不渡手形急増、前年比2倍に 新型コロナによる猶予は僅少

2020年5月29日 08:42

小

中

大

印刷

記事提供元:エコノミックニュース

全銀協が「新型コロナウイルス」の影響で不渡り手形等の3月実績を公表。手形・小切手の不渡は1560枚(前年同月726枚)2倍増し

全銀協が「新型コロナウイルス」の影響で不渡り手形等の3月実績を公表。手形・小切手の不渡は1560枚(前年同月726枚)2倍増し[写真拡大]

写真の拡大

 政府が新型コロナウイルス感染症対策の基本方針を示し国民が自粛ムードに入ったのは2月25日だ。3月は企業にとって最も資金繰りが厳しい時期で有り、多くの企業が資金ショートを起こすのではないかと懸念された。年度末は3月31日であるが実務上は3月60日、即ち4月30日であり、3月、4月の資金ショート、手形の不渡り、倒産が危惧された。

 東京商工リサーチが定期的に発表している「新型コロナウイルス関連倒産状況」の5月20日版を見ると、新型コロナ関連の経営破たんは、2月に2件であったものが3月には23件となり、4月では84件に急増している。さらに5月には20日現在で60件となっており、月間100件を超える勢いで推移している。

 金融庁と日本銀行は全銀協に新型コロナの感染拡大に伴う資金繰り支援策として不渡・取引停止処分猶予を要請している。5月19日、全国銀行協会が新型コロナウイルスの影響で、不渡報告への掲載・取引停止処分が猶予された手形・小切手の4月実績を公表しているが、4月に記載が猶予された枚数は92枚、金額は1億7357万円となっている。2011年の東日本大震災でも同様の対応が実施されたが、この時の枚数は931枚、金額では7億7130万円だったので、これに比べると新型コロナによる不渡・取引停止処分の猶予枚数は僅少にとどまっている。

 3月の手形交換高を見ると4209枚で、前年同月比21.43%の増加となっている。3月の不渡手形の実数をみると1560枚で、前年同月の726枚と比べ114.87%の増加で2倍以上の増加だ。金額では101億712万円で前年同月の747.19%の増加と7.5倍の増加となっている。

 取引停止処分となったものは157枚で、前年同月の178枚と比べ11.79%の減少となったものの、金額ベースでは2億1430万円で前年同月の1億7210万円と比べ24.52%の増加だ。

 不渡と取引停止を合わせたものは枚数で1717枚、前年同月比89.93%の増加、金額では103億2143万円で同656.08%と猶予が含まれた状態で6.6倍の状況だ。

 倒産件数を見ると4月に急増しており、さらに5月には勢いを増している。不渡手形も取引停止も4月、5月はさらに深刻な数字になると思われ、6月以降もさらに深刻さが増すと予想される。資金ショートで支払いの連鎖が中断すれば連鎖倒産により恐慌レベルの取り返しの付かない状況になりかねない。政府による万全な資金繰り支援が急務だ。(編集担当:久保田雄城)

■関連記事
4月のマンション販売、コロナ禍で半減、過去最少の供給に。契約率はアップ
総額31兆9114億円の補正予算案を閣議決定
与信状況悪化。「取引先の倒産」「支払遅延」「取引先の休業等」4割

※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。

関連キーワード東日本大震災東京商工リサーチ倒産金融庁新型コロナウイルス

広告

財経アクセスランキング