鶏卵アレルギー起こしにくい卵白分解物を発見 アレルギー予防に期待 国立成育医療研究センター

2022年5月1日 08:06

印刷

今回の研究の概要(画像: 国立成育医療研究センターの発表資料より)

今回の研究の概要(画像: 国立成育医療研究センターの発表資料より)[写真拡大]

 国立成育医療研究センターなどの研究グループは、酵素で分解した卵白数種類のうち、すでに食物アレルギーを発症していてもアレルギー症状を起こしにくく、食物アレルギーの発症を予防できるもの2種類を発見したと発表。今後安全なアレルギー予防法の開発につながる可能性がある。

【こちらも】卵アレルギー、離乳期早期からのゆで卵摂取で8割減、予防に効果か

 今回の研究は、国立成育医療研究センター研究所の松本 健治部長、日本ハム、高知大学医学部小児思春期医学教室らにより行われ、研究結果は18日の「Allergology International」にオンライン公開された。

 生物は自分の体を守るために、体外から侵入してきた細菌や寄生虫などの異物を排除する免疫システムを持つ。本来自分自身を守るためにある免疫システムが、無害なはずの食物や花粉などに反応してさまざまに出てくる症状をアレルギーという。アレルギーの原因となる物質をアレルゲンとよび、通常はタンパク質がアレルゲンとなることが多い。

 食物アレルギーの原因となりやすい食品として、卵や小麦粉、大豆、ピーナツ、蕎麦などが知られている。これらの食品にアレルギーを持っている人が食べてしまうと、下痢や蕁麻疹、咳、喘息の症状が起こり、重症化するとアナフィラキシーを起こして危険な状態になってしまう。

 過去にはこれらの食品を食べることでアレルギーになると思われていた。だが近年の研究で、食物を口から摂取すると、食物アレルギーになりにくくなることが分かってきている。これを免疫寛容という。アレルゲンを皮膚から取り込んだ場合にアレルギーが起こりやすくなることも分かってきている。

 研究グループは、卵白を食品加工用の酵素で分解して数種類の卵白分解物を作り、離乳期のマウスに経口投与。鶏卵アレルギーの発症を抑える蛋白分解物2種類を見つけた。これらの蛋白分解物を、すでに鶏卵アレルギーを発症しているマウスに与えたところ、元の卵白よりもアナフィラキシーを起こしにくいことが分かった。

 さらにこの蛋白分解物を、炎症を起こしたマウスの皮膚に貼り、IgE抗体の量を測定。IgE抗体はアレルギー症状を起こす物質であり、量が多い時に強いアレルギー反応が起こる。すると、元の卵白と比較して蛋白分解物はIgE抗体を作りにくいことが分かった。

 これまでも、アレルゲンを少量ずつ経口投与していく「減感作療法」というアレルギーの治療方法があったが、重篤なアナフィラキシーが起こるなどの副作用の危険性があり、医師の厳重な管理下で行われてきた。今回発見された蛋白分解物は、より副作用の症状を起こしにくいアレルギーの治療法として、今後利用される可能性に期待できるだろう。(記事:室園美映子・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事