魚食離れが進む中、水産各社の株価が好調な理由

2025年9月7日 20:56

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 「魚食離れ」が、懸念されている。こんなデータがある。『日本の魚介類の消費は2001年度に、一人当たり年間魚介類の消費量は40.2kgでピークを打った。そして2022年度には22kgと半減し、過去最低を記録した』(農林水産省食料需給表)。

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 その要因として「(1)価格高騰/(2)調理が面倒⇔(3)共稼ぎ世帯が増加等で家庭での魚の調理機会が減少(4)肉食の増加」などが指摘されている。

 忌々しき問題と考える。幼い頃から「魚は栄養素の宝庫」と言われ育ってきた。事実、改めて調べ直したら、こんな事実を知った。

 「カルシウム:骨や歯の材料になるだけでなく、コレステロールや中性脂肪の低下や、血圧の正常化をはじめ肝臓の解毒作用を促す。糖尿病予防効果」「EPA(エイコサペンタエン酸/魚の油):コレステロールや中性脂肪の低下、血栓予防」「DHA/魚の油:EPAの働きに加え、記憶学習能力の強化や成長期(幼児期)の脳の発育に効果」。

 思い立ったのは「魚食離れと水産株の関係」。古い資料を読み漁った。興味深かったのは会社四季報:2022年第4集発行と同時に組まれた、特集だった。魚食がボトムを打った時期の特集である。

 四季報の編集で「独自増額が最も多かった企業群」として水産業界を取り上げている。詳細は省くが「何故」について特集は、「各社、海外戦略強化」と要因を断じている。そしてそれは、現在も変わっていない。大手3社の中計を覗いて見た。

 マルハニチロ(1333、東証プライム市場):至28年3月期の中計は、「営業利益400億円(25年3月期実績304億円)」「配当性向30%以上」「成長投資1400億円以上」を掲げ「海外市場の注力・拡充」をポイントとしている。

 ニッスイ(1332、東証プライム市場)も至28年3月期で「売上9700億円」「3年間の総還元性向40%以上」を掲げ、「海外市場の深耕」を謳っている。

 極洋(1301、東証プライム市場)も然り。至27年3月期で「売上高4000億円(24年3月期2616億円)」「営業利益135億円(88億円)」「DOE3%以上」を謳い、「海外部門売上高比率15%以上」としている。

 上記3社の株価は、こんな状況。マルハニチロ:3350円/過去9年半余の修正済み株価パフォーマンス58%。ニッスイ:1000円トビ台/修正済み株価パフォーマンス47%/IFIS目標平均株価1195円。極洋:4000円台終盤/修正済み株価パフォーマンス75%。

 いずれも、今後とも中長期構えの投資が一法ということか・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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