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TSMCが台湾高雄に先進パッケージングの共同検証拠点、効率25~50%向上を見込む
TSMCは、台湾・高雄市の白埔産業園区に、先進パッケージング向けの材料や装置を共同で検証する拠点を設ける計画を明らかにした。TSMCの技術者とサプライヤーが同じ場所で試作、評価、改良を進めることで、量産導入前の検証を迅速化する。生産能力を直接増やす工場ではなく、技術開発と量産準備を支える拠点として位置付けられている。
■高雄に共同検証拠点を計画
TSMCの先進パッケージング技術・サービス担当副総経理である何軍氏は、9月1日に開催されたSEMICON Taiwan 2026の「3D IC Global Summit」で、高雄市の白埔産業園区に進出する計画を発表した。台湾の経済部、高雄市政府と協力し、先進パッケージングの装置・材料サプライチェーンを支える共同検証基盤を整備する。
TSMCによると、白埔拠点では約3ヘクタールの土地に2棟の建物を設ける。内部には小規模なクリーンルームと研究室を配置し、次世代の先進パッケージング技術、装置、材料の精密検証や共同研究開発に使用する。
施設はモジュール式とし、技術の世代交代に合わせて設備や空間の構成を変更できるようにする。固定された大規模量産ラインを設置するのではなく、重要な工程を組み合わせた検証ラインを構築し、技術の変化に応じて必要な機能を入れ替える考えだ。
拠点内には人材育成施設も設け、半導体の高度な製造工程や装置に詳しい専門人材を育成する。台湾内外のサプライヤーと連携し、白埔を先進パッケージングの技術、装置、材料、人材が集まる開発拠点にすることを目指す。
■量産前の検証を同じ拠点で進める
先進パッケージングには、接合装置、検査装置、材料、制御ソフトウェアなど、多数の技術要素が関わる。新しい装置や材料を量産ラインに導入するには、個別の性能だけでなく、前後の工程との整合性や生産環境での安定性も確認しなければならない。
従来は、試作機や材料をサプライヤー側に戻して修正し、再び生産現場に持ち込んで検証する工程に時間がかかっていた。白埔では、サプライヤーが検証ラインの近くに開発研究室を設け、問題が見つかった場合にその場で調整し、短時間で再試験できる体制を構築する。
何氏によると、共同検証基盤の導入によって、材料や装置の検証効率を25~50%改善できる可能性がある。台湾の現地報道では、検証に1年以上かかる場合がある装置について、全体の検証期間を1年以内に短縮することも目標に挙げられている。
白埔で想定されているのは、後工程の装置や材料について、ハードウェア、ソフトウェア、製造工程を量産開始前に組み合わせて評価する仕組みである。量産工場への導入後に問題を調整するのではなく、検証拠点で量産に近い状態まで完成度を高めることで、実際の製造ラインへの移行を円滑にする。
■AI需要で重要性を増す先進パッケージング
AIアクセラレーターでは、演算を担うロジックチップと広帯域メモリを高密度に接続する先進パッケージング技術の重要性が高まっている。TSMCのCoWoSは、ロジックダイや広帯域メモリなどを基板上に統合するパッケージング技術で、AI向け半導体の製造に利用されている。
TSMCはAI用途の需要拡大に対応するため、CoWoSの生産能力を増強している。何氏は、2022年から2027年までのCoWoS生産能力の年平均成長率が80%を超え、強い成長が2029年まで続くとの見通しを示した。
生産能力を増やすには、工場や装置を追加するだけでなく、新しい装置や材料を量産工程に適合させる必要がある。パッケージングの構造が複雑になり、接続密度が高まるほど、装置、材料、工程条件を一体として調整する共同開発の重要性も増す。
白埔拠点は、量産能力そのものを追加する施設ではないが、新しい装置や材料を量産可能な状態まで仕上げる期間を短縮する役割を担う。TSMCとサプライヤーが設計段階から工程上の課題を共有し、試作と評価を繰り返す体制を常設することで、先進パッケージング技術の世代交代を支える狙いがある。
■後工程サプライヤーの共同開発を支援
何氏は、先進パッケージングを担う後工程の装置メーカーについて、主要企業の事業規模や研究開発資源が、半導体の前工程を支える大手装置メーカーより小さいと説明した。TSMCの試算では、後工程の主要装置メーカーの売上規模は前工程の世界大手5社と比べて約6.5%、研究開発規模は約5.4%にとどまる。
先進パッケージング技術では、前工程に近い精度や自動化が求められるようになっている。装置には全自動化に加え、工程中の異常をリアルタイムで検知し、制御する機能も必要になる。技術の更新速度が速い一方、個々のサプライヤーが単独で開発費を負担することは難しくなっている。
このため、白埔ではTSMC、装置メーカー、材料メーカーが共通の検証環境を利用し、装置の標準化や高度化を共同で進める。サプライヤーにとっては、開発中の装置や材料を量産に近い条件で評価し、TSMC側の技術者から迅速にフィードバックを得られることが利点となる。
白埔拠点は、地元の精密機械、金属加工、自動化関連企業が半導体装置・材料分野へ参入するための接点にもなる。TSMCは地元サプライヤーを国際的なサプライチェーンにつなげ、先進パッケージング分野の産業基盤を広げる方針だ。
■台湾南部の半導体産業集積を強化
白埔産業園区は、高雄市岡山区と橋頭区にまたがる産業団地である。高雄市政府は、TSMCや関連企業の進出を軸に、先進パッケージングの装置・材料サプライチェーンを集積する計画を進めている。
白埔の役割は、TSMCが台湾各地で進める先進パッケージングの生産能力増強とは異なる。嘉義などの製造拠点が実際の生産量を増やすのに対し、白埔はそこで将来使用する装置や材料を事前に検証し、量産導入を支援する機能を担う。
嘉義科学園区では、TSMCの先進パッケージング工場が2026年6月に量産を開始した。約90ヘクタールの第2期区域でも整備が進められており、第1期と第2期が全面稼働した場合、園区全体で年間3,000億台湾ドルを超える生産額と、9,000人を超える雇用を生み出すと台湾の国家科学及技術委員会は見込んでいる。
台湾政府は、嘉義、台南、高雄、屏東の各拠点を台湾中部や新竹の科学園区と結び、AIと半導体の産業回廊を形成する方針を掲げる。白埔はこの中で、先進パッケージングの装置・材料と共同検証を担う拠点として位置付けられる。
■供給拡大を技術開発面から支える
白埔拠点の整備だけで、現在の先進パッケージングの生産能力が直ちに増えるわけではない。主な効果は、新しい装置や材料を量産工程へ導入するまでの開発期間を短縮し、各地で増設される生産設備の立ち上げを技術面から支えることにある。
AI向け半導体の需要が増え続けるなか、TSMCは生産施設の増設と並行して、装置・材料メーカーとの共同開発体制を強化しようとしている。白埔では、生産拠点、サプライヤー、研究開発、人材育成を近接させ、試作から量産準備までの工程を効率化する。
先進パッケージングの競争力は、生産設備の規模だけでなく、新しい装置や材料をどれだけ速く安定した量産工程へ組み込めるかにも左右される。白埔拠点は、その検証工程を支える専門基盤として、TSMCの生産能力拡大と次世代技術への移行を補完することになる。
元記事: TSMC Opens Kaohsiung Supplier Campus to Close Packaging Validation Gap
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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