10月から酒税変更 第3のビールが値上がりムードの中、第4の選択肢は?

2023年10月1日 16:51

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記事提供元:エコノミックニュース

10月から酒税が変更され、ビールや発泡酒の価格が変わる

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 10月から酒税が変更され、ビールや発泡酒の価格が変わる。今回の改正により、ビールの酒税は350ml換算にすると現行の70円から6.65円引き下げの63.35円になる。発泡酒の酒税は46.99円のまま現状維持だが、第3のビールともいわれる新ジャンルが発泡酒の品目に取り込まれるため、これまでの37.8円から9.19円引き上げられて46.99円となる。最終的には2026年に税率を一本化するための段階的措置だが、今回の酒税改正で消費者がどのような動きを見せるのか注目されるところだ。

 そんな中、もう一つの選択肢として急浮上しているのがノンアルコール飲料だ。

 晩酌でビールを飲んでいた層がひと昔前に発泡酒や第三のビールに流れた一方で、ノンアルコール飲料を選択する人も増えた。飲酒運転の罰則が厳しくなったことや、コロナ禍で健康志向が高まったことなども影響していると思われるが、ノンアルコール飲料の味も以前に比べて格段に美味しくなってきたことも大きな原因だろう。定番のビールテイストだけでなく、日本酒テイストのものやワインテイスト、カクテルテイストなど、味わいも多様化している。今や、ノンアルコール飲料は飲食店でも一定の地位を確立しているのだ。

 サントリーが2022年9月に実施した「ノンアルコール飲料レポート2022」の調査結果」によると、2021年のノンアルコール飲料の市場規模は7年連続で増加しており、推定で対前年比15%増の4009万ケース。過去最大の規模となった。今後も拡大傾向が続くとみられており、22年は推計で同4%増の約4171万ケースとなっている。また、同調査で行ったノンアルコール飲料の飲用経験に関する質問では、「飲んだことがある」と、半数以上の53.2%が回答。また、全体の22.1%が「期待以上に美味しかった」と回答している。

 では、ノンアルコール飲料はどのような場面や目的で飲まれているのだろうか。やはり最も多いのは「運転しなくてはいけないから」、続いて「晩酌代わり」や「休肝日」に飲む人も多いようだ。さらに最近では、日中でもランチタイムなど、幅広いシーンで楽しむ人が増えている。実は、日本だけでなく世界の先進各国でも、ノンアルコール飲料の需要は堅調に推移しているという。

 

 晩酌代わりに飲んでいる人は、おそらく味にも満足しているのだろう。定番のビールテイストをはじめ、味も進化している。例えば、名前通りのドライなのど越しとクリアな後味が魅力の「アサヒドライゼロ」や、3種のホップの豊かな香りとさわやかな味わいが楽しめる「キリン グリーンズフリー」、そして、ノンアルコールビールといえば、真っ先に頭に浮かぶ人も多いと思われる「サントリー オールフリー」など、人気のノンアルコールビールはいずれもキレのよい後味で、ビールの味わいに限りなく近い。

 また、ビール以外の選択肢が増えてきたことも嬉しい。例えば、酒どころ灘五郷の老舗酒蔵 白鶴酒造がその酒づくりの粋を集めて作った、大吟醸テイストのノンアルコール日本酒、 「白鶴 吟零 スパークリング」だ。食事と一緒に楽しめる心地よい吟醸香と、すっきり爽やかな味わいのスパークリング飲料となっている。日本酒の芳醇な香りはそのままに、アルコール分0.00%であるのはもちろん、人口甘味料も不使用でグルテンフリー。100mlあたり8kcalで低カロリーなのも嬉しい。インバウンド市場も順調に回復に向かう中、外国人観光客からも大きな支持を得るのではないだろうか。

 それでもまだ、やっぱりノンアルコールは「頼りない」と思う人も多いだろう。でも、アルコールを美味しく飲むためにも健康が第一だ。週に二回くらいは休肝日をつくって、ノンアルコール飲料で体を休めてみてはいかがだろうか。もしも、一昔前のノンアルコール飲料にマイナスイメージを持って敬遠していたとしたら、今の進化したノンアルコール飲料を一口飲めばきっと、「期待以上に美味しかった」と感じるはずだ。(編集担当:今井慎太郎)

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