関連記事
「iPhone 18 Pro」は最大200ドル(約3.2万円)値上げか、AI需要に伴うメモリ高騰が直撃との予測

iphone (apple.com)[写真拡大]
AppleがMacやiPadなどの価格を改定したことを受け、2026年9月発表とみられる「iPhone 18 Pro」も最大200ドル(約3万2,400円)値上げされる可能性がアナリストらによって指摘されている。この値上げ予測は、AI向け高帯域幅メモリ(HBM)の需要急増に伴う、従来型モバイルメモリの深刻な供給不足と価格高騰が背景にある。購入を検討しているユーザーは、9月の正式発表を前に、現行モデルの購入を含めた選択肢を検討する必要があるかもしれない。
■MacやiPadに続くiPhoneの値上げ予測
Appleは2026年6月25日にMac、iPad、HomePod、Vision Proの価格を引き上げた際、iPhoneへの適用は見送った。しかし、この猶予には代償が伴うとみられている。
発表から24時間以内に、市場調査会社IDCのシニアディレクターであるナビラ・ポパル(Nabila Popal)氏は、iPhone 18 Proの価格予測を最大200ドル(約3万2,400円、1ドル=162円換算)引き上げた。同氏は、今回のMacなどの値上げ規模から、Appleがメモリコストの上昇を自社で吸収する限界に達したと分析している。購入者にとっての焦点は、もはや9月にiPhone 18シリーズが値上げされるかどうかではなく、どれほど値上げされ、それまでにどう行動すべきかという点に移っていると複数のアナリストが同意している。
■AIチップ優先による「3対1の法則」とメモリ不足
値上げの引き金となっているのは、世界的な半導体業界の構造を塗り替えたメモリ不足である。世界のDRAM生産の95%以上は、サムスン電子(Samsung)、SKハイニックス(SK Hynix)、マイクロン(Micron)の3社が支配している。これら3社は2024年後半以降、製造能力をNvidiaのAIアクセラレータやデータセンター向けの「高帯域幅メモリ(HBM)」へと組織的にシフトさせてきた。この結果、iPhoneやMacなどに搭載される従来型のモバイル向けDRAMが深刻な供給不足に陥っている。
この不足の背景には、業界で「3対1の法則」と呼ばれる具体的な製造上の制約がある。マイクロンが公表したデータによると、1ギガバイトのHBMを製造するには、従来のモバイルDRAMの約3〜4倍のシリコンウェーハ容量が必要となる。つまり、HBMの製造にウェーハを1枚投入するごとに、市場から従来型メモリ3枚分に相当する供給が失われる計算になる。
HBMは、スマートフォンに搭載されるモバイルDRAMとは構造が大きく異なる。従来型メモリが基板上に並列配置されるのに対し、HBMは通常12〜16層のDRAMダイを垂直に積層し、TSV(シリコン貫通電極)と呼ばれる微細な垂直チャネルで接続する。この3Dアーキテクチャにより、AIアクセラレータが大規模言語モデル(LLM)を処理するのに必要な毎秒約1テラバイト(TB)に迫る帯域幅を実現している。これに対し、モバイルDRAMの帯域幅は毎秒約68ギガバイト(GB)にとどまる。この性能差が、AIチップメーカーが高額なプレミアムを支払う理由であり、メモリメーカーがHBM生産を優先する理由でもある。
2026年までに、HBMはDRAMウェーハ総生産量の約25%を占める見通しであり、ウェーハ消費量ベースでは世界のDRAM容量の約20%を消費すると予測されている。さらに、HBMには「CoWoS(Chip-on-Wafer-on-Substrate)」と呼ばれる高度なパッケージング工程が必要だが、この供給も逼迫している。SKハイニックスは投資家に対し、同社のCoWoSパッケージングラインは2026年まで予約で埋まっていると説明している。メーカーは生産ラインを簡単に従来型メモリに戻すことはできない。HBM用のツールや装置は専用ラインに配置されており、迅速な転用が困難だからである。
また、利益率の差も明確である。HBMはウェーハ1枚あたりの売上高が従来のDDR5の3〜5倍と推定され、粗利益率は約60%に達する。これに対し、標準的なモバイルDRAMの粗利益率は約40%にとどまる。メモリメーカー各社は、メモリの生産を怠っているのではなく、より収益性の高い種類のメモリを選択して生産しているのが実情である。
■Appleを直撃するコスト上昇
調査会社TrendForceによると、従来型DRAMの契約価格は2026年第1四半期に約90〜95%急騰し、第2四半期にはさらに58〜63%上昇すると予測されている。Appleのティム・クック(Tim Cook)CEOは、2026年6月17日のウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)とのインタビューで、この状況を「100年に一度の大洪水」と表現し、業界に40年以上身を置いてきた中で見たことがないと語った。
iPhone 18 Proにおける部品レベルの影響も報告されている。調査会社TechInsightsの推計によると、iPhone 17 Proに搭載されている12GBのDRAMパッケージのコストはAppleにとって約39ドル(約6,318円)だったが、iPhone 18 Proでは約145ドル(約2万3,490円)に跳ね上がる可能性があるという。これは同じ容量・種類のチップで272%の上昇を意味する。ストレージ(NANDフラッシュ)のコストも急騰しており、iPhone Proの256GB構成のコストは、昨年の約13ドル(約2,106円)から、現在は約51ドル(約8,262円)に達すると予測されている。
TechInsightsの試算では、AppleがiPhone 17 Proと同等の粗利益率を維持するためには、iPhone 18 Proの価格をiPhone 17 Proの1,099ドル(約17万8,038円)から約270ドル(約4万3,740円)上乗せし、1,299ドル(約21万438円)から1,369ドル(約22万1,778円)の範囲で発売する必要があるという。
一方、調査会社Counterpointのディレクターであるタルン・パタック(Tarun Pathak)氏は、メモリコストの急騰により、AppleのiPhone1台あたりのコストが150〜200ドル(約2万4,300円〜3万2,400円)増加し、大容量モデルほどその影響を大きく受けると推計している。JPモルガン(JPMorgan)は、Appleが独自開発の「Cシリーズ」モデムの採用など他分野でのコスト削減によってメモリコストを相殺できるとし、値上げ幅は最大でも50ドル(約8,100円)にとどまるという、より控えめな予測を示している。
しかし、一部のモデルで最大300ドル(約4万8,600円)の値上げとなった6月25日のMacおよびiPadの価格改定を受け、IDCのポパル氏は従来の予測を修正した。「当初の予測では、ProおよびPro Maxモデルで100ドル(約1万6,200円)、ベースモデルで50ドル(約8,100円)の値上げを想定していた。しかし、iPadやMacで最大300ドルの値上げが行われたのを見ると、iPhoneの値上げ幅はさらに大きくなり、Pro/Pro Maxモデルで200ドル(約3万2,400円)に達する可能性がある。50ドルの値上げで済む時代は終わったと考えている」と述べている。
アナリストの予測が50ドルから270ドルまで幅があることは、Appleがコストをどの程度消費者に転嫁し、どの程度自社で吸収するかという不確実性を反映している。Appleにはこれまでも部品コストの高騰を回避してきた実績があり、2026年3月期に過去最高を記録したサービス部門の売上高が、ハードウェアの利益率低下を一時的に許容する財務的な余地を与えている。
■iPhoneがMacよりも厳しい状況にある理由
iPhoneにおけるメモリは、Macとは異なる構造的な位置付けにある。DRAMはマルチタスク、カメラ処理、そして「Apple Intelligence」を含むオンデバイスAI機能を支えている。また、NANDフラッシュによるストレージ容量の差異は、Appleがモデル間の価格段階を設定し、ユーザーをより高容量で高単価な構成へと誘導するための重要な手段となっている。これら双方が同時に高騰すると、Appleが四半期ごとに数千万台規模で出荷する製品ラインアップのすべてのモデル、すべての容量、すべての価格帯に影響が及ぶ。
JPモルガンの分析によると、2027年までにメモリ部品がiPhoneの総部品コスト(BOM)に占める割合は、現在の約10%から最大45%に達する可能性があるという。また、iPhoneはAppleにとって圧倒的に出荷量の多い製品であるため、コストを自社で吸収した場合の1台あたりの影響は、MacやiPadよりも急速に拡大する。MacとiPadを合わせた売上高はApple全体の約14%にすぎないが、iPhoneは約半分を占めている。
Appleは6月25日の声明で、異例とも言える直接的な表現を用いた。「コンシューマーエレクトロニクス業界は前例のない課題に直面している。AIデータセンターの急速な拡大により、メモリとストレージの需要が異常に高まっている」とし、さらに「価格の引き上げを開始せざるを得ない段階に達した」と付け加えた。アナリストらは即座に、この「開始(begin)」という言葉に注目した。Counterpointのパタック氏は、Appleは競合他社よりも少なくとも2四半期以上値上げを遅らせ、ユーザーベースを保護しながら影響を吸収してきたが、それも限界に達したと指摘する。Microsoft、Samsung、Sony、Dell、HP、Lenovoなどの主要な競合メーカーの多くは、6月25日よりも前に、影響を受ける製品ラインの値上げをすでに実施していた。
■この供給不足が長期化する理由
2020年から2022年にかけてのパンデミック期の半導体不足を含む過去のメモリ不足は、メーカーが生産能力を拡大し、価格が下落して市場が再均衡するという、おなじみのメカニズムによって約16〜22か月で解消された。しかし、今回の不足はそのパターンに当てはまらない。
異なる要因は、メモリメーカーとAI大手の間で結ばれている複数年の「テイク・オア・ペイ(引取基準、または違約金支払い)」契約の存在である。マイクロンは、すでに締結済みの価格合意に基づき、2026年のHBM生産能力をすべて完売している。SKハイニックスも主要顧客との間で2026年の供給計画を確定させており、逼迫した状況は2027年まで続くと予想している。OpenAI、Microsoft、およびメモリメーカーの間で進められている「Project Stargate(プロジェクト・スターゲート)」に関する合意では、世界のDRAMウェーハ容量の最大40%(月間約90万枚)をAIインフラ向けに確保したと報じられている。
マイクロンやSKハイニックスの新しい製造工場(マイクロンのアイダホ工場やSKハイニックスの龍仁(ヨンイン)工場)が稼働する2027年になっても、その生産能力の大部分はすでに事前契約で割り当てられている。物理的な供給量が増加した後でも、利益率の差が再び生じれば、メーカーは新しいウェーハをHBM生産に振り向ける選択肢を保持している。新しい工場が稼働しても、従来型DRAMではなくHBMを生産するという構造的なインセンティブが消えるわけではない。
マイクロンのサンジェイ・メロトラ(Sanjay Mehrotra)CEOは、供給状況は2028年にかけて段階的に改善する見通しであるものの、「メモリ供給がいつ増加する需要に追いつくかについての見通しは立っていない」と述べている。1980年代から半導体サイクルを追跡しているハーバード・ビジネス・スクールのウィリー・シー(Willy Shih)教授は、価格上昇の予測を直線的に維持し続けることは歴史的に珍しいと指摘しつつも、状況の緩和には数か月ではなく数年単位の時間がかかるとの見方を示している。複数の予測担当者は短期的な解決策はないとみており、最も広く引用されているアナリストのコンセンサスでは、有意義な供給緩和が始まるのは早くとも2027年であり、価格の完全な正常化は2028年から2030年の間になると予測されている。
■9月までに購入者が検討すべきこと
現在iPhone 16やiPhone 17モデルを所有し、アップグレードを検討している消費者にとって、決定を下すタイミングが重要となる。通常、新型iPhoneが発表されると下取り価格は下落する。9月にiPhone 18の価格が確定すれば、現在の下取り価値と新規購入価格との差額はさらに広がる可能性が高い。
Proクラスのデバイスを必要としており、前世代のスペックでも許容できる購入者にとっては、iPhone 17 Proの在庫が1,099ドル(約17万8,038円)で維持されている現在のうちに動くのが最善の選択肢となる。iPhone 18を待つという選択は、多くの場合において世代交代というよりも段階的なアップグレードにとどまる製品に対して、より高い金額を支払うことを意味する可能性が高い。
iPhone 18の購入を決めているユーザーに対して、アナリストらは、TechInsightsの部品コストモデルが示す270ドル(約4万3,740円)という上限値ではなく、JPモルガン、Counterpoint、IDCが現在最も可能性が高いとみている100ドル〜200ドル(約1万6,200円〜3万2,400円)の範囲で予算を想定しておくことを広く推奨している。Appleは歴史的に、ストレージ構成の調整や一部の利益率吸収によって価格変動を和らげる方法を見出してきた。また、自社製Cシリーズモデムの採用による部品コストの削減は、外部の競合他社にはない強みである。
最終的なiPhone 18の値上げ幅が50ドル、150ドル、あるいは200ドルのいずれになるにせよ、値上げの方向性自体に疑いの余地はない。Apple自身の「価格の引き上げを開始する」という言葉は、6月25日のMacおよびiPadの値上げが始まりにすぎず、全体像ではないことを示唆している。次はiPhoneの番である。
■注目ポイントQ&A
●iPhone 18 ProはiPhone 17 Proと比べてどのくらい値上げされますか?
アナリストの予測は50ドル(約8,100円)から270ドル(約4万3,740円)まで幅があります。Appleが6月25日に実施したMacとiPadの値上げを踏まえ、IDCの修正予測などに基づくと、ProおよびPro Maxモデルでは100ドルから200ドル(約1万6,200円〜3万2,400円)の値上げが最も可能性が高いとみられています。なお、AppleはiPhone 18の価格を正式発表しておらず、最終的な価格は9月に予定されている発表イベントまで確定しません。
●なぜAppleは2026年にデバイスの価格を引き上げているのですか?
主な原因は、AI業界における高帯域幅メモリ(HBM)の需要急増に伴う、DRAMおよびNANDフラッシュメモリの世界的な供給不足です。サムスン、SKハイニックス、マイクロンの主要メモリメーカー3社が、従来のモバイルDRAMよりもウェーハあたりの利益率が約50%高いHBMの生産に製造能力をシフトしたため、従来型メモリの供給が極めて逼迫しています。TrendForceによると、従来型DRAMの契約価格は2026年第1四半期だけで約90〜95%急騰しており、Appleの部品調達コストは前年比で数倍に膨らんでいます。
●今iPhoneを購入すべきですか、それともiPhone 18を待つべきですか?
現在iPhone 16以降のモデルをお使いの場合、iPhone 18を待ってもハードウェアの大幅な向上は期待しにくく、価格が高くなる可能性が極めて高いとみられます。古いモデルからProモデルへのアップグレードを希望される場合は、下取り価格が下落する9月より前に、現行のiPhone 17 Proを1,099ドル(約17万8,038円)で購入して価格を確定させるのが賢明な選択肢となります。一方で、価格を気にせず「Apple Intelligence」機能や次世代のカメラ性能を重視される方は、値上げを受け入れた上でiPhone 18の発売を待つのが適しています。
●メモリチップの供給不足はいつ解消されますか?
多くの専門家は、マイクロンやSKハイニックスの新工場が本格稼働する2027年以降に供給が緩和され始めると予測しています。しかし、AIハイパースケーラーとの複数年契約によって新工場の生産能力の多くがすでに押さえられていることや、メーカーにとってHBMの生産が極めて高収益であることから、価格の完全な正常化は2028年から2030年の間になると広く見込まれています。今回の不足は、パンデミック時のように一時的な需要変動によるものではなく、製造能力の構造的なシフトが原因であるため、解消には数年単位の時間を要するとみられています。
元記事: iPhone 18 Pro Price Could Jump $200: Mac Hike Signals Steeper September Bill
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
スポンサードリンク

