Metaと社名変えたFacebookが、「メタバース」に博打の様なチャレンジ始めてから・・

2022年9月24日 16:19

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「Horizon World」は8月にフランスとスペインでの利用可能となった。(画像: Metaの発表資料より)

「Horizon World」は8月にフランスとスペインでの利用可能となった。(画像: Metaの発表資料より)[写真拡大]

 期待が先行している「メタバース」だが、現在実現されているのはメタのほんの入口に過ぎない。正直言ってどんな進化を遂げるのかは、誰にも分からない。

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 だが、黎明期の携帯電話が肩に掛ける無線機のようなサイズで、一般の個人が利用することも考えられない高額な利用料金だった時代に、具体的なイメージは結べなくとも大きな可能性を信じてチャレンジしたのが、ソフトバンクグループ(SBG)の総帥として世間の耳目を集める孫正義氏だ。

 現在は投資会社として生まれ変わったSBGが、投資先企業の株価低迷の煽りを受けて、巨額の赤字を計上して注目を浴びるという、孫氏にとっては不本意な状況にはあるが、今まで乗り切ってきた波乱万丈の人生は稀有のものだ。

 インターネットと商品販売を結びつけて、一大経済圏と言われる「楽天」を築き上げた三木谷浩氏も、時代の流れを見事に掴み取った逸材だ。孫氏が名を成さしめるに至った携帯事業に進出してから、資金不足という壁に直面していることが、大いなる皮肉と言えなくもないが、ここまでの成功が時流を読みきった慧眼にあることは間違いない。

 メタバースにも、携帯電話やインターネットの登場に比較されるくらいの、ビジネスチャンスが期待されている。

 象徴的なのが、21年にFacebookが会社名をMetaに変更したことだろう。同時にVRとARの分野に、合わせておよそ1兆円を投資すると宣言した。名実ともに退路を絶って新事業にチャレンジしている訳だから、今後は成功の果実を手にするか、失敗の憂き目に逢うかという、博打の様な決断をしたことになる。

 そのMetaが発売したVRゴーグルの「Meta Quest 2」に集まる様々な評価は、黎明期のゆらぎを示すものだろう。何を見るのかという第1歩から手探り状態だから、製品の使い勝手に幅がない。個々人が自分の好みで判断するのは当然だから、毀誉褒貶が相半ばすることは避けられない。

 世間の評価に揉まれてノウハウを蓄積した企業が、覇権を握るのが新規事業で成功する王道だ。MetaはQuest 2を使って参加する「Horizon World」(日本未公開)内の「Meta Avatars Store」で、アバターに着せる服を販売する。

 当初はプラダ、バレンシアガ、トムブラウンなどがアイテム提供を担当して、徐々にブランドを増やす計画だから、リアルの世界と仮想の世界を隔てる垣根が段々低くなる。メタベースで流行ったアイテムを、リアルが追いかける様な時代がやがて訪れるかもしれない。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る

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