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研究の概要(画像:京都大学報道発表資料より)[写真拡大]
京都大学は20日、地球外の有機物、2-アミノイソ酪酸(Aib)を代謝する放線菌を発見し、その代謝過程を解明したと発表した。研究グループによれば、今回の発見は、原始地球における生命分子進化への理解を深めると共に、産業的にも重要な発見であるという。
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■地球外の有機物を食べる微生物を発見
地球外からやってくる隕石などからは、さまざまな有機物が発見されている。例えば、アミノ酸、糖、塩基などの生命の材料となりうる有機物も見つかっている。そのため隕石などによってもたらされた地球外の有機物が、地球上の生命の誕生・進化に寄与した可能性があることが指摘されている。
Aibもそのような有機物の1種だ。地球には、実に年間数百kgものAibが隕石などによってもたらされているという。
今回、研究グループが発見した放線菌はこのような地球外からもたらされたAibを栄養源とする微生物だ。なお放線菌とは、土壌中に広く棲息している原核生物で、放射状に菌糸が生育し胞子を形成する特徴を持っている。
■その代謝過程を解明
研究グループは、この放線菌について、細胞内で発現している全てのタンパク質を網羅的に解析することにより、Aibからピルビン酸にいたるまでの5段階の酵素反応経路を解明した。
そして、この5段階の酵素反応経路の第1段階で働く酵素、Aibモノオキシゲナーゼを新しく発見した。このAibモノオキシゲナーゼは、金属タンパク質複合体で、Aibのメチル基を選択的に水酸化する働きがあることが確認されている。
研究グループによれば、このAibモノオキシゲナーゼには強い酸化力があり、不活性なメチル基を効率的かつ選択的に酸化することができるという。
そのため研究グループでは、このAibモノオキシゲナーゼは、さまざまな医薬品原料や次世代燃料を生産するためのバイオプロセスに活用できるのではないかと、期待している。バイオプロセスは、生物の機能を活用した生産プロセスであるために、環境負荷が少なく、持続可能な社会の実現に大きく貢献すると期待されている。(記事:飯銅重幸・記事一覧を見る)
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