NANDと高付加価値製品へ

CCSHのIPOは、YMTCが出荷量の拡大から、技術と製品構成の高度化へ進むための資金調達という性格を持つ。Xtackingによるウエハー分離・接合構造は、メモリーセルと周辺回路を個別に改良できる点で、同社の技術開発を支える基盤となっている。

一方、世界市場で継続的に収益を伸ばすには、先端NANDの量産能力だけでなく、企業向けSSDを含む高付加価値製品、品質保証、顧客認証、安定供給の実績が必要になる。米国の輸出規制と国防関連の指定が続く中、製造設備と部材を安定して確保できるかも課題だ。

上海証券取引所の審査は今後も続く。IPOが実現すれば、CCSHは中国国内の資本市場から大規模な研究開発資金を確保し、YMTCの生産設備と製品群を一段と拡充することになる。

元記事: Sanctioned China NAND Chipmaker YMTC Advances IPO: Xtacking Architecture Outmaneuvered US Controls

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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