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逼迫する原油市場、高値が続くか!?
●OPECプラスが増産に合意
石油輸出国機構(OPEC)とロシアなどの非加盟国で作るOPECプラスは、6月2日の閣僚級会合で、増産ペースを拡大することで合意した。
【こちらも】乱高下する原油価格の行方は?
WTI原油先物はこの声明を受けて、一時約3%下落したが、結局は前日比約1%上昇した。
4月と5月は、ロシアとウクライナの停戦交渉への期待や、中国・上海のロックダウン懸念により、1バレル=100ドルを割る場面もあったが、現在は120ドル近辺で推移している。
上海のロックダウンは終わったが、ロシアをめぐる供給面で解決の糸口が見えない中、増産で原油価格を安定させることができるのだろうか?
●カギを握るロシア問題
ウクライナ侵攻によって、ロシアは西側諸国から制裁を受けている。EUなどが段階的にロシア産原油の輸入禁止措置を発動しており、年末までには9割が禁輸となる見込みである。
世界シェアの約10%を占めるロシア産原油の穴埋めをするのは、容易ではない。ロシア原産の穴埋めは、サウジアラビアや他のOPEC加盟国ですると見られている。
●焼け石に水との声も
追加増産に合意しながらも、すぐに原油先物価格が上昇したことから、市場からは抜本的な解決にはならないとの見方だ。すでに増産には力を入れているが、生産能力がすでに限界に達しているとの声もある。
会合前にはOPECがロシアを除外するという報道もあったが、価格の急落を防ぐという意味でも、ロシアとの協調は簡単にはやめられないという見方が強い。
米国は、今回の増産を歓迎しているとの声明を出している。支持率低下に悩む米国バイデン大統領は、近々サウジアラビアを訪問すると見られ、今後も増産への圧力をかけるだろう。
中東諸国からすれば、米国とロシアの両国との関係から、微妙なバランスを保たざるを得ない。
ただ、原油価格は投機マネーの流入もあり、今後FRBの利上げペースに左右されることも考えられる。
米国バイデン政権も11月の中間選挙までにインフレを抑える大きな成果を求められており、イランの核合意や人権問題で批判的だったサウジアラビアへの歩み寄りなどで、原油の値動きが大きくなることも考えられる。
一時的な調整があっても、基本は高値で推移する可能性の方が今のところは高い。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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