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中国・武漢を起点に世界中に蔓延した新型コロナウイルス。世界保健機構(WHO)によると11日時点での感染者数は約157万人、死者は約9万5千人にも及ぶ。英ケンブリッジ大学は9日、新型コロナウイルスの系統発生ネットワークを作成したと発表。それによると新型コロナウイルスは3タイプに分類されるという。
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■初期の感染経路を明らかにする
遺伝子が親から子へと受け継がれる際に、突然変異により変化が生じることがあり、これがヒトを含めた生物の進化の土台にある。新型コロナウイルスにも突然変異が発生しうる。こうした遺伝子が進化するプロセスを可視化したのが、系統ネットワークである。
ケンブリッジ大学を含めた英・独の研究者らは、新型コロナウイルスに関する系統ネットワークを作成した。感染者から採取した160のウイルスゲノムを解析することで、世界へと蔓延する過程で新型コロナウイルスがどう進化を遂げたのかが判明。ウイルスゲノムの情報は2019年12月24日から2020年3月4日までの初期のものだという。
■元のウイルスが支配的な種ではない
系統ネットワークを作成した結果、3タイプの変種が新型コロナウイルスから誕生したことが明らかになった。タイプAはコウモリから発見された元のウイルスで、武漢に存在したものだ。だがタイプAは武漢において支配的ではなかったという。Aの亜種は米・豪等の国で多数発見されている。
武漢で支配的だったのがタイプBだ。東アジアで支配的である変種だが、さらに変異することなく拡散したことが判明した。研究グループによると、タイプCが新型コロナウイルスの分化に寄与した個体群であるか、耐性ウイルスのどちらかだという。
タイプCはヨーロッパで支配的であり、仏・伊・英などの国の初期の患者から検出された。タイプCは中国本土では発見されていないが、シンガポールや香港、韓国で確認されている。
■将来の多発地域の予測に役立つ
最新の解析によると、初期の新型コロナウイルスが1月27日に独での感染を経由して伊へと到達し、さらにシンガポールのクラスターと関連しているという。
研究グループによると、本手法が新型コロナウイルスの最新のゲノムにも適用可能だという。これにより、将来どの地域でウイルスが多発するかを予測するのに役立つとしている。
研究の詳細は、米国科学アカデミー紀要にて9日付で掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る)
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