株式市場もエールを贈る、TREの静脈事業&バイオマス発電の現状

2022年8月25日 17:33

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 静脈産業。廃棄物を再生する。産業廃棄物・一般廃棄物などを中心に、部材等のリサイクルを含めるとその市場規模は約12兆円とされる。産廃物は各都道府県の認可が、一般廃棄物は各市町村の認可が必要なことから結果的に小規模事業者が多い。約11万社とも約12万社ともいわれている。

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 売上高規模で「大手」と称される上場企業は、レアメタルリサイクルのアサヒホールディングス、マツダ産業。非鉄精錬・焼却・埋め立てのDOWAホールディングス。金属リサイクルのエンビプロHO。そして8月17日の企業・産業欄に投稿したダイセキなどがある。

 そして「再エネ」まで手掛ける、という業務範囲に惹かれ今回調べたTREホールディングス(東証プライム、以下TRE)もそんな1社。2021年10月にタケエイとリバーHが統合したTREの業務範囲は広い。

<廃棄物処理・再資源化事業>: 特徴的なのは中間処理工程を通じた土木資材・石膏ボードなどの製品化。紙屑・廃プラスチックなどを活かしたPRF(固定燃料化)。粉塵を利用した製鉄副資材。リサイクルが出来ない残渣物の埋め立て処分。

<資源リサイクル>: 建物・建設現場や製造工場から発生する鉄筋、生産工場から発生する端材、使用済み自動車などを仕入れたせん断・圧縮・破砕処理。廃家電やホームセンター・コンビニなどの使用済み什器の手解体・粉砕・選別処理。

<★再生可能エネルギー事業>: 森林間伐材を燃料としたバイオマス発電による電気を、地域の小中学校や公共施設へ供給し「電力の地産地消」を実現。また発電時に発生する余熱を活かした農作物の栽培。

 収益動向は堅調。統合初年度となった2022年3月期の「売上高:682億3400万円、営業利益:76億5900万円、最終利益:47億4200万円」に対し、今期計画は「38.1%増収、21.4%営業増益、24.4%最終増益、15円増配40円配」計画。

 株価も好感している。本稿作成時の時価は1500円台半ば、予想税引き後配当利回り2%強。IFIS目標平均株価は選出アナリスト4人中4人が「強気」で2500円。

 ダイセキの原稿でも記したが現状で「産廃物の埋め立て地は10年後には目いっぱいとなる。新たな埋め立て地候補確保は困難な状況」。その意味で「リサイクル事業」の拡充は論を俟たない。と同時に「再生可能事業」の強化も不可欠。そうした観点からTREが自社3発電所で進めるバイオマス発電は、前期で売上高124億1600万円(総売上高比18%余)だが、拡充が望まれる。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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