超新星爆発控えた巨星を周回する惑星を発見 ESOの研究

2022年5月10日 11:05

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 これまでに発見された太陽系外惑星のほとんどは、太陽質量の2.3倍以内の重さとなる恒星を周回するものだった。だがヨーロッパ南天天文台(ESO)の研究者らは、太陽質量の9倍もの重さを持つ超新星爆発を控えた巨星(さそり座μ2)の周りを周回するガス惑星を発見したと、発表した。

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 さそり座μ2は太陽質量の8倍を超え、水素やヘリウムだけでなく炭素の核融合も可能で、赤色超巨星の段階を経てやがては超新星爆発を起こす運命にある。このような赤色巨星では、惑星は発見できないというのが従来の通説であったが、今回の発見はそれを覆すものである。

 従来、太陽系外惑星の探索は主にトランジット法や視線速度法が用いられてきた。トランジット法は、惑星が恒星の前を通過することでその光をわずかに遮り、光度低下が起きるのを検出するものだ。惑星が恒星に近い場合(つまり公転周期が比較的短い場合)の発見には適しているが、木星のように公転周期が12年にも及ぶ場合には、検出が難しい。

 視線速度法は、惑星の重力で恒星がふらつくことによって生じる光のドップラー効果によって、惑星を検知する方法だ。これもまた惑星が恒星に近い軌道を周回している場合でないと、検出が難しい。

 今回さそり座μ2で発見されたガス惑星は、トランジット法や視線速度法によらず、直接その星が発する光の検出に成功したものだ。恒星の距離が900光年と比較的地球に近く、しかも、惑星がガス惑星で巨大かつ若く自ら光を発していたために、発見が可能であった。またこの惑星が恒星に近すぎると、恒星の光に幻惑されて惑星が発するかすかな光の検出は困難だったという。

 今回の発見で惑星が誕生する条件は、従来考えられていたよりも多様であることが明らかになった。今後、さそり座μ2に似た条件の恒星を探索することで、赤色巨星を周回するガス惑星が数多く発見される可能性がある。実は人類のテクノロジーで発見できない種類の惑星がまだたくさんあり、未知の惑星誕生機構がこの宇宙には存在しているのかもしれない。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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