ヤリス・ジャガーは武士道、ポルシェ・キャデラックは合理主義、国の文化が見える? (1)

2020年11月10日 08:52

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トヨタ・ヤリス(画像: トヨタ自動車の発表資料より)

トヨタ・ヤリス(画像: トヨタ自動車の発表資料より)[写真拡大]

 カーグラフィック(CAR GRAPHIC)の松任谷正隆氏、田辺憲一氏の世界では、クルマを文化として捉えていると感じている。半世紀前ほどであったと思うが、月刊誌カーグラフィックを読んでいて、データで評論しなくなった時には物足りなさを感じたのと、事実を感覚で表現できるのかを訝しんだ。人間の感覚はそれぞれであるため、とても基準となる説明は出来ないと思ったからだ。

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 しばらくして、月刊カーグラフィックを読まなくなった。買いたいクルマの性能が分からなくなったからだ。現在は「文化」としての捉え方は大いにあってしかるべきだが、その基準が個人の感覚論では、やはりジャーナリズムとしてはまずいと思っている。

 20年ほど前、あるマンションの地下駐車場で松任谷氏に出会った。私のクルマを駐車していた場所のすぐそばに、松任谷氏のクルマがいつも駐車してあったからだ。クラシックなクルマで、私には車種が判別できなかった。しかし、松任谷氏の「自動車文化論」が伝わってきていた。

■技術の特徴は文化の特徴

 現在では、すっかり自動車文化論を楽しむのが身についてしまった筆者だが、「技術と文化は連動している」と思っている。クルマも「お国柄」とでも言うべき特徴が明確になっている。メーカーごとの文化も詳細に感じることが出来る。クルマを楽しむのに、性能ばかりではなく、そのクルマの文化を楽しむ方法が大変楽しいと今は思っている。

 技術的な特徴が明確になるのは、飛行機の方が際立っている。それはたぶん、クルマよりも技術的に厳しい条件下に置かれているからであろう。「技術の特徴は文化の特徴」と言えるほど際立つ。現代の飛行機でもかなりの特徴が見られるのだが、最近は「クルマの方が飛行機より特徴的だ」と言えるだろうか?

■ゼロ戦・スピットファイア・Bf109・F4F

 第2次大戦時の代表的な戦闘機を見ると、「お国柄」が色濃く出ていることに気付く。

 日本のゼロ戦、イギリスのスピットファイアは、武士道と騎士道の特徴がよく出ている。両国とも「一騎打ち」を主として考えられており、翼面荷重や視界の重視で格闘戦を想定していることが明白だ。それは両機とも造りにくい繊細さも持ち合わせていた。

 一方で、ドイツのBf109、アメリカのF4Fは合理主義で、一撃離脱戦法を考えて作られている。もちろん造りやすさも考えられて、割り切った形状をしていた。ドイツは全く合理主義で、アメリカはさらに豪放さが目立つ特徴がある。両機とも集団戦法が前提で、精神論・一騎打ちの日本とは正反対の考え方で造られていた。

 このように、戦闘機においては技術的に厳しい性能が要求されているため、特徴がよく表れるのだ。現在では「中国文化」に注目する必要があるだろう。「豪快」なのか?「まねっ子」なのか?は分からない。日本のように緻密ではないようだが、軍事やビジネスの特徴が、もう一つはっきりとしない。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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