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崩れた平穏相場と「最期」の日経平均株価高騰 前編
解散総選挙という政治の重要局面を迎えて、「アベノミクスの再来」に日本の株式市場は色めき立ち、9月14日(火)の日経平均株価は続伸、2月16日に付けたバブル経済崩壊後の終値最高値30,467円を更新して引けた。これは、31年ぶりの高値更新となるが、このままバブル期の過去最高値である38,915円に向かうというのだろうか。
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実は、これほど日本の株式市場が活況である理由はただ1つであり、「海外からの資金流入」にほかならない。リスクオン資産の株式と仮想通貨、リスクオフ資産の債権とゴールドが同時に購入されているという不均衡については先日お伝えした通りだが、コロナバブルで溢れかえった資産が行き場を失い、日本の株式市場に殺到しているのは紛れもない事実なのである。
海外投資家の売買動向を確認すると、8月最終週は3,316億円の買い越し、9月第1週は6,625億円の買い越しと、2週で約1兆円の買いが入ったことになるが、まだまだ余力はあるようにも見受けられる。なぜなら2020年の11月には、コロナウィルスの感染状況にも関わらず、約3兆円もの資金が海外投資家から流入しているからである。
ただし、ちょうどその時期の値動きと現在の値動きが酷似していることには注意が必要だ。2020年11月の値上げ幅が約4,000円であったことを踏まえれば、今回の上昇は8月20日の安値26,954円から約4,000円の高値、ちょうど31,000円付近で頭打ちとなる可能性も十分に考えられる。
そして、これだけ日本の株式市場が活況であるにも関わらず、これまで闇雲に購入されてきた様々な資産に陰りが見え始めていることにも十分に配慮しなければならないだろう。なかでも、コロナバブルの象徴ともいえる仮想通貨市場の暴落には注目が集まる。
振り返ると、ビットコインの暴騰はコロナ禍に揺れる2020年10月頃から始まり、2021年4月には史上最高値の1ビットコイン約700万円にまで達した。その後は大きく暴落し、5月には300万円ほど値を下げたが、その後は順調に回復、1ビットコイン約600万円まで反発してきた。
しかし、9月上旬に実施されたエルサルバドルの法定通貨化を機に一気に100万円ほど暴落、その後の反発は鈍い。暴落の原因は、法定通貨化にあたって政府より準備された公式ウォレットである「CHIVO」のトラブルにあるということだが、「噂で買って事実で売る」という格言を知っていれば、「法定通貨化という事実で売っただけ」であることは、容易に理解できるだろう。
それでは、仮想通貨から流出した資金がどこに向かったかと言えば、ここまで向かうところ敵なしのアメリカ株式市場というわけでも無さそうだ。(続く)(記事:小林弘卓・記事一覧を見る)
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