コインベースのS&P500入りで、仮想通貨にさらなる追い風か!?

2025年6月3日 09:35

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●コインベースがS&P500入り

 米国の大手仮想通貨(暗号資産)取引所コインベース等を運営するコインベース・グローバル(COIN)が、S&P500の銘柄に採用された。

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 5月12日の発表を受けて、株価は約16%急騰。組み入れは19日の取引開始前で、仮想通貨企業として初のS&P500採用だった。

 米国議会では、ステーブルコインの普及を後押しする法案が審議入りし、テキサス州でもビットコインを準備金とする法案が最終調整に入った。日本でもメタプラネットの株価が急上昇するなど、仮想通貨に大きな動きが出てきている。

 コインベースのS&P500採用は、仮想通貨にさらなる追い風となるのか?

●コインベースとは?

 コインベース・グローバルは、米国カリフォルニア州サンフランシスコに本社を置く仮想通貨取引所で、2012年に設立された。世界100カ国以上で展開しており、2025年5月現在で利用者数は1億1000万人を超える。

 5月30日時点での時価総額は628.15億(約8.9兆円)ドルで、日本ではJT株に相当する。

 2018年6月に日本への進出を表明し、2021年8月からサービスを開始したが、2023年1月に市場環境の変化を理由に日本での扱いの停止を発表した。

●好材料が続くが付きまとう不安材料も

 S&P500組み入れによって、コインベース株には、アクティブファンドとパッシブファンドから、それぞれ70億ドルと90億ドル、買い圧力になると予想されている。

 株価自体は昨年末の349.75ドルには遠く及ばず、S&P500組み入れ以来上昇する場面もあったが、250ドル付近で落ち着いている。

 組み入れ発表直後の5月15日にサイバー攻撃を受けて、顧客情報が盗まれるという事件があった。被害額は1億8000万ドル~4億ドルになると見られている。

 仮想通貨のサイバー攻撃による資金の流出は後を絶たず、未だに課題として残っている。コインベース株の上値が重いのも、サイバー攻撃への懸念が背景にあると思われる。

 コインベースの第1四半期の純利益も、コストの増加と事業用の仮想通貨の損失が原因で減益となった。

 コインベースのS&P500採用は、金融業界にとっても大きな分岐点となるニュースだが、サイバー攻撃やボラティリティの大きさなどの課題で、日本のメタプラネットのような株価上昇にはハードルが高そうだ。(記事:森泰隆・記事一覧を見る

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