国策としての半導体サプライチェーン構築

2023年10月15日 08:42

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 半導体の重要性が高まっている。半導体は、身近なところではスマホ、PC、家電に使用されているが、通信や金融といったインフラにも必要不可欠なものである。また、自動運転技術のような先進ビジネスにも組み込まれるため、世界中で争奪戦となっている。

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 新型コロナウイルスが蔓延った際には、リモートワークの推進や巣ごもり需要からPCやスマホでのニーズが高まり半導体不足が発生した。そこから各国は、半導体の安定供給に向けた施策を本格化している。

 日本では、2022年に政府が半導体を「特定重要物質」に指定し、“国民の生存に必要不可欠な又は広く国民生活・経済活動が依拠している重要な物資“として安定供給を図っている。

 実際、台湾の半導体受託製造トップ企業であるTSMCの工場を熊本県に誘致することや、国産半導体メーカー「ラピダス」が2022年8月10日に設立された。

 半導体製造における日本企業のシェアは高くないが、半導体製造装置では東京エレクトロンが世界的に大きなシェアを握っており、先の工場誘致等は国内の半導体製造装置メーカーにも恩恵をもたらすであろう。

 一方でリスクも複数ある。1つは米中の貿易摩擦だ。監視カメラや通信機器等が禁輸となっているが、そうした製品にも半導体は使われており、国際政治は半導体の需要や供給に大きな影響を与える。

 もう1つのリスクは台湾有事である。半導体シェアを国別に見ると、台湾はアメリカ、韓国に次ぐポジションである。仮に、中国が台湾に武力行使をした場合、世界中の半導体供給網に多大な打撃を与えることになる。

 こうしたリスクを背景に、日本も半導体の安定供給に向けた施策をうっており、重要なのはサプライチェーンの強化である。

 半導体の製造は、設計/前工程/後工程に分かれるが、各企業に得意分野がある。先の東京エレクトロンは前工程における製造装置に強みがある。強みを活かした分業体制を、アメリカ、韓国間で築き、関係物資の不足時の迅速な連携を可能にするサプライチェーンの構築が必要である。(記事:Paji・記事一覧を見る

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