Unitreeの人型ロボ「Superman」、最高速度12.66m/sを主張 ボルト超えの数値は第三者未検証

(Unitree.com)[写真拡大]
中国のロボット企業Unitree Roboticsは、人型ロボットの実験機「Superman」が、立った状態から高さ2メートルのジャンプを行い、最高速度12.66メートル毎秒に達したと発表した。数値は同社が公開した短い動画と自己申告に基づくもので、詳細な測定条件や第三者による検証結果は公表されていない。手やグリッパーを備えず、高速な二足移動に焦点を絞った研究用の機体である。
■ボルトの最高速度を上回るとするUnitreeの発表
Unitreeは2026年8月17日、Supermanの走行とジャンプを収めた動画をソーシャルメディアで公開した。同社によると、脚の長さが0.85メートルの機体が立ち高跳び2メートル、最高速度12.66メートル毎秒、時速換算で約45.6キロメートルを記録したという。開発開始から発表までは3カ月余りで、同社は今後も改良の余地があるとしている。
12.66メートル毎秒という数値は、ウサイン・ボルト氏が2009年に男子100メートルの世界記録を樹立したレースで到達したとされる最高速度約12.42メートル毎秒を上回る。一方、ボルト氏の記録は国際競技の100メートル走を通じて公式に計時されたもので、Supermanの数値は実験機の瞬間的な最高速度として公表されたものだ。両者では測定対象と条件が異なる。
Unitreeは路面、計測機器、助走距離、速度を維持した時間、試行回数などを含む詳細な試験手順を公表していない。第三者機関による計測結果も確認されていないため、現時点ではメーカーが管理した試験環境における公称値として受け止める必要がある。
■手を省き、高速な二足移動に焦点を絞る
公開されたSupermanには、物をつかむための手やグリッパーがない。Unitreeはこの機体を高度で動的な運動を研究する実験用プラットフォームとして位置付けており、商用製品としての価格や発売時期、可搬重量などは発表していない。
手やマニピュレーターを備えない構成では、箱を運ぶ、工具を扱う、扉を開けるといった操作作業は行えない。その一方で、運動制御の対象を脚部中心に絞れるため、高速走行や跳躍、着地時の姿勢制御といった二足移動の研究に特化できる。Supermanは、汎用作業ロボットというより、動的な移動能力を追究するための実験機と見るのが適切だ。
Unitreeは2026年4月にも、頭部や手を外して走行向けに改修したH1を使い、最高速度約10メートル毎秒のデモを公開している。標準仕様のH1は身長約180センチメートル、重量約47キログラムで、各腕に4自由度を持つ。従来機からSupermanへの流れには、操作機能よりも走行性能を優先し、二足移動の限界を探るという共通した開発方針が見える。
■速度の実証と実用性の評価は分けて考える
高速走行のデモは、アクチュエーター、機体構造、バランス制御、着地制御など、動的な二足移動技術の進展を示す材料になる。特に、ジャンプから着地し、その後に走行へ移る一連の動作は、複数の関節を短時間で協調させる制御技術を考えるうえで興味深い。
一方、産業用ロボットとしての能力を評価するには、速度だけでなく、荷物を持った状態での移動、操作精度、連続稼働時間、安全な停止、障害物への対応、動作の再現性なども重要になる。Supermanについては、こうした商用運用に関わる仕様や試験結果が示されていない。
手を持たないことは、直ちに機体全体の可搬重量がゼロであることを意味しないが、少なくとも物体を把持して作業する能力は備えていない。したがって、今回の発表からUnitreeの商用人型ロボットが工場や物流施設で行える作業の範囲まで判断することはできない。
■上海上場とロボット展示会を控えた発表
Supermanの発表は、Unitreeが上海証券取引所の科創板、通称STAR Marketへの上場を予定する直前に行われた。同社株は2026年8月19日に証券コード688836で取引を開始する予定で、公開価格は1株150.80元となった。
Unitreeは約4045万株を発行し、約61億元を調達する。ドル換算では約9億500万ドル、1ドル160円で換算すると約1448億円に相当する。公開価格に基づく上場後の時価総額は約610億元、約90億ドルで、同じ換算レートでは約1兆4400億円となる。
同社の2025年の売上高は16億9900万元で、このうち人型ロボットが8億6780万元を占めた。人型ロボットの2025年出荷台数は5500台を超えたとしている。また、同社は2026年7月までに複数モデルを合わせて約1万8000台の二足歩行人型ロボットを累計生産・納入したと説明している。
北京では8月19日から23日まで世界ロボット大会が開催される。300を超える出展者と2000点を超える展示が予定され、初日は新製品や研究成果を発表する「リリースデー」に設定されている。上場日と大会初日が重なるなか、Supermanの映像はUnitreeの運動制御技術を印象付ける発表となった。
■実用性能を前面に出した四足ロボット「As2-W」
Unitreeは、Supermanとは異なる設計目的を持つ車輪脚式の四足ロボット「As2-W」も展開している。同社の公称仕様では、バッテリーを含む重量は約25キログラムで、連続歩行時に約16キログラムを積載できる。無積載時の走行距離は30キロメートルを超え、最高速度は6メートル毎秒超、防塵・防水性能はIP54としている。
これらの数値は特定の試験環境で測定したメーカー公称値であり、実際の性能は路面や積載量などによって変化する。それでも、積載量、航続距離、耐環境性能を明示したAs2-Wと、走行・跳躍性能に集中したSupermanを比べると、用途に応じて設計上の優先順位が大きく変わることが分かる。
■米国で変化する規制環境
米連邦通信委員会は2026年7月28日、米国外で製造された一定の先端ロボットを対象カテゴリーとしてカバードリストに追加した。この措置はUnitreeだけを名指ししたものではなく、対象となる海外製機器について、原則として新たなFCC機器認証を受けられなくするものだ。すでに認証された機器や消費者が所有している機器が直ちに使用禁止になるわけではない。
また、米国防総省は2026年6月、Unitreeを国防権限法1260H条に基づく「中国軍事企業」のリストに追加した。この指定は、それ自体が一般市場での全面的な取引禁止を意味するものではないが、米国の政府調達や防衛関連の取引では、適用される規則と契約条件を個別に確認する必要がある。
中国の国家情報法第7条は、組織と国民に対し、法律に従って国家情報活動を支持、援助、協力する義務を定めている。ただし、この条文だけを根拠に、Unitreeのロボットが収集するあらゆるデータへ中国当局が場所や契約条件を問わず自由にアクセスできると断定することはできない。導入を検討する組織には、製品ごとの通信機能、保存データ、クラウド接続、更新方法、契約条件を確認し、自らの法令・情報セキュリティ要件に照らして評価することが求められる。
■Supermanが示したもの
Supermanの発表が示したのは、二足ロボットの設計と制御を高速走行や跳躍に集中させた場合に、メーカー公称値で人間のトップアスリートに並ぶ速度領域へ到達したということだ。第三者による再現試験や標準化された計測が行われれば、ロボットの運動性能を比較するうえで、より確かな基準を得られる。
同時に、速度の記録と商用ロボットとしての実用性は別の評価軸である。Unitreeの技術力や事業価値を判断する際には、Supermanの映像だけでなく、既存製品の売上、出荷、操作能力、信頼性、安全性、導入実績などを合わせて見る必要がある。
●UnitreeのSupermanは本当にウサイン・ボルト氏より速いのですか?
Unitreeが公表した最高速度12.66メートル毎秒は、ボルト氏の最高速度として広く参照される約12.42メートル毎秒を上回ります。ただし、Supermanの数値はメーカーの自己申告で、詳細な測定方法や第三者による検証結果は示されていません。公式競技の100メートル走と実験機の瞬間最高速度では、測定条件も異なります。
●なぜSupermanには手がないのですか?
高速走行や跳躍など、動的な二足移動の研究に焦点を絞るためです。手やグリッパーを備えていないので、物をつかんで運ぶ操作作業はできません。Unitreeは商用製品ではなく、実験用のプラットフォームとして紹介しています。
●Supermanは購入できますか?
2026年8月18日時点で、価格、発売時期、販売方法は発表されていません。Unitreeは研究開発中の実験機として位置付けています。
●米国のFCC規制はUnitree製品を全面的に禁止するものですか?
全面的な使用禁止ではありません。2026年7月の措置は、米国外で製造された対象カテゴリーの先端ロボットについて、新たなFCC機器認証を原則として制限するものです。既存の認証や所有済み機器への影響は分けて確認する必要があります。
元記事: Unitree Claims Bolt-Beating Sprint Speed: Superman Has No Hands and No Verification
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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