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14日より再上昇? 海外投資家に翻弄される日経平均株価 後編
菅前首相の辞任より急上昇した日経平均株価は、岸田新首相の誕生と共に大きく下落、心理的節目とされている200日移動平均線をもあっさりと割り込み、27,000円という大きな節目へ再び向かおうとしている。だがこれが岸田新首相の掲げる政策への失望の表れとかといえば、それが全てではないだろう。
【前回は】14日より再上昇? 海外投資家に翻弄される日経平均株価 前編
そもそも、2021年の金融市場全体を振り返れば、世界各国の株式市場に比べて日本の株式市場は明らかに出遅れていた。オリンピック開催と重なった新型コロナウイルスの第5波までは、世界各国の感染者数よりも総じて低い水準であったのにも関わらずだ。
つまりは、デジタル化や脱炭素に遅れを取る日本に対して、積極的な買い材料は乏しいままだ。GAFAM(Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft)のような企業は日本から生まれず、「世界のトヨタ」ですら、今や電気自動車のテスラに時価総額で抜かれてしまった。日本の株式市場を支えてきたのは、日本銀行や日本年金機構など、いわゆる「クジラ」と呼ばれる巨大な機関投資家であって、自律反発に乏しい状態が続いているのだ。
そして、アメリカのFRBをはじめとする世界の中央銀行は、コロナ禍後に行った金融緩和から、すでにテーパリング(金融緩和の縮小)へと舵を切っている。インフレ率の上昇懸念だけではなく、個人投資家によるゲームストップ株の乱高下や仮想通貨バブルなど、金融緩和が過剰となれば、その副作用は大きくなる。
OPECプラス(石油輸出国機構とロシアなど非加盟産油国で構成)の増産が延期され、原油高も続く状況で、インフレ率がさらに高騰すれば、アメリカはテーパリングへの議論を加速させるだろう。結果として株式市場からは資産が引き上げられていくのだから、現在のアメリカ株式市場全体において上値が重くなっていることも、ごく自然な値動きといえるのだ。
そんな状況下で中国の大手不動産会社である恒大集団(エバーグランデ)の巨額債務問題が浮上してきた。あくまでも1つの企業が運営を失敗した結果による危機であって、リーマンショックのような事態にはならないという見方も多いが、そのインパクトがどこまで大きくなるかについては未知数である。
株式市場にとってネガティブな状況が整いつつあるなか、コロナバブルの最終局面で溢れ出た資金が行き場を失い、まるでイナゴのようにニュースに飛びついては離れていく。今回の日経平均株価の「行ってこい」の値動きも、海外投資家の材料とされただけと考えれば、日本の株式市場は既定路線の水準まで戻ってきたに過ぎない。事実、投資部門別売買状況を確認すれば、海外投資家は9月前半で大きく買い越し、後半では売り越しに転じている。
もちろん、勝率100%のアノマリーとされている日本の解散総選挙が、同じように利用される可能性は十分にある。ともあれば、14日の解散に合わせて上昇し、31日投開票後に売られるというシナリオになるだろう。
果たして、海外投資家の「最後の餌場」が、日本の解散総選挙になるのだろうか。海外投資家の売買動向に注視しつつ、解散総選挙前後の株式市場の値動きには十分に留意されたい。(記事:小林弘卓・記事一覧を見る)
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