1926年出版の著作物が米国でパブリックドメインに 「クマのプーさん」など

2022年1月5日 07:53

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記事提供元:スラド

米国では 2022 年 1 月 1 日、1926 年に出版された文学・音楽等の著作物がパブリックドメインとなったほか、1923 年よりも前に出版された推定 40 万点の録音物がパブリックドメインになった(Public Domain Day 2022The Verge の記事)。

Public Domain Day 2022 では新たにパブリックドメインになった文学作品として、以下の 13 作を取り上げている。 A・A・ミルン「クマのプーさん」 
 アーネスト・ヘミングウェイ「日はまた昇る」 
 ドロシー・パーカー「イナフ・ロープ」 
 ラングストン・ヒューズ「おんぼろブルース」 
 T・E・ローレンス「知恵の七柱」 
 フェリークス・ザルテン「バンビ」 
 ハリール・ジブラーン「Sand and Foam」 
 アガサ・クリスティ「アクロイド殺人事件」 
 エドナ・ファーバー「ショウボート」 
 ウィリアム・フォークナー「兵士の報酬」 
 ウィラ・キャザー「私の不倶戴天の敵」 
 D・H・ローレンス「翼ある蛇」 
 H・L・メンケン「Notes on Democracy」 米国では 1977 年までに出版された著作物の場合について、出版から 95 年の著作権保護期間を定めているため、1926 年に出版された著作物が 1 月 1 日にパブリックドメインとなった。「バンビ」は 1923 年に出版されているが、1926 年の再出版時に米国での著作権表記が行われたため、米国では 1926 年出版扱いとなっている。音楽作品でも同様、1977 年までに公表された作品には 95 年の著作権保護期間が適用されるため、1926 年に初演されたプッチーニのオペラ「トゥーランドット」も今回ようやくパブリックドメインとなった。

 日本では著作者の死後 50 年または 70 年の著作権保護期間を定めており、2018 年時点で戦時加算を含めて 50 年の著作権保護期間が満了していなかった作品は 70 年間となる。そのため、「クマのプーさん」などの著作権保護期間が既に満了している一方で今年新たにパブリックドメインとなる作品はなく、「日はまた昇る」など上記作品の半分は著作権保護期間が満了していない。

日本の作家の作品でも今年パブリックドメインとなる作品はないが、青空文庫では著作者自身の希望による3作品(円城塔「鉄道模型の夜」、澤西祐典「くじらようかん」、福永信「三重塔にて」)を1月1日に新規公開しており、2日には尾崎士郎訳の「現代語訳 平家物語 01 第一巻」、3日には鴨長明作・佐藤春夫訳の「現代語訳 方丈記」を新規公開している(そらもよう)。

米国ではこれまで録音物に関しては、1972 年 2 月 15 日以降に録音された著作物のみが連邦法で保護されていたが、2018 年に成立した Music Modernization Act (MMA) で古い録音物にも著作権保護が拡大された。今回の 1923 年以前に出版された録音物のパブリックドメイン化が MMA 適用の第 1 弾であり、パブロ・カザルスが演奏したバッハの無伴奏チェロ組曲第 3 番の第 5 曲や、セルゲイ・ラフマニノフが演奏したクライスラーの「愛の悲しみ」など、多数の録音がパブリックドメインとなった。

2024 年以降は 1923 年 ~ 1972 年の録音物が順次パブリックドメインに加わっていく。保護期間は 1923 年 ~ 1946 年に出版された録音物が 100 年、1947 年 ~ 1956 年に出版された録音物は 110 年となり、1957 年 ~ 1972 年 2 月 15 日までに録音された録音物はすべて 2026 年 2 月 15 日で保護期間が満了する。 

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