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新型コロナが世界経済を肺炎に追い込むか、人類の英知が厄災を克服するか? (上)

2020年2月27日 17:26

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 新型コロナウイルスの感染拡大への警戒感が、世界の株式市場で連鎖的な株安状況を呼び込んだ。24日には休場していた東京市場を除き、韓国・ドイツ・フランスで主要な株価指数が対前週末比で4%下落。感染の拡大が確認されたイタリアでは上位40銘柄で構成されるFTSE MIB指数が、前週末との比較で5%を超える下げ幅となっていた。

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 この流れは米国株にもそのまま引き継がれ、安全資産とされる米国債が買われる反面、アップルやマイクロソフトなどのハイテク株が下げ幅を広げ、ダウ工業株30種平均が終値で1000ドルを超える下げ幅を記録した。

 祝日明けの25日、東京証券取引所では前週末比437円安の2万2949円で取引が始まってから、下げ幅を拡大する動きが続き、一時は2万2335円と前週末比で最大1051円安まで下落した。その後は、落ち着きを取り戻して一進一退を繰り返しながら、前週比781円安の2万2605円で大引けとなった。

 翌26日の日経平均は下げ幅は縮小したものの179円安と3日続落となり、27日は477円安と、ついに昨年11月以来となる2万2000円割れの2万1948円で引けた。

 まるでマーケットが、新型コロナウイルスによる世界的なパンデミック(大流行)への臨界点が近いと、意識し始めたかのようだ。

 中国の武漢から発生したとされる新型コロナウイルスに関する報道は、当初非常に抑制されたタッチで流れていた。中国には17年前に重症急性呼吸器症候群(SARS)の流行を隠蔽していた反省があるから、新型コロナウイルスに関する報道は隠蔽されていないという受け止め方が世界の大勢だった。

 SARS流行の情報を当局が隠蔽していると暴露した軍医の蒋彦永氏は、当局に疎まれて不遇をかこった。発生していた歴たる事実を正面から告発した医師を冷遇した結果、世界の信用を失った中国は、この時の貴重な教訓を忘れていない筈だと世界は楽観的に受け取っていた。

 ところが、19年12月初旬にSARS類似ウイルスに感染した患者が出現し、警鐘を鳴らした武漢市の眼科医李文亮氏は警察に呼び出され、「デマ」を広めないように強要され訓戒処分を受けていた。教訓は生かされず、同じ過ちが繰り返されていた。

結局中国は感染が拡大している人口1000万都市の武漢市を封鎖するという、前代未聞の事態に追い込まれた。おまけに、中国当局が発表している患者数は、患者の基準が度々変更されていることも重なって信憑性に疑問が投げ掛けられている。中国から公表される情報に対して疑いを抱くことが、世界の習い性になりそうだ。

 そんな混乱が続く中国は、世界のサプライヤーとしての機能がマヒ状態に陥っている。各地で小刻みに生産の再開時期を発表しているが、大方は再三の見直しを迫られている。世界のメーカーが望むのは、中国全土で従来通りの生産体制を回復することだが、感染拡大の勢いは衰えていないように見える。(下)に続く(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る

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