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【分析】SpaceXのロックアップ解除、懸念された暴落は起きず──9月にはインデックス買い増しの予測も

格納庫内で展示されているSpaceXのファルコンロケット。[写真拡大]
SpaceXの新規株式公開(IPO)後初となる大規模なロックアップ解除が8月6日に実施されたが、懸念されていたインサイダーによる大量の売りは発生しなかった。TD Securitiesの予測によれば、9月のNasdaq-100リバランスに伴い、インデックスファンドによる機械的な買い増しが発生する可能性がある。今後のロックアップ解除や第3四半期決算が株価にどう影響するかは依然として不透明だ。
■過去最大のロックアップ解除、パニックなしで通過
IPO史上最も注目されていたロックアップ解除が8月6日木曜日の朝に到来したが、懸念されていたインサイダー売りの殺到による暴落は起きなかった。上場企業として初の四半期決算発表から2営業日目にあたる同日、Nasdaqの午前9時30分(米国東部時間)の取引開始時に最大9億1150万株が取引可能となった。株価は取引開始直後に約3%下落し、日中安値をつけた後、午前半ばには小幅なプラス圏まで回復した。IPO史上最大の第1トランシェ解除により、さらに強い売り圧力が生じるシナリオを想定していたアナリストにとって意外な反応だった。CNNによると、TD Securitiesは今回の浮動株増加により、9月のインデックスリバランスでSpaceXのNasdaq-100における構成比率が約1%から3.5%超へ上昇すると予測している。これにより、401(k)やIRA(個人退職勘定)を通じてSPCXを間接的に保有している数百万人のパッシブファンド投資家にとって、回避できない機械的な買いの波が生じる可能性がある。
木曜日に解除された9億1150万株は、SpaceXが通常の180日後の一括解除に代えて採用した9段階のロックアップスケジュールにおいて、インサイダー保有株全体の最大20%に相当する。このトランシェは木曜日の取引価格で約990億ドル(約15兆6420億円、1ドル=158円換算)の価値がある。株価が127ドル付近だった時点で示されていた1160億ドルからは減少しており、6月16日の史上最高値225.64ドルから株価が50%以上下落したことを反映している。第2トランシェの約3億1900万株は8月12日に解除される予定で、その後も10月まで2〜4週間ごとにインサイダー保有株全体の約7%ずつが順次解除される。180日間のロックアップ対象株は2026年12月8日または9日にすべて期限を迎え、その時点で最大53億3000万株が取引可能になる。また、CEOのイーロン・マスクと一部の幹部を対象とした別の延長ロックアップは2027年6月13日まで続き、マスクの約64億株はさらに約10カ月間、市場に出ない。
SpaceX株を長期保有するBaillie Giffordの未公開企業チーム責任者、ピーター・シングルハーストは「このようなものは今まで見たことがない。この規模も、これほど段階的に解除されるロックアップも前例がない」と述べた。
この穏やかな反応は、IPOのロックアップ解除で過去にも確認されてきたパターンと重なる。2012年11月14日にFacebookの最大トランシェである約7億7700万株が解除された際、数カ月にわたり解除を警戒していた投資家に反して、インサイダーの多くが保有を続けたため、株価は下落するどころか同日に12.6%上昇した。Facebook株はロックアップ解除前の数カ月間、IPO価格からすでに大きく下落しており、押し目買いが入りやすい状況だった。また、SpaceXは当時のFacebookにはなかったAI設備投資の不確実性に直面しているため、両社の状況は完全には一致しない。それでも、ロックアップ解除は誰かに売却を義務付けるものではないという基本的な仕組みは同じである。
■ショートスクイーズの条件が揃う
穏やかな滑り出しだったからといって、危機が去ったとは限らない。Bloombergが引用した分析会社S3 Partnersのデータによると、木曜日時点でSpaceXの取引可能な浮動株の約35%が空売りされており、米国の主要上場銘柄の中で浮動株に対する空売り比率が最も高い。この数字は、推定240億ドル(約3兆7920億円)相当の弱気な賭けとなる約2億1900万株の借株・売却ポジションを意味し、ショートスクイーズの構造的な条件を作り出している。ショートスクイーズとは、空売り筋が予定より早く株式の買い戻しを迫られ、それがさらに株価を押し上げる自己増幅的な値上がりを指す。
この仕組みは、木曜日のロックアップ解除と直感に反する形で作用する。解除前にポジションを取った空売り筋は、インサイダーによる大量の売却が株価を押し下げると予想していた。インサイダーが保有を続ければ、少なくとも朝の穏やかな値動きは当初そうなっている可能性を示しており、空売り筋は期待していた売り圧力を得られないまま、含み損の拡大やマージンコール(追加証拠金の請求)に直面する。株価が取引開始直後の安値から回復した状態を維持する時間が長くなるほど、スクイーズにつながる圧力は強まる。第2四半期の好決算では、売上高が市場予想の69億3000万ドルに対して78億1000万ドルとなり、調整後EBITDAは前年同期の約3倍となる35億4000万ドルに達した。また、創業24年で初となる正式な業績見通しも示された。こうした材料は、保有を続けたい投資家に具体的なファンダメンタルズ上の理由を与えており、ショートスクイーズが起きる条件の一つとなる。
ベンチャーキャピタリストでFacebookの初期取締役でもあるチャマス・パリハピティヤは、SpaceXの空売り筋が「Teslaのような損失を被る可能性がある」と公に警告した。これは、数週間のうちに数十億ドル規模の空売りポジションに損失を与えた2020年のTesla株のショートスクイーズを引き合いに出したものだ。Fortuna Investmentsの創業者兼CEOでSpaceXの投資家でもあるジャスタス・パーマーは、「新たな株式の流入は短期的にはどの銘柄にも重荷となり得るが、それによって根本的な状況が変わるわけではない。最も重要なのは事業の強さと、長期的なビジョンを実行し続けるマスクの能力だ」と語った。
■決算が証明したものとAI設備投資の急増
2日前の決算発表が、木曜日のロックアップ解除を取り巻く状況を形作った。SpaceXは2026年第2四半期の売上高が前年同期比92%増の78億1000万ドルに達し、アナリスト予想の69億3000万ドルを上回ったと発表した。3つの事業部門はいずれも予想を上回った。Starlinkを中核とするコネクティビティ部門は、加入者数1200万人、売上高42億9000万ドルに成長した。AIインフラ部門は第1四半期の8億1800万ドルから、第2四半期には25億6000万ドルへと急増した。この四半期だけでの大幅な増加により、Anthropicとの契約、すなわちメンフィスにあるSpaceXの「Colossus 1」データセンターへの独占アクセスに対する月額12億5000万ドルの契約額が、繰り延べられず、標準的な会計規則の下で額面通り収益として認識されていることが確認された。宇宙部門の売上高は9億6200万ドルだった。
しかし、これらの数字以上に注目されたのが設備投資だった。SpaceXは同四半期に183億7000万ドルを設備投資に費やしたことを明らかにした。これは四半期売上高の2倍を超える。そのうち158億3000万ドルがAIインフラに直接投入され、第1四半期の77億2000万ドルから増加した。2025年第2四半期の投資額は、そのごく一部にすぎなかった。経営陣は今後2四半期も同様の水準となる可能性を示し、少なくとも1社の証券会社は2027年度の設備投資を約650億ドルと予測している。AI売上高25億6000万ドルに対してAI設備投資が158億3000万ドルに達したという隔たりが、水曜日に株価を13.6%下落させ、上場後では過去2番目に悪い取引日となった主因である。
SpaceXはまた、TeslaおよびIntelとの3社提携により、テキサス州グライムズ郡に半導体製造施設「Terafab」を建設する計画を決算説明会で明らかにした。第1段階の投資額は550億ドル(約8兆6900億円)で、全面的に建設した場合の総投資額は1190億ドル(約18兆8020億円)に達する可能性がある。最初のチップ生産は2027年後半を目標としている。この施設では、Teslaの車両・ロボティクス事業と、SpaceXのAIコンピューティングシステムの双方に向けた独自設計のチップを製造する計画だ。対象には、実現までには時間を要するものの、長期的な成長シナリオの中心に位置付けられている軌道上データセンターも含まれる。Creative Strategiesの半導体アナリスト、ベン・バジャリンは、このプロジェクトを15年にわたる長期戦略だと説明した。
■マスクが1兆ドルの売上目標を前倒し
決算説明会でマスクは、SpaceXが年間売上高1兆ドルに到達する社内想定の時期が、従来の予測より早まる可能性を示した。従来掲げていた2030年より早い2029年までに達成する「ゼロではない可能性」があると述べた。さらに、軌道上データセンター、次世代のStarlink V3衛星、将来的な火星植民地化を巡る長年の構想も改めて強調した。
しかし、依然として純損失を計上している企業の価値に、こうした構想をどう織り込むかは難しい。SpaceXの累積赤字は2002年の創業以来413億ドルに達している。2026年第1四半期には42億8000万ドルの純損失を計上し、第2四半期には5億4100万ドルまで縮小した。Morgan Stanleyの強気シナリオでは、2027年から2034年までのキャッシュバーンは年間平均840億ドルに達し、設備投資は2031年に3000億ドルでピークを迎え、フリーキャッシュフローがプラスになるのは2035年と予測されている。木曜日の取引価格でも、SPCXの評価額は2026年の予想売上高の40倍を超えている。この倍率を正当化するには、Starshipの迅速な再使用と軌道上データセンターが、数十年先ではなく数年以内に商業的な実効性を証明する必要がある。
アナリストの見解の幅は、この不確実性を反映している。Bank of Americaは目標株価235ドルで「買い」の評価を維持し、JPMorganは目標株価を240ドルに引き上げた。Wells Fargoのケン・ガウレルスキは「買い」の評価を維持しながら、目標株価を230ドルから215ドルに引き下げ、先行リスクと資金需要を巡って「野心には代償が伴う」と警告した。Piper Sandlerは目標株価140ドルで「中立」とし、割高なバリュエーション、AIクラウド契約の持続性を巡る不確実性、相次ぐロックアップ解除による株式供給の重荷を懸念材料として挙げている。大手銀行の中で唯一「保有」とし、目標株価を115ドルとしているHSBCは、フリーキャッシュフローがプラスになるまでに累計1060億ドルのキャッシュバーンが発生すると予測している。また、マスクがクラスBスーパー議決権株の約93.6%を支配し、総議決権の80%以上を握るガバナンス構造も、リスクをさらに高める要因として挙げた。
■従業員の含み益換金と9月のリバランス
新たに取引可能となった9億1150万株を保有する従業員や初期投資家にとって、木曜日は11週間待ち続けた末に訪れた節目である。過去の付与価格で株式を取得したIPO前の株主は、現在の108ドル付近の価格でも相当な含み益を抱えている。同社のS-1届出書によると、2026年3月時点における未行使のクラスA株式オプションの加重平均行使価格は約27.65ドルだった。このため、多くの保有者には、少なくとも株式の一部を現金化する現実的な経済的動機がある。
SpaceX従業員のファイナンシャルアドバイザーであるエヴァン・ミルズは、「これは、帳簿上の富を実際に使える現金へ変える、初めての本当の機会だ」と述べた。しかし、その機会は6月16日の最高値225.64ドルを52%下回る水準で訪れた。1株200ドル前後での現金化を期待していた可能性があるインサイダーは、今売却するのか、値を戻す可能性を見込んで保有するのか、あるいは一部だけを売却し、第3四半期決算や追加のロックアップ解除によって投資シナリオがさらに試されるのを待つのかという判断を迫られている。市場関係者は、その判断をリアルタイムで見守っている。
8月6日の解除は、予定されている9つのトランシェのうち最初で最大のものだが、パッシブ投資家にとって最後の重要な材料ではない。9月にはNasdaq-100の四半期リバランスが実施される。その時点では、SpaceXが7月に初めて指数へ組み入れられた時より、SPCXの浮動株が大幅に増えている。木曜日に新たに取引可能となった9億1150万株により、市場で取引可能な株式の供給量は大幅に拡大する。指数の仕組みを分析しているTD Securitiesは、9月のリバランス後、SpaceXのNasdaq-100における構成比率が現在の約1%から3.5%超へ上昇する可能性があると推定している。
これは実際には、約5000億ドルの運用資産を持つInvesco QQQを含め、Nasdaq-100に連動するすべてのファンドがSpaceXへの配分を比例的に増やさなければならないことを意味する。買い増しは自動的に行われ、ファンドに資金を投じている個々の投資家が判断したり、拒否したりすることはできない。7月の指数組み入れ時には、パッシブETFだけで約43億ドルの機械的な買いが発生した。構成比率が3倍になれば、9月のリバランスではさらに大規模な買い付けが必要になるとみられる。これは好意的な市場心理に基づく裁量的な需要ではなく、指数のルールが生み出す機械的な需要である。そのため、事業のファンダメンタルズやロックアップ解除を巡る状況にかかわらず発生する。
この力学は諸刃の剣である。9月に現れる非裁量的な買い手は、空売り筋が容易には逆らえない需要の下支えとなる。一方で、Nasdaq-100連動ファンドに投資している米国の退職資金の積立者は、マスクがクラスBスーパー議決権株の93.6%を支配し、累計1060億ドルのキャッシュバーンが予測される企業への保有比率を自動的に高めることになる。同社の投資シナリオで特に重要なStarshipの信頼性と、軌道上データセンターの商業的実現可能性は、今後数年にわたって検証されるべき未証明の要素として残っている。
木曜日の朝に見られた落ち着きが、8月12日の第2トランシェ、第3四半期決算、12月の180日間のロックアップ完全解除まで続くかどうかが、すでに過去のどのIPOよりも多くの記録を塗り替えてきたSpaceXの今後を左右する焦点となるだろう。ただし、135ドルを超える価格で株式を購入した投資家にとって、そうした記録はこれまでのところ大きな慰めにはなっていない。
SPCXは2026年8月6日木曜日の午前半ば時点で109ドル付近で取引されていた。本記事は情報提供のみを目的としており、投資助言ではない。
■注目ポイントQ&A
●8月6日のロックアップ解除時にSpaceXの株価が暴落しなかったのはなぜですか?
ロックアップ解除はインサイダーに課されていた契約上の売却制限を取り除くものであり、売却を義務付けるものではありません。2012年11月14日にFacebookの最大トランシェである約7億7700万株が解除された際も、多くのインサイダーが保有を続けたため、株価は同日に12.6%上昇しました。研究者が「織り込み済みの恐怖」と呼ぶこのパターンでは、予想される売りがイベント前の数週間にすでに株価へ反映されています。SpaceX株も6月の最高値からすでに50%以上下落し、ロックアップ解除を警戒した売りに数カ月間さらされていました。この事前の下落が、実際に解除された際の追加的な衝撃を弱めました。また、第2四半期の売上高が予想の69億3000万ドルを上回る78億1000万ドルとなったことも、保有者がすぐに売らずに待つ具体的な理由となりました。ただし、この落ち着きが8月12日以降のトランシェでも続くかどうかは不透明です。
●9月のNasdaq-100リバランスは、インデックスファンド保有者に何を意味しますか?
QQQなどNasdaq-100に連動するファンドを保有する投資家は、すでにポートフォリオの約1%に相当するSpaceX株を間接的に保有しています。TD Securitiesの予測によると、今回の9億1150万株のロックアップ解除による浮動株の増加に伴い、9月の四半期リバランスでその比率が3.5%超へ上昇する可能性があります。この場合、パッシブなNasdaq-100連動戦略を運用するファンドマネージャーは、SPCX株を自動的に買い増さなければなりません。個々の投資家が投票したり、買い増しを拒否したりすることはできません。意図しないSpaceXへの投資比率拡大を懸念する場合は、自身のファンドが単一銘柄の比率を制限する上限設定方式を採用しているか確認する必要があります。
●ロックアップが解除されたことで、イーロン・マスクはSpaceX株を売却できますか?
いいえ。マスク氏が保有する約64億株は、2027年6月13日まで有効な別の366日間のロックアップ契約の対象です。そのため、8月6日の解除、8月12日の第2トランシェ、あるいは2027年夏までに行われるその他の解除に合わせて売却することはできません。8月6日から12月の180日間のロックアップ完全解除までに生じ得る売り圧力は、マスク氏ではなく、ほかのインサイダーや初期投資家によるものです。マスク氏がクラスBスーパー議決権株の約93.6%を支配し、総議決権の80%以上を握る構造はロックアップの影響を受けません。これはSpaceXのデュアルクラス株式設計に恒常的に組み込まれた特徴です。
●第3四半期決算では何が起こりますか?また、それがロックアップにとって重要なのはなぜですか?
2026年11月上旬ごろと予想されるSpaceXの第3四半期決算発表は、財務報告としてだけでなく、ロックアップスケジュールの機械的な解除条件としても重要です。SpaceXの段階的な仕組みでは、第3四半期決算の発表により、残るトランシェの中で最大となる、180日間のロックアップ対象株全体の約28%が解除されます。これは約13億株に相当し、今後予定されている単独の解除としては最大です。その時期には、第2四半期にはまだ収益が発生しておらず、2026年10月に開始されるGoogleとの月額9億2000万ドルの契約によって、AI売上高が引き続き拡大しているかどうかも報告される見通しです。第3四半期決算とロックアップ解除が好材料になるか、再度の売りを引き起こすかは、SpaceXの評価額と「買い」とする27人のアナリストが前提としているAI売上高の伸びに左右されます。
元記事: SpaceX Lockup Day Arrives: Feared Insider Rout Stays Quiet as September Index Buying Looms
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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